――精神面では、これまで何度も繰り返している「執念を持ってプレーする」ということであり、技術面では、昨年の秋季キャンプ、今年の春季キャンプから始まる「猛練習」ということになるのでしょうか?
小川 そうですね。「執念」ということは監督就任以来ずっと心がけている点です。ただ、人間ですから、常にギリギリの精神状態を持続することは難しいとも思っています。そうすると、まずは技術面が大切になってくる。練習をすれば多かれ少なかれ必ず技術は向上しますから。そのためにキャンプで猛練習を課したことは、無駄ではなかったと思っています。
――ギリギリの精神状態を持続するのは、確かに難しいと思います。ときには気が緩むこともあるかもしれないし、あきらめムードになることもあるかもしれません。その点についてはどのように対応しているのですか?
小川 もちろん、連敗中などは停滞ムードが生まれることもあります。でも、昨年あれだけ負けたとはいえ、今年の開幕前には「どうやっても勝てないな」というムードでは決してなかったし、今年も手も足も出ない完敗は、それほどなかった。という意味では、現状は停滞ムードはまだないと思っています。もちろん、接戦で勝てないというのは、まだ本当の実力がないということでもあるんですけれど……。
――監督の中では、選手たちの野球への取り組み方、最後まであきらめない姿勢については、手応えを感じているというわけですね。
小川 たとえば、借金がかさんでいくとネガティブな思いは当然、芽生えてきます。相手投手が絶好調で、「攻略するのは難しいぞ」という試合もあります。それでも、決してあきらめない姿勢というのは、少しずつ芽生えていると思っています。交流戦では、則本(昂大)と対戦したときに、その姿勢を強く感じました。
――6月2日、楽天生命パークで行われた対東北楽天ゴールデンイーグルス戦。この日先発の楽天・則本投手は13奪三振ながら、自責点3で敗戦投手となっています。
小川 則本の初回のピッチングを見せられたら、「これは打てないぞ」という思いになったと思うんです。でも、3回に荒木(貴裕)が先制2ランを放って、「よし、いけるぞ!」というムードになりました。その後、同点に追いつかれて2対2となったけど、8回のワンチャンスで決勝点を挙げることができた。この日は、みんながあきらめずにチーム一丸となった試合でした。