――プロ20年目、41歳の石川投手の姿は、プロ2年目、20歳の奥川恭伸投手にもいい影響を及ぼしている気がします。この点はどうお考えですか?
高津 石川と奥川は、年齢も、実績も、投手としてのタイプも、利き腕も違います。だけど、奥川にとって当然参考になる部分はとても多いと思います。2人が普段、どういう会話をしているのかはわからないけど、試合前の過ごし方であったり、考え方であったり、多くの刺激を受けているのは間違いないでしょうね。コーチから指導を受けるのとはまた違った意味で、現役選手同士から学ぶことも多いですから。奥川にとってはすばらしい先輩であり、生きた教材が近くにいるというのはラッキーなことだと思います。
――組織の中におけるベテランの役割、意識の持ち方について伺います。高津監督は現役時代、「後輩たちのために」と意識して振る舞ったり、アドバイスしたりすることはあったのですか?
高津 もちろん、若い人にアドバイスすることもありましたけど、僕が意識していたのは「若い人には絶対に負けない」という思いを持ち続けることでした。同じロッカー、同じベンチにいる選手には絶対に負けないという思いです。この世界は年齢も実績も関係ありません。実力主義の世界だからこそ、ベテランになっても「負けたくない」の意識は大切だし、それが組織のためにもなると思いますね。
――ベテラン選手が高い壁になることで、若手選手の実力も向上していき、それがひいては組織の活性化にもつながるという考え方ですね。
高津 その点、石川自身は本当に負けん気の強い男ですから、高い壁になっていると思います。彼は決して口には出さないけど、「身体の大きな選手には負けない」という思いでここまで頑張ってきたし、今は「若い選手には負けない」という思いで頑張っているのは確かだと思います。その思いがないと、ここまで頑張ることはできないですから。
――そういう意味でも、ベテランの存在はとても大きいですね。
高津 石川のピッチングを見ていると、粘り強さはあるし、「ああしよう」「こうしよう」という意図が感じられます。それは守っている野手にも伝わっているはずです。それが結果的にテンポの良さ、守りやすさにつながっている気はしますね。これから夏場にかけて、石川だけでなく、ベテランの力が必要になる時期が必ずやってきます。今はファームにいる坂口、雄平にも、僕は大いに期待しています。今はいい状態でペナントレースを戦っています。引き続き、「応燕」をよろしくお願いいたします!