2021東京ヤクルトスワローズ 高津流 燕マネジメント

常に「なぜ?」という思いを持ち続けること
不調石山投手に高津監督が投げかけた言葉

絶対にしんどい姿を見せないことが、とてもしんどい

――チームの勝利であれ、敗戦であれ、その責任をすべて背負うのがクローザーであると高津監督はお考えですか?

高津 もちろん、きちんと抑えてチームが勝てば、勝利の喜びをみんなで分かち合います。でも、自分が打たれてチームが負けたら、それは自分で背負うしかない。厳しい言い方になるけど、誰かに慰めてもらったって自分の力になるわけじゃないですから。どんなに辛いときにも、辛い姿を見せない。しんどいところを決して見せない。それがいちばんしんどいことなんですけれどね。

――現役時代の高津監督もそうだし、現在の石山投手は、それだけの重いものを背負いながらクローザーを務めているわけですね。

高津 元々の性格かどうかはわからないけど、石山は自分の感情を表情や態度に出す男じゃありません。だから、その立ち居振る舞いから、彼がどんな感情なのか、どんな心境なのかはつかみづらいかもしれない。でも、彼は必ず元の石山に戻りますよ。ただ、今はめちゃくちゃ苦しい時期だと思いますよ。

――本人に対して、監督は何か声をかけたのですか?

高津 5月21日の横浜DeNAベイスターズ戦でリリーフ失敗した後、22日の試合は石山をベンチ入りさせませんでした。そのときに、これからの過ごし方、気持ちの持ち方のようなものは直接彼に話をしました。彼に当てはまるかどうかはわからないけど、僕自身が経験したことを話しました。

――現在、日本で最も説得力のある言葉を吐ける監督ですからね。

高津 説得力があるかどうかはわからないけど、チームの中でいちばん、石山の気持ちを理解しているという自負はありますね(笑)。

ご感想はこちら

プロフィール

髙津臣吾
髙津臣吾

1968年広島県生まれ。東京ヤクルトスワローズ監督。広島工業高校卒業後、亜細亜大学に進学。90年ドラフト3位でスワローズに入団。93年ストッパーに転向し、20セーブを挙げチームの日本一に貢献。その後、4度の最優秀救援投手に輝く。2004年シカゴ・ホワイトソックスへ移籍、クローザーを務める。開幕から24試合連続無失点を続け、「ミスターゼロ」のニックネームでファンを熱狂させた。日本プロ野球、メジャーリーグ、韓国プロ野球、台湾プロ野球を経験した初の日本人選手。14年スワローズ一軍投手コーチに就任。15年セ・リーグ優勝。17年に2軍監督に就任、2020年より現職。

著書

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

明るく楽しく、強いチームをつくるために僕が考えてきたこと

髙津臣吾 /
2021年、20年ぶりの日本一へとチームを導いた東京ヤクルトスワローズ髙津臣吾監...
出版をご希望の方へ

公式連載