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23 私の幸せ
しおりを挟むご褒美タイム。毎日、この為だけに執務を頑張っていると言ってもいいくらいに大好きな休憩時間。認識阻害のかかったお気に入りの東屋で、彼と一緒に思い出の味に舌鼓を打っていたのだが。
私の正面に座った高位の魔法使いはあまり食欲がないようだ。私に質問を投げかけた後は黙りこくったままで、せっかくの焼き菓子にも全く手を付けていない。
無表情の目が自信なさげに揺れている。
私は焼き菓子を食べる手を止めて、大好きなお茶でのどを潤した。そして考える。どうしたら上手く彼に伝えられるのか。
私がこうして話に夢中になっていても、お気に入りのお菓子を誰かに奪われることも無い。仕事を邪魔されることも無い……認識阻害の魔法のかかった当主用の執務室へは物理的に入ることができないからだ。
お陰で誰に邪魔されることも無く仕事が捗るので、本日分の執務は既に目処がついている。
天気も良くて気持ちがいいので、このまま彼との会話を楽しんで休憩を長めにとってもいいだろう。
ああ、なんてのんびりとした
――穏やかで、幸せな時間なのだろう。
「もちろんよ。むしろ貴方以外に考えられないわ。今の幸せな生活は全て、貴方が与えてくれたものだもの」
「そ……そうか!」
特にいい考えは浮かばなかったが、気が付けば口元が緩み自然とそんな言葉が私の口から漏れていた。
彼の、無表情の切れ長の目が。
嬉しそうにキラキラと輝く。
……どうしよう格好いい……。
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