いまだ記憶に新しい2017シーズンの屈辱的な戦績。ドン底まで低迷したチームを立て直すべく舞い戻った小川監督は、宮本慎也ヘッドコーチを要に据えたチーム改革を断行した。ハードワークに見られる「厳しさ」の追求は、選手達の意識をどのように変え、チームにどんな変化をもたらしているのか――。インタビュアーにライター長谷川晶一氏を迎え、小川監督のスワローズ改革に迫っていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――前半戦を終えて、34勝42敗、借金8という結果です。連勝が続いたかと思えば、連敗も続き、なかなか波に乗り切れません。ここまでの戦いぶりをどのように見ていますか?
小川 「なんとか前半戦を5割で折り返したい」という思いを持っていたので、この成績には決して満足はしていませんけど、それでも投手陣を中心に選手たちはよく頑張ってくれたと思っています。
――昨年は球団史上ワーストのシーズン96敗を記録したものの、交流戦終了後には5割に復帰もしました。前半戦終盤は連敗もありましたが、監督はもちろん、選手たちの表情もとても明るく感じられますね。
小川 いちばん大きかったのは、交流戦で勝率1位になったことで、選手たちのモチベーションが大きく高まったことだと思います。よく、「強い気持ちで臨む」と言いますよね。もちろん、気持ちだけで結果がうまくいくほど、プロの世界は甘いものではないけど、それでも、結果が伴ってくることで、ピンチの場面でも、劣勢に追い込まれていても、「何とかなる」という思いが芽生えているのは、去年との違いだと思います。
――昨年、スタンドから見ていて、監督自身も感じられていたという「停滞ムード」はどのように払拭したのですか?
小川 僕が現役だった1980年代、ヤクルトは弱い時期が続いていました。たとえば、途中まで勝っていても、終盤に相手チームにランナーが出ると、「逆転されるかも?」という不安な思いが芽生えていました。口には出していなかったけれど、他の選手もそう感じていたと思うし、少なくとも僕はそう感じていました。
――80年代にチーム内にあった、いわゆる「負けグセ」。それを払拭したのは、やはり野村克也元監督の存在でしょうか?
小川 そうですね。野村さんがヤクルトの監督になったときは自分も現役でした。就任早々、人間の心理面や、配球などの戦術面など、いろいろなミーティングが始まりました。最初はとまどいもあったけれど、このミーティングを通じて、「このまま、野村監督についていけば勝てるかも?」という思いがチームに浸透していったような気がします。
――小川監督自身も、かつての野村さんの姿を参考にして、昨年までの停滞ムードの払拭を図ったのですか?
小川 いやいや、僕はそういうタイプの人間ではないと思っているので……。もちろん、野村監督の影響を受けているのは確かですけれど、僕の場合はそこまでの影響力はないと思っています。チーム内のムードが変わってきているのは、僕の影響というよりも、コーチたちの頑張りであり、昨年の悔しさを、選手たちが忘れていないからでしょう。「あんな思いは二度としたくない」という思いは今でもあります。もちろん、精神論だけで勝てる世界でないし、技術面での裏付けも必要だと理解していますけど。