第7回ライト文芸大賞

第7回ライト文芸大賞

選考概要

全1,829作品が集まった第7回ライト文芸大賞。その中から一次選考を通過したのは40作品。ご当地をテーマにした作品や、十代の少年少女を爽やかに描いた青春小説、心もお腹も満たされるお料理モノなど、バラエティ豊かな作品が集まった。

その後、最終選考において大賞候補としたのは、「独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~」「風船ガール 〜気球で目指す、宇宙の渚〜」「シロクマのシロさんと北海道旅行記」「聖夜のアンティフォナ~君の声は、夜を照らすあかりになる~」の4作品。

これらの候補作の中で、女子高生がしゃべるシロクマと旅をするというキャッチーな設定を取り入れ、最も編集部内で支持を集めた「シロクマのシロさんと北海道旅行記」を大賞に選出した。
テーマ別賞には、小説としての文章力・構成力が評価された「独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~」を料理・グルメ賞に選出。爽快感のある学園ストーリーが魅力的な「風船ガール 〜気球で目指す、宇宙の渚〜」は青春賞とした。また、ろう者の少女との恋愛を感動的に描いた「聖夜のアンティフォナ~君の声は、夜を照らすあかりになる~」に、命の輝き賞を授与した。
なお、最終選考に残ったものの、惜しくも受賞に至らなかった作品を奨励賞とした。

「シロクマのシロさんと北海道旅行記」は、大学受験に失敗して恋人にも振られた女子高生が、しゃべるシロクマと出会い、北海道を旅するというキャッチーな設定の物語。しゃべるシロクマとのコミカルなやりとりに加え、主人公、姉、母の確執が克明かつ爽やかに描かれている点が魅力的だった。

「独身寮のまかないさん ~おいしい故郷の味こしらえます~」は、独身寮でまかないをつくる主人公と、そこに住む男性社員たちの日常を切り取った作品。料理描写にとどまらず、表現力全般に目を引くものがあり、穏やかながら満足度の高い読後感が得られた。

「風船ガール 〜気球で目指す、宇宙の渚〜」は、天文部に所属する少女が、亡き姉がめざした高高度気球の打ち上げに挑戦する青春小説。明るく爽やかな筆致が作品にマッチしていた。

「聖夜のアンティフォナ~君の声は、夜を照らすあかりになる~」は、ろう者の少女と元天才ピアニストの少年の恋愛を描いた作品。創作物において人気のある設定である一方、難しいテーマに果敢に挑んだ点が評価された。

開催概要はこちら
応募総数 1,829作品 開催期間 2024年05月01日〜末日

編集部より

女子高生がしゃべるシロクマの「シロさん」と出会い、旅をするという物語の世界に、冒頭からグッと引き込まれました。主人公の置かれている境遇が思わず胸が痛くなるほどリアリティたっぷりに描かれており、それら全てを包み込むようなシロさんの柔らかい雰囲気と優しさあふれる姿にとても心温まります。読者の背中をそっと押してくれる作品でした。


編集部より

ポイント最上位作品として、“読者賞”に決定いたしました。キャラクターの心情が丁寧に描かれており、感情移入させられました。尽くしてきた夫に不倫され、記憶を捨てた主人公が愛情深い新たな夫とともに不幸を乗り越えて前に進んでいこうとする姿に多くの読者が胸を打たれました。


編集部より

ご当地の食材を使用した料理の描写が巧みで、作中に登場する料理を食べてみたい気持ちになりました。料理の描写だけではなく、独身寮に住まう社員たちをはじめとしたキャラクターたちも丁寧に描かれており、悩みを抱えた人々が主人公のつくる料理を通して前を向いていく姿に元気をもらえるような、あたたかい作品でした。


編集部より

亡き姉の思いを継いで「宇宙の渚」まで気球を飛ばそうと決意し、そのために奮闘する主人公の姿に、読者の心が奮い立たせられる作品です。巧みな心情描写も魅力で、姉にコンプレックスを抱いていた主人公の十代ならではの葛藤が上手く描かれていて、思わず惹きこまれました。


編集部より

元ピアニストの主人公と、耳の聞こえない少女の穏やかな交流を魅力的に描いた作品でした。少年視点で語られる恋愛と、筆力が問われる重いテーマを巧みに組み合わせ、丁寧に描かれた物語であると感じました。二人の恋が少しずつ進展していき、壁を乗り越えて結ばれる結末も感動的でした。

※受賞作については大賞ランキングの最終順位を追記しております。

奨励賞

投票ユーザ当選者

投票総数 2,902票 当選 10名