――連勝中は意識することはないと思うのですが、現実的に負けが込んでいる状況下で、どのようにチームの雰囲気作り、ムード作りを意識されていますか?
小川 ベンチ内については、連敗中でもムードが悪くなることはあまりなかったですね。みんなが必死になって声を出していましたから。とは言え、シーソーゲームのときにはまだまだ攻撃的なムードがベンチにあるけど、大差がついていたり、終盤に逆転されたりしたときにはムードが悪くなるのも事実です。
――そんなときには、どう対処するのですか?
小川 僕がとても助かっているのは石井琢朗コーチの存在です。彼はいつでも自ら進んで声を出しています。常に、「最後まであきらめるな!」と選手たちを鼓舞しています。逆転された長い攻撃が終わってベンチに戻ってきたときにも、「まだまだ!」と叫んでみたり、雰囲気をよくするために、ベンチで控えている上田剛史に対して、「お前の声の力で3点取れ!」と命じてみたり、非常にタイムリーな声掛けをしてくれています。
――石井コーチと同年齢で、ともに今年からチームに加入した宮本慎也ヘッドコーチとの役割分担ができているのですか?
小川 そうですね。宮本の場合は、まさにその肩書き通りに全部のコーチを束ねたり、選手に対しての指導をしたりしています。コーチとしても、自ら憎まれ役を買って出るような姿勢も感じられますね。もちろん、選手たちに対する気遣いを見せながらも、厳しさを前面に出してやってくれています。でも、それは僕が命じた役割分担ではなくて、コーチ自身のキャラクターが影響しているのだと思います。
――野球理論、指導技術に加え、コーチ自身の個性が相まって組織が成立し、そこから独自のチームのムードが生まれるということですね。
小川 同じく今年から加入した外野守備走塁コーチの河田雄祐もいいキャラクターをしていますよ。試合前には、本当に細かい点まで守備面、走塁面のミーティングをしていますけど、選手たちとの距離が非常に近い親しみやすいコーチです。(石井)琢朗は琢朗で、いろいろな引出しを持っていて、選手たちを引っ張っている。宮本は全体を見渡した上で、「きちんと走れ!」とか、「最後まで気を抜くな!」と厳しさを前面に出している。これらは僕の指示ではなくて、それぞれがプロとして自分の役割を心得ている部分だと思います。