小川流2018燕改革!

今までの「常識、非常識」にとらわれず、
柔軟な発想で「現在の課題」をクリアする

2018.05.11 公式 小川流2018燕改革! 第4回

いまだ記憶に新しい2017シーズンの屈辱的な戦績。ドン底まで低迷したチームを立て直すべく舞い戻った小川監督は、宮本慎也ヘッドコーチを要に据えたチーム改革を断行した。ハードワークに見られる「厳しさ」の追求は、選手達の意識をどのように変え、チームにどんな変化をもたらしているのか――。インタビュアーにライター長谷川晶一氏を迎え、小川監督のスワローズ改革に迫っていく。

(インタビュアー:長谷川晶一)

外国人選手とのコミュニケーションは、
しつこいぐらいに確認、話をすること

――前回は、主に打撃陣について伺いました。今回は懸案の投手陣を中心に質問をします。まずはここまでの先発投手陣について、どのようにご覧になっていますか?

小川 先発投手については、開幕前から「どうしても人数が足りない」という状況でした。その中でも、ブキャナンとハフの両外国人先発は本当によく頑張っていると思います。ブキャナンに関しては、ここまで非常に安定したピッチングを見せてくれています。彼を開幕投手に指名したのも、「今年はブキャナンを中心にローテーションを回していく」という意思表示でもありました。

――5月11日現在、ブキャナン投手は3勝を挙げています。3月30日、DeNAとの開幕戦、自ら三塁打も放った4月6日の巨人戦、そして首位のカープを相手に見事な完封劇を演じた5月4日の広島戦。いずれも印象深いピッチングでした。

小川 来日2年目ながら、練習に取り組む姿勢、チームに対する協調性、いずれも投手陣の中心として存在感を発揮しています。日本の野球に慣れたこともあって、ここまでは常に安定感がある投球をしていると思います。彼が先発をすれば、ある程度長いイニングを投げてくれるので、ベンチとしては安心して送り出すことができますね。ブルペン陣を休ませる意味でも、彼の先発する試合は絶対に落とせません。

――もう一人の外国人投手、ハフ投手についてはどんな印象ですか?

小川 なかなか結果には結びついていないけれども、非常にいいものを持っていると思っています。ただ、試合途中まではほぼ完璧な投球を続けているのに、急に連打を浴びたり、ランナーを出すと突然、制球が甘くなったりして、ドカンとビッグイニングを作ってしまうことが続きました。この点については、我々としても頭を悩ませているところです。

――来日初登板となる4月4日の広島戦は5回までノーヒットノーランだったのに6回に5失点。11日の中日戦では4回までパーフェクトだったのに5回に崩れて一気に7失点。調子の見極めが難しい投手だという印象を受けます。

小川 一つ、一つのボールは間違いなくいいものを持っています。そして、普段の彼はすごく紳士なんです。ただ、少々神経質な部分がある。その辺りが投球にどのように影響しているのか? そして、我々はどのようにケアをすればいいのか? 外国人選手の場合は、こうした見極めが大事なので、慎重に進めているところです。

――外国人選手とのコミュニケーションで意識していることはありますか?

小川 「実績があるから大丈夫だろう」とか、「この程度ならば理解しているだろう」とか、その反対に「微妙なニュアンスは伝わらないから、言っても無駄だろう」と勝手に判断して、コミュニケーションをおろそかにしてしまうことが一番ダメなことだと思っています。そういう意味では日本人選手以上に気を配る必要がある存在です。外国人選手に対しては、しつこいぐらいに確認し、会話をすることを心がけています。

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プロフィール

小川淳司
小川淳司

千葉県習志野市出身。習志野高校卒業後、中央大学に入学。1981年ドラフト4位でヤクルトに入団。1992年現役を引退すると、球団スカウトやコーチなどを経て、2010年シーズン途中に監督に就任。2014年シーズンまでチームを率いる。退任後は、2017年シーズンまでシニアディレクターを務め、2018年から再び監督となる。

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