2020シーズン、未曽有の事態に見舞われる中で、リーグ最下位という悔しい結果に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。今季は心機一転、投手陣の補強を最優先に掲げ、再起を誓う。
昨シーズンを踏まえ、「今年はさらに厳しくいく」と宣言する2年目の高津監督は、新戦力が加わった新たなスワローズをどのように変革し、リーグ制覇を目指していくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、高津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――ペナントレースが再開して一週間が経ちましたが、まずは2年ぶりに開催された交流戦についてお尋ねします。全日程を終えて10勝8敗、5位という成績をどのように評価しますか?
高津 以前も言いましたけど、交流戦というのは日頃接することのない、多くのパ・リーグ選手を見ることができ、パ・リーグ監督の采配に触れることのできる期間なので、個人的にも楽しみにしていましたし、実際にとても楽しかったです。10勝8敗という結果に対しては、「もうちょっとできたんじゃないか」という思い、一方で「よく頑張ったな」という思いが、それぞれありますね。
――「もうちょっとできたんじゃないか」というのはどういう点でしょうか?
高津 具体的にどうこうというわけではないけど、「勝てる試合を落としてしまったな」とか、「この1点は防げる失点だったな」とか、「あそこで1点取っていればな」とか、いつものシーズンと一緒の思いです。交流戦期間中でも、そういう試合は何試合かありました。
――パ・リーグ6球団を相手に、全18試合を戦いました。監督の中で印象に残っている試合、場面があれば教えてください。
高津 やっぱり、佐々木投手対ムネの対戦ですかね。
――6月10日、ZOZOマリンスタジアムで行われた、対千葉ロッテマリーンズ3回戦。ロッテ先発の佐々木朗希投手から、村上宗隆選手が18号ホームランを放った場面ですね。
高津 試合には敗れたけど、あの対戦はすごく面白かったですね。「やっぱり、佐々木投手はいいピッチャーだな」という思いと、「あの両者の対戦は野球の面白さが詰まった対戦だったな」という思いがありますね。結果的にムネが一発打ったから、余計にそう思うのかもしれないけど、将来的に日本を代表するであろうピッチャーと、すでに日本を代表しつつあるバッターの対戦。昭和の時代から数々の名勝負はあったけど、「佐々木対村上」「村上対佐々木」というのは、新時代の名勝負になる予感がしました。