ミカヅキは泣くように笑っていた。
二十歳の母になるのかもしれない、と言って。
僕はグラスの表面に付着した水滴を指で拭った。
カラン、カラン。
ミカヅキが頼んだアイスコーヒーの氷たちが鳴いた。
僕はそれでも顔を上げなかった。顔を上げたら、ミカヅキの目を見なくてはいけなくなるから。
だから、また、グラスをつたう水滴を拭う。
先ほどまでその中にあったカフェオレはもう既になくなっている。
冷たくて、寂しくて、切ないような水滴は、まるでミカヅキの涙みたいで。
当の本人は一滴も流していないというのに、僕はまるでミカヅキの涙を拭っているような錯覚に陥る。
「ねぇ、どうしたらいい」
文字数 2,130
最終更新日 2023.09.03
登録日 2023.09.03
いつから世界はこんなにも味気なくなったのだろう。
耐える胸の奥、私は独りで泣いていた。
灰色の町並みは、ただただ私を責めるばかりで。
だから、だろうか。
その中で貴方だけが色を持っていたのは。
だから、だろうか。
私がまるで祈りにも似た気持ちで貴方に近付いたのは。
「お一つ、どうぞ」
湿気た空気を鼻で嗅いだ君は、雨の降る気配を察したのだろう。
徐に傘を広げて、僕をその中に呼び寄せた。
「こっちに来て」
泣き出しそうに震えた声。
僕はそれに抗うことが出来ないのだ。
ふらふら、ふらり。
頼りない足を前に進めて、僕は君の元に行く。
こんな僕たちにも雨は優しく降り注ぐ。
継ぎ接ぎだらけの愛情へ。
文字数 5,749
最終更新日 2023.06.11
登録日 2023.06.11
最近よくある不良もの、の続き。
つまりは、そう、腹黒寵愛姫二人の物語。
猫かぶり主人公たち、
一体どこまで騙せるかしら?
「その女、女狐につき。」の続編。
楽しく愉快に、笑いましょう。
恋とか愛とか、馬鹿馬鹿しいわ。
奪われたのは、思い出の彼。
取り返すのは、自分の記憶。
二年前のあの日、
私は記憶を失った。
文字数 45,713
最終更新日 2023.06.02
登録日 2023.05.27
最近よくある不良もの。
つまりは、そう、お姫様の腹黒親友のお話。
猫かぶり主人公、一体どこまで騙せるかしら?
楽しく愉快に、笑いましょう。
恋とか愛とか、馬鹿馬鹿しいわ。
欲しいのは、その権力。
欲しいのは、その地位。
一年前のあの日、
私は寵愛姫になることを誓った。
その女、
女狐につき。
文字数 105,424
最終更新日 2023.05.26
登録日 2023.05.13
あるチームに、突然現れた女子高生レナ。
彼女は三人の下っ端くんたちに興味を持った。
これは、
そんな下っ端くんたちが
それなりイケメンを目指して頑張るお話。
四人の仲良しラブコメディー
……なのかもしれない。
そう言えば、総長たちの話を従妹にしたらさ。
『主要キャラ補正だよ、それ』
なんてわけわかんないこと言ってたな……
しゅようきゃらほせい? なんだそれ!
も、もしかして、
それがあれば俺たちもかっこよくなれるのか……?
文字数 15,282
最終更新日 2023.05.13
登録日 2023.05.13
文字数 14,655
最終更新日 2023.05.13
登録日 2023.05.13
交通事故に遭った主人公、矢賀麗美(やがれみ)は
気がついたら乙女ゲームの世界に転生していた。
大好きな乙女ゲームの世界を
悪役令嬢のパトリシア・ロイドとして満喫する主人公。
「私がパトリシアでいいんですか!!」
彼女は決意した。
推し作品のために全力で悪役令嬢に徹するしかないじゃない、と。
嫌われることこそ、本望。
最終目標は卒業パーティーでの婚約破棄!
終わったら一ファンとして下町で生きていこう。
そうだそうしよう。
だが、そんな彼女に現れたのは転移者の當原翔梧(とうばるしょうご)だった。
「聞いてない聞いてない。これでストーリー変わっちゃったらどうしてくれるわけ?!」
「あ? つか、ここどこだよ」
硬派系不良くん×社畜OL転生者
ラブコメ風味で、いざ開幕ーーーー。
文字数 50,125
最終更新日 2023.05.12
登録日 2023.05.12
アンドロイド二人の今日について。
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「ねぇ、牧くん。起きてよ〜」
少女の声がした。
続いて身体に重量がかけられて、俺は目を覚ました。
文字数 5,122
最終更新日 2023.05.09
登録日 2023.05.09
文字数 15,736
最終更新日 2023.05.08
登録日 2023.05.08