――停滞ムードを変えるために、大胆な選手起用や若手の抜擢というケースもあると思います。たとえば、不動の正捕手と目されていた中村悠平捕手に代わって、ルーキーの松本直樹選手や、2年目の古賀優大選手をスタメン起用した試合もありましたね。
小川 捕手というのはとても過酷なポジションで、結果論で非難されることも多いです。でも、こんなことを言ってはいけないかもしれないけれど、現状の防御率を考えた場合、うちの投手陣をリードするのはものすごく大変なことです。本人でなければわからないこともあるから、ベンチにいる僕が配球に関して批判をすることはあまりありません。
――では、中村選手の代わりに若手捕手を起用した理由は?
小川 「中村に対して刺激を与えたい」というよりは、なかなか勝てなかった原樹理やハフに勝ち星を与えるために、という意味合いの方が強かったですね。開幕以来、この2人がなかなか勝てなかった。だから、発想の転換というか、一度キャッチャーのほうを代えてみてはどうかと考えたからです。
――実際に、古賀選手がスタメンマスクをかぶった鹿児島での巨人戦(5月15日)にはハフ投手が待望の初勝利を挙げました。
小川 いやいや、あのときはハフが本当によくて、力でねじ伏せただけであって、キャッチャーのリードがどうこうという話ではなかったと思います。ただ、結果としてハフに初勝利が記録された。
――先ほど、「中村に刺激を与える意図はない」ということでしたが、結果的に中村選手には刺激になったのではないですか? 自分よりも年若いルーキーと2年目の選手の台頭は、大いに刺激となるはずですからね。
小川 そうですね、きっと刺激になっていると思います。うちには、8年目の西田(明央)、13年目の井野(卓)というキャッチャーがいます。でも、僕はあえて2年目の古賀や、1年目の松本を起用しました。これは、「どうせ中村を代えるのならば、思い切って若い選手を使った方がいい」と考えたからです。そう考えなければ、若手は伸びないと思ったからです。これは、前回監督をしたときに、思い切ってサードのポジションを宮本慎也から川端(慎吾)に代えたときと同じ発想です。
――なるほど。次回は改めて、「チーム内の競争」や「若手の起用」について、お話を伺います。どうもありがとうございました。
小川 承知しました。どうぞよろしくお願いします。