ヴェールの令嬢の手には銀に光る刃物があった。
彼女はそれを両手で握り締めて、ディッタトゥーラに向かって走ってくる。
文字数 17,857
最終更新日 2024.07.31
登録日 2024.07.28
薄れていく意識の中、私の吐いた血溜まりに転がるそれは釦(ボタン)でした。
旧大陸で発見された古代魔導呪文を思わせる文様が描かれた、どこかで見たことのある釦です。
死に逝くものの見た幻覚だったのかもしれませんが、その釦は私の血の上を転がって、うっすらと光り始めました。
文字数 30,143
最終更新日 2024.06.23
登録日 2024.06.16
あの子……ユージーン殿下からの贈り物。この王国の守護神様と同じ、殿下の髪と同じ月光のような銀色の私の宝物。どうせ死ぬのなら、どうせ殺されるのなら、あの子の毒牙にかかりたいと、私は心から願いました。
文字数 14,342
最終更新日 2024.06.11
登録日 2024.06.08
羽音が聞こえる。無数の羽音が。
楽しげな囀(さえず)りも。
※略奪女がバッドエンドを迎えます。自業自得ですが理不尽な要素もあります。
文字数 11,610
最終更新日 2024.05.19
登録日 2024.05.18
父と婚約者に愛されている異母妹への嫉妬が、少女漫画『愛の鐘を鳴らして~オルティス侯爵家殺人事件~』での私の犯行理由だ。
文字数 26,333
最終更新日 2024.05.11
登録日 2024.05.03
「帝国との関係を重視する父上と母上でも、さすがに三度目となっては庇うまい。死神令嬢を未来の王妃にするわけにはいかない。私は、君との婚約を破棄するッ!」
文字数 16,433
最終更新日 2024.04.17
登録日 2024.04.09
彼が初めて淹れてくれたお茶を口に含むと、舌を刺すような刺激がありました。古い茶葉でもお使いになったのでしょうか。青い瞳に私を映すアントニオ様を傷つけないように、このことは秘密にしておきましょう。
文字数 12,996
最終更新日 2024.04.07
登録日 2024.04.01
「大丈夫ですわ。恋は必ず終わるのです。どんなに好きでも愛しくても、初恋の人でも婚約者でも、大切な想い出があったって恋は終わります。心を殺して、終わる日を指折り数えて待っていれば、いつか必ず……ダヴィデ様の恋も終わります」
文字数 6,155
最終更新日 2024.01.03
登録日 2024.01.01
「今夜の夜会にお集まりの皆様にご紹介させてもらいましょう。俺の女房のアルメと伯爵令息のハイス様です。ふたりはこっそり夜会を抜け出して、館の裏庭で乳繰り合っていやがりました」
文字数 7,570
最終更新日 2023.12.15
登録日 2023.12.11
ミケーレは彼女を乞う。もう一度会いたいと希う。
その真っ直ぐな瞳に自分を映して欲しいと願う。
時間が戻ってやり直せたら、と思う。
文字数 5,523
最終更新日 2023.12.07
登録日 2023.12.05
でも……もし私の恋心が消えていなかったら、そのときは今度こそ殺してあげようと思っています。
社会的にではなく身体的にもです。
そうしたらきっと、私の恋心は跡形もなく消え去ってくれるのだと思うのです。
文字数 5,756
最終更新日 2023.12.03
登録日 2023.12.01
だけど体調を崩して寝込んだ途端、女主人の部屋から物置部屋へ移され、満足に食事ももらえずに死んでいったとき、私は悟ったのです。
──なにをどんなに頑張ろうと、私がラミレス様に愛される日は来ないのだと。
文字数 7,062
最終更新日 2023.10.16
登録日 2023.10.13
私は一体だれなのでしょう。
彼に……第二王子ルドフィクス殿下に愛された彼女(フルーフ)なのでしょうか。
それとも彼に愛されなかった彼女(ハリエット)なのでしょうか。
文字数 18,310
最終更新日 2023.06.23
登録日 2023.06.14