柊 あると

柊 あると

標高1500mの高原にて、面会謝絶中。村上政彦氏主宰の「小説道場」塾生。執筆はオールグラウンダー。
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恋愛 完結 短編
中学生の時の「初恋」。階段の上から、突然足元に降ってきた男の子。彼を見下ろした氏家真美と落ちてきた渡辺裕也は、お互いに「初恋」をした。けれどお互いに「好きだ」とは言えなかった。けれど、二人は何度も何度も、その人生が交わる機会があったが、告白する勇気にはつながらず、ただ見ているだけだった。中学を卒業し、高校時代にも出会う機会があったが、やはり二人とも何も言えなかった。 最後に、会う機会があったのは23歳の時だったが、真美は「今更、何を語ればいいのか?」と、その機会を自分から切ってしまった。 その後の二人は人生が交わることがなかった。 それから30年が経った。真美は、渡辺の姿を夢で見ることが多くなったので、彼と同じ高校へ進んだ友人に彼の消息を探してもらったが、実家の住所までしかたどれなかった。 彼女には、一人娘がいた。渡辺と人生が交わっていたら、この子は生まれてなかった。 結局二人は、何度も機会があったが、けっして人生が交わる運命ではなかったのだと思った。 思い出は年を追うごとに冴えて冷えわたり、美しく凍結し続けてくのだった。 「ラブ・ストーリー」にならなかった「ラブ・ストーリー」を真美と渡辺は、中学時代共有していたのだった。
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文字数 15,079 最終更新日 2024.06.28 登録日 2024.06.10
西野葵(にしのあおい)。2016年8月20日時点で18歳の大学1年生だ。 「へそから血脈(ちみゃく)を辿って毛細血管の最先端まで行くために、オートバイの免許を取った」と理解不能宣言をした。 聞いていたのは、清水悠真(しみずゆうま)。小林巧(こばやしたくみ)、小松清太郎(こまつ)(せいたろう)。西田文一(にしだぶんいち)。「十王輪友会(じゅうおうりんゆうかい)」というライダーズクラブのメンバーだ。 葵が言う「へそ」とは、上田市にある「生島足島神社(いくしまたらしまじんじゃ)」のことだ。別名「日本のへそ」と言われている。 上田市には「真田幸村」の居城がある。「十王」とは「真田十勇士」から取ったものだった。 「十王」になれるだけのテクニック。オートバイを御せるだけの精神力。ゆるぎない信念。どんなに辛いことにも屈しないで立ち上がる。絶対に諦めない。「やさしさ」は心の余裕の部分に住んでいる。その場所を持ち続けられるもの。それが、彼らが目指す「十王」だった。 葵はどかっと大地に足を付けた、重たい奴らの背中を追いながら、「十王」になっていった。
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文字数 80,368 最終更新日 2024.04.28 登録日 2024.04.08
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