2020シーズン、未曽有の事態に見舞われる中で、リーグ最下位という悔しい結果に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。今季は心機一転、投手陣の補強を最優先に掲げ、再起を誓う。
昨シーズンを踏まえ、「今年はさらに厳しくいく」と宣言する2年目の高津監督は、新戦力が加わった新たなスワローズをどのように変革し、リーグ制覇を目指していくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、高津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――悲願の瞬間が間近に迫ってきました。10月8日にマジック11が点灯。そこから、優勝へのカウントダウンが始まりました。マジックが出てからの心境というのはどのようなものですか?
高津 「意識してない」ということは絶対にないんですけど、強く意識しすぎることもないですね。僕も現役時代に何度か経験がありますけど、たとえば「マジック20」とか、数が多いときはあんまりパッとしないというかピンとこないですね。でも、ひと桁になって「マジック5」くらいになると、かなり意識するようにはなりますね。
――9月17~26日までの10連戦は7勝3引き分け、10月5~10日にかけての3位巨人、2位阪神との6連戦は5勝1敗。勝負所で強さを発揮しました。この成果はどのように振り返りますか?
高津 ペナントレース当初から「9月、10月の戦い方はすごく大切だ」と考えていました。9月の10連戦、10月の巨人と阪神の6連戦については計画通り、いや計画以上、想像以上の戦いでした。選手たちはよく頑張ったし、ケガ人が出なかったのもよかったですね。去年は9月の段階でずっとやられっぱなしでしたから。
――想像以上の結果となった要因はどこにあるとお考えですか?
高津 先ほど言った9月の10連戦、10月の6連戦の好成績は、間違いなく投手陣の踏ん張りによるものでした。先発もリリーフも試合を崩すことなく、勝っていても、劣勢でも、しっかりと自分の仕事をして次のピッチャーにきちんと繋ぐ。その思いが勝利につながったり、何とか引き分けに持ち込んだりしました。それこそがロースコアのゲームをものにできた最大の要因だったと思いますね。
――シーズン終盤の過密日程を見据えて、アルバート・スアレス投手、田口麗斗投手を先発からリリーフに配置転換しました。後半戦はカード初戦を奥川恭伸投手に託すローテーションを組みました。こうした策は、いつ頃からのプランニングだったんですか?
高津 ハッキリと「いつから」とは覚えていないけど、割と早い段階から「リリーフ要員を増員するのならスアレスと田口かな」というイメージを持って戦っていました。ヤス(奥川)にカードの頭を任せることも、結構前から考えていました。もちろん、いろいろなシミュレーションをしてはいるけど、ある意味では計画通りに進みましたね。