小川流2018燕改革!

今までの「常識、非常識」にとらわれず、
柔軟な発想で「現在の課題」をクリアする

2018.05.11 公式 小川流2018燕改革! 第4回

細心の注意を払って選手を見極め、
適材適所で起用するのが監督の役目

――先発陣に続いて、中継ぎ、抑え投手についてはどんな手応えを感じていますか?

小川 開幕からクローザーとして起用していたカラシティーの誤算が痛かったですね。4月の段階で2試合続けて抑えで結果が残せなかったので、急遽配置転換をしました。野球ですから、打たれることもあれば、抑えることもある。当然、失敗はあるんです。でも、リードしている場面で9回のマウンドに上がったときに、ナインに不安を与えるようではやはりダメだと思ったから、配置転換を決意しました。

――カラシティー投手に代わって、新たに石山泰稚投手がクローザーとなりました。

小川 現有戦力で考えたときに、適任だったのは石山でした。今の状況では、石山のほかに、抑えとして実績も経験もある秋吉(亮)、近藤(一樹)を頼りにして継投するしかない。ただ、人数が足りないので、どうしても登板過多になってしまうことは危惧しています。だから、2年目の中尾(輝)、4年目の風張(蓮)を上手に使いながら自信をつけさせて育てていく。それが今の僕の課題でもありますね。

――4月7日は風張投手が、翌8日は中尾投手が、巨人を相手にそれぞれプロ初勝利を挙げました。これは監督にとっても大きな収穫だったのですね。

小川 開幕前の時点で、風張、中尾ともに「1イニングは任せられるだろう」という思いはありました。彼らは僕の信頼に応え、それぞれプロ初勝利も挙げることができて自信も芽生えつつあると思います。ただ、緊張する場面での登板が続いているのも事実。疲れも溜まり始めていると思うんです。その辺りのケアを見極めながらの起用が続くと思います。

――ここまでの話を総合すると、外国人選手の性格について、あるいは原投手の投球術指導について、または若手投手のコンディションについて……。監督とはさまざまな点に最新の注意を払う役割なのだということを再認識しました。

小川 選手の起用というのは、常に試行錯誤の連続です。チームを勝たせるために、与えられた『駒』をどのように活用するかを考えるのが監督の仕事。常に細心の注意を払って、選手たちをよく見て、適材適所に選手を送り込む。それが監督の役目だと思っています。

――選手には好不調の波があるし、あるいは突発的な故障の可能性もある中で、「適材適所」を見極めるために、意識していることは何でしょうか?

小川 僕ももう還暦を過ぎていますから、昔の「常識」にとらわれないように意識しています。自分の中にある常識、非常識にとらわれずに、「今は何が問題なのか?」「問題解決のためにはどうすればいいのか?」を柔軟に考えたいと思っています。それは僕一人の独断ではなく、頼れるコーチ陣とのコミュニケーションを密にしながら、その時点での「ベストだ」と思える答えを手探りで探していきたいと思っています。

 

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プロフィール

小川淳司
小川淳司

千葉県習志野市出身。習志野高校卒業後、中央大学に入学。1981年ドラフト4位でヤクルトに入団。1992年現役を引退すると、球団スカウトやコーチなどを経て、2010年シーズン途中に監督に就任。2014年シーズンまでチームを率いる。退任後は、2017年シーズンまでシニアディレクターを務め、2018年から再び監督となる。

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