2021東京ヤクルトスワローズ 高津流 燕マネジメント

奥川投手が石川投手から学ぶべきもの
若手とベテランが刺激しあうチームに

大ベテラン・石川雅規がチームに与える刺激

――6月4日の対埼玉西武ライオンズ1回戦では石川雅規投手が久しぶりに先発して、5回降雨コールド勝利を収めました。石川投手については、どのように評価しますか?

高津 今年のキャンプ、オープン戦と非常に調子が悪く、コンディションもよくなかったし、投げる球もよくありませんでした。とても難しい中でのシーズンインでしたが、数カ月間、ファームで調整して戻ってきたときには、僕たちが知っている以前の石川に戻っていました。腕がよく振れているし、打者にとってはとても打ちづらい、元通りの石川になっていました。

――石川投手にとっては、自身初となる開幕二軍スタート。二軍では好投を続け、コンディションも上向いているのに、なかなか出番に恵まれない難しい時期だったと思います。

高津 特定の選手をえこひいきするわけではないけど、外国人選手とベテラン選手に関しては、特に気を遣うように意識はしています。もちろん、石川も例外ではないです。あるいは、現在ファームで調整中の坂口智隆、雄平についてもそうです。これまでの実績に敬意を払うのはもちろん、ファームでモチベーションを保つのはとても難しいことだからです。体調面は自身の管理が重要だけど、モチベーションやヤル気はこちらがケアすることが大切だと思っています。

――翌週の11日には対福岡ソフトバンクホークス戦でも石川投手が勝ち投手となりました。西武戦では打線が爆発して、序盤で10得点。ソフトバンク戦ではリリーフ陣が懸命の投球を続けて無失点で1対0の勝利。いずれも、チーム内に「石川さんのために」という思いが透けて見えるような戦いぶりだったように思うのですが……。

高津 常に点を取りたいと思っているので、「石川さんのために点を取るぞ」と意気込んでいるようなことはないと思います。ただ、矛盾した言い方になるけれど、石川が懸命に投げることで、自然と「何とかしよう」という気持ちが芽生えている気はします。石川が投げている姿を見て、野手陣も、リリーフ陣も「よし、頑張ろう」という気持ちになっているんじゃないのかな?

――交流戦後、ペナントレース再開の初戦でも、石川投手が勝ち投手となりました。このときもヒーローインタビューでは、オスナ選手による「石川さんのために」という発言もありましたね。

高津 やっぱり、石川の普段からの立ち居振る舞いであったり、練習姿勢であったり、これまでやってきたことであったり、そういうことをみんながリスペクトしているんだと思います。それが、チームにもいい影響をもたらしている気はしますね。

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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