松之丞

松之丞

事実など存在しない、ただ解釈だけが存在する。 そんなニーチェさんの言葉を座右の銘として日々執筆していきます。
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――魔物は、災厄。 世界に蔓延る獰猛な獣を、人々はいつからかそう呼んでいた。 人の営みを悉く粉砕する災厄の如き魔物を前に、しかし人類は、剣を執る。 年若い戦士アクセルは、魔物の侵入を防ぐために敷設された関門に駐屯する兵士。 国家安寧の為、彼は決して終わることのない、戦いの日々を送っていた。 だがある日、彼の元に二人の女が現れた。 その一人は、かつて彼が使用人として仕えていた主、ウルリカだった。 尊大な態度でアクセルに迫る、すると彼女は、予想だにしない言葉を放つ。 「あたしが成し遂げる勇者の功業に、貴方も参列なさい」 その言葉が彼を、目を背けてはならない宿命へと誘うのだった。
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文字数 496,750 最終更新日 2020.03.29 登録日 2019.05.26
「悪を纏い、自由をもたらせ」  独りの騎士が背負った信託、それは、たった今自らが差し向けた一筋の刃が貫いた、愛しき友の言葉。  その女は神託をもたらし、人類が進むべき道を照らし続けた、聖女にして魔女。  それは、人類から自我を奪い、自らの手で選択することを放棄させた、悪の権化――それが決して、彼女の望みでなかったとしても、人々が望むままの傀儡を演じていたとしても。  だから女は、騎士にその手を汚させた。この世でただ独り、自分を殺せる者だから。人が人として生きてゆく為に。  導かれし軌道を進むことが安楽な生き方だとしても、無為自然こそが命の正しき在り方だから。  ――その身は悪に堕ち、血に染まる騎士は、最期に言祝ぐ。  天を見よ、我こそは明けの明星、咲かせ芽吹くは惡の華。  汝らに、自我をもたらす悪魔なり。
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文字数 83,948 最終更新日 2019.08.20 登録日 2019.07.13
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