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22 選んだ未来

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 私はとりあえず義妹の『すごい』を魔法で封じることにした。これ以上の面倒事を避けるためだ。

 ――その途端。


『素晴らしい』だの『見事』だの『さすが』だの『感嘆』だの……


 …表現方法を次々に変えて私を褒める義妹。


『ずるい』を魔法で言えなくした時よりも切り替えが早く更に手強くなっている気がするが、義妹の本は我が国より国力の強い帝国への進出も決まっているらしいので、ここで手を緩めるわけにはいかない。

 私を巻き込まなくなるまで地道に魔法をかけ続けてもらうしかないだろう。


 そして……





「本当にこれで良かったのか?」

 余計なことを考えないように。
 意識を集中して執務に取り組んでいると、突然そんな言葉がかけられた。
 いいニオイのする声の方向に目をやれば。大好きな、ちょっと安めの庶民のお茶を持った無表情の彼がいた。彼が現れたということは、そろそろ私が何より大事にしている休憩時間だ。

 今日は彼が教えてくれた、亡きお母様がよく作ってくれた焼き菓子を一緒に食べることになっている。

 目処の付いた当主の仕事を一旦引き出しの中に片付けて。彼――高位の魔法使いと共に、魔法で自慢の庭へと移動する。



「もちろんよ。紅茶もいいけれど、このホッとする味のお茶が好きなの。それに――この焼き菓子! うん、うん、コレよ、コレ! 間違いないわ。風邪を引いた時なんかにお母様がよく作って食べさせてくれたのだけど、名前が分からなくて。それにしても――このお茶。まさかお母様の母国の、しかも庶民用のお茶だったなんて。国内をいくら探しても見つからないし、あちらからの貴族用商品カタログにも載っていない筈よね」

「ええと、いや、そうじゃなくて――その。本当に、俺……、でよかったのか?」




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