2021東京ヤクルトスワローズ 高津流 燕マネジメント

常に「なぜ?」という思いを持ち続けること
不調石山投手に高津監督が投げかけた言葉

どんな問題、スランプも、時間が必ず解決する

――具体的にどんなことを伝えたのかを伺う前に、「結果の出ない部下に対する上司の心得」についてお尋ねします。復調するまでじっと待つ。あるいは配置転換をする。いろいろな方法があると思います。高津監督は、どのような方法を取るのがいいと思いますか?

高津 今言われたように、持ち場を変えたり、ファームに落として再調整をしたり、それはその人によって、そのケースによって、いろいろな方法があると思います。でも、結果が出ないときに忘れてはいけないのは、本人が常に「なぜ?」「どうして?」という思いを持ち続けることだと思うんです。

――うまくいかない原因、理由をきちんと突き詰めて考え直すということですか?

高津 そうです。「なぜ?」の繰り返しで試行錯誤することが解決への糸口だと思いますね。そして、これを言うと「えっ?」と思うかもしれないけど、どんな問題、スランプであっても、必ず時間が解決してくれると思っています。

――きちんと、原因や理由を突き詰めていれば、後は時間が解決してくれる?

高津 はい。それが一週間なのか、一カ月なのかはわからない。ただボーッとしていたら、元に戻るのにかなりの時間がかかる。でも、きちんと自分自身と向き合うことができれば、少しでも早く戻ることができる。これから石山が本当に立ち直るためには、かなりの努力と精神力が必要になります。でも、必ず石山は戻ってくる。僕はそう信じています。

――そうしたことを、石山投手にも説明したのですか?

高津 そのようなことは話しましたね。本当にいい状態に戻すために時間が経つのをじっと我慢する。その間にしっかりと頭の中を整理して、身体を鍛え直すこと。努力を続けること。そうすれば「必ず時間が解決してくれるよ」とは伝えました。そして、「その代わり、その間は相当大変だよ」と話して、「だけど必ずお前は再び9回を任される投手だ」と言いました。

――少しでも早く復活するために、現在の石山投手は心身ともにかなり厳しい時間を過ごしているということなんですね。

高津 とにかくいっぱい走って、いっぱい身体を動かして、いっぱい頭の整理をする。ビデオでの研究も必要でしょう。投球フォームのチェックも必要でしょう。ベンチを外れた間、そして現在のように配置転換をしている間に、そこを突き詰めてほしいですね。

――交流戦ももうすぐ全日程が終了します。6月18日からはペナントレースが再開されます。一方で、東京オリンピック期間のペナント中断もあります。これから夏場に向けての展望を最後にお聞かせください。

高津 現状、オリンピックが本当に行われるのかどうかは不透明ではありますけども、仮にオリンピックが行われるとしたら、本当に難しい期間になると思います。大会期間中、神宮球場は使えません。夏場の暑い時期に、いつもと違う環境で最適な練習ができるのかどうか? また、誰がオリンピックメンバーになるかもまだわからない。個々人の体調管理も非常に難しいですよね。

――シーズン中にほぼ一カ月間の空白期間ができるというのは調整も難しいでしょうね。

高津 そんな経験は一度もないので、すべてが手探りですからね。……あっ、一度ありましたね。2008(平成20)年の北京五輪のとき、僕は韓国のウリ・ヒーローズに在籍していて、そのときも一カ月くらいペナントを休んで練習したことがありましたね。あのときは「一週間だけ日本に帰っていいよ」って言われて、日本に帰れる嬉しさを感じただけだったな(笑)。とにかく、今回は選手のコンディションを見極めつつ、しっかりとマネジメントしていくつもりです。

 

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プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

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2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
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