いまだ記憶に新しい2017シーズンの屈辱的な戦績。ドン底まで低迷したチームを立て直すべく舞い戻った小川監督は、宮本慎也ヘッドコーチを要に据えたチーム改革を断行した。ハードワークに見られる「厳しさ」の追求は、選手達の意識をどのように変え、チームにどんな変化をもたらしているのか――。インタビュアーにライター長谷川晶一氏を迎え、小川監督のスワローズ改革に迫っていく。
(インタビュアー:長谷川晶一)
――交流戦まではなかなか苦しい試合が続きました。誤算は何でしたか?
小川 当初、考えていたよりも先発投手陣で苦しんでいます。先発投手たちの防御率が非常によくないし、開幕前に期待していた若手の寺島(成輝)、梅野(雄吾)が出遅れてしまいました。数字上ではリリーフ陣の防御率は、他球団と比べても遜色がないだけに、先発投手陣の整備が緊急の課題になっています。
――でも、小川泰弘投手が一軍に復帰して今季初勝利を挙げたり、なかなか勝てなかったハフ投手が力を発揮し始めたり、由規投手が順調にローテーションを守ったり、星知弥投手の復帰が見えてきたり、明るい話題もありますね。
小川 由規の場合はまだ波がありますけど、ハマればすごくいいピッチングをしてくれるし、非常に期待は持てると思います。小川についても、当初はまだまだリハビリ的な側面が強かったけど、ようやく本来の力を出し始めているので心配はしていないですね。ブキャナンの調子が少し落ちてきているのが気がかりだけど、その分、ハフが安定してきた。総合的に言えば、先発投手陣全体が上向いてきていると思います。
――マネジメントの観点から伺います。当初のヴィジョンと異なってしまった場合、小川監督の場合はどのように軌道修正、対応をしていくのですか?
小川 予期せぬ状況を前にしたときに、一時的にしのぐような配置転換というのは、僕はあまりよくないと思っています。チームに負けが込んでくると、どうしてもいろいろ動いてみたくなるんです。例えば、抑え投手の失敗が続いたときには、「誰か代わりの投手をクローザーにしよう」と考えがちですけど、きちんと先を見据えて一貫して起用するのであれば構わないけど、一時しのぎでは意味がないですから。
――でも、開幕当初はクローザーだったカラシティー投手が中継ぎに転向したり、現在では石山泰稚投手がクローザーになったり、現実的には配置転換が行われていますよね。
小川 そうですね。でも、カラシティーの場合は、正直なところ未知数でした。こんなことを言ってはいけないけれど、絶対的な根拠がない中で、開幕時点では抑え投手としてスタートしました。もちろん、運や不運もあるので、結果だけでは一概には言えないけど、彼が投げる場合、打者が思ったよりも体感スピードを感じていないのだということが実戦を通じてわかってきた。ならば、そこは改善しなければならないし、代わりのクローザーが必要になる。そんな意味合いでした。
――未知数な状態で開幕したものの、現実に即してアレンジをしたということ?
小川 そうです。僕らの仕事は選手たちが働きやすい環境を作ること。開幕前にはまだ見極められなかったけれど、現状の起用法こそ、カラシティー、石山にとっての働きやすい環境ではないかと考えています。