2021東京ヤクルトスワローズ 高津流 燕マネジメント

奥川投手が石川投手から学ぶべきもの
若手とベテランが刺激しあうチームに

奥川恭伸が石川から学ぶべきこと

――プロ20年目、41歳の石川投手の姿は、プロ2年目、20歳の奥川恭伸投手にもいい影響を及ぼしている気がします。この点はどうお考えですか?

高津 石川と奥川は、年齢も、実績も、投手としてのタイプも、利き腕も違います。だけど、奥川にとって当然参考になる部分はとても多いと思います。2人が普段、どういう会話をしているのかはわからないけど、試合前の過ごし方であったり、考え方であったり、多くの刺激を受けているのは間違いないでしょうね。コーチから指導を受けるのとはまた違った意味で、現役選手同士から学ぶことも多いですから。奥川にとってはすばらしい先輩であり、生きた教材が近くにいるというのはラッキーなことだと思います。

――組織の中におけるベテランの役割、意識の持ち方について伺います。高津監督は現役時代、「後輩たちのために」と意識して振る舞ったり、アドバイスしたりすることはあったのですか?

高津 もちろん、若い人にアドバイスすることもありましたけど、僕が意識していたのは「若い人には絶対に負けない」という思いを持ち続けることでした。同じロッカー、同じベンチにいる選手には絶対に負けないという思いです。この世界は年齢も実績も関係ありません。実力主義の世界だからこそ、ベテランになっても「負けたくない」の意識は大切だし、それが組織のためにもなると思いますね。

――ベテラン選手が高い壁になることで、若手選手の実力も向上していき、それがひいては組織の活性化にもつながるという考え方ですね。

高津 その点、石川自身は本当に負けん気の強い男ですから、高い壁になっていると思います。彼は決して口には出さないけど、「身体の大きな選手には負けない」という思いでここまで頑張ってきたし、今は「若い選手には負けない」という思いで頑張っているのは確かだと思います。その思いがないと、ここまで頑張ることはできないですから。

――そういう意味でも、ベテランの存在はとても大きいですね。

高津 石川のピッチングを見ていると、粘り強さはあるし、「ああしよう」「こうしよう」という意図が感じられます。それは守っている野手にも伝わっているはずです。それが結果的にテンポの良さ、守りやすさにつながっている気はしますね。これから夏場にかけて、石川だけでなく、ベテランの力が必要になる時期が必ずやってきます。今はファームにいる坂口、雄平にも、僕は大いに期待しています。今はいい状態でペナントレースを戦っています。引き続き、「応燕」をよろしくお願いいたします!

 

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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