2020シーズン、未曽有の事態に見舞われる中で、リーグ最下位という悔しい結果に沈んだ東京ヤクルトスワローズ。今季は心機一転、投手陣の補強を最優先に掲げ、再起を誓う。
昨シーズンを踏まえ、「今年はさらに厳しくいく」と宣言する2年目の高津監督は、新戦力が加わった新たなスワローズをどのように変革し、リーグ制覇を目指していくのか。
本連載では、今年もインタビュアーに長谷川晶一氏を迎え、高津監督の組織論から、マネジメント術、若手育成術まで余すところなくお届けしていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――交流戦も残すところあとわずか。勝率5割をキープしたままここまできました。現在までをどのように振り返りますか?
高津 以前も言ったけれど、「よくやっているな」という部分と、「もっとできたはずだ」という部分と両方ありますが、ここまで5割をキープしながら、何とか踏ん張っているなという感じですね。
――6月4日、神宮球場で行われた対埼玉西武ライオンズ戦では、二軍で好成績を残していた石川雅規投手が満を持して先発登板。打線も爆発して、10対1の5回コールド勝利を記録しました。あれは本当にナイスゲームでした。
高津 なかなか登板機会がなくて、本人もいろいろと思うところがあったと思うけど、すごくいいピッチングを見せてくれました。プロ20年目を迎えもなお、マイナーチェンジを加えて努力する姿は他の投手にとっても、何かを気づかせるものがあったと思います。
――その一方で、前回も話題に出ましたが、クローザーの石山泰稚投手が何度か救援失敗。配置転換を余儀なくされ、マクガフ投手が現在は抑えを務めています。石山投手はファー落ちすることなく、一軍に帯同して試合に出ながら復調を模索していますね。
高津 僕の中でも、石山の起用法についてはいろいろ考えています。それがどんな形になるのか、成功するのかどうかは別として、最終的には「石山が9回を投げないといけない」という思いはまったく変わっていません。現在は、その状態に戻るための時間を過ごしていると言えると思います。一軍の試合に出ながら、心の調整、技術の調整を続けているということです。
――現役時代、高津監督自身もクローザーとして活躍されました。リリーフ失敗でチームの勝利を消してしまった経験もあります。結果が出ないとき、「一度、クローザーから外してほしい」と弱気になることなどはありませんでしたか?
高津 弱気になることはあったと思います。でも、自分から「外してほしい」とは決して口には出さないですよね。前回のこの連載で、青木宣親に対して、「彼の場合はどんなに不振であっても、試合に出続けなければいけない責任がある」って言いましたけど、それは石山にも当てはまると思います。クローザーというのは、たとえ結果が出なくても、すべての責任を背負わないといけないものですから。