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飲まないの?
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何故だろう。
何故か最近、鏡子の様子がなんとなく変だと思う。
俺が北海道の出張から帰ってきて、今日ではや3日。
鏡子は今日が仕事最終日で、今は閉店後に花束をもらって、夏木ちゃんやエリナちゃんと一緒に写真を撮ったりしている。
俺はそんな彼女を眺めながら、独り、首を傾げた。
出張から帰ってきたら、鏡子にプロポーズする。…はずだった。
しかしタイミングをみているうちに、ここ三日で鏡子の様子がいつもと違うことに気づいてしまった。
何が変、なのかというと…
「柳瀬さんも一緒に撮りましょうよ~」
「え、俺?俺はいいよ」
「いいじゃないですか。はい、ちーず」
「…」
変に「明るい」というか、仕事をもう辞めてしまうから、肩の荷が下りたってことなのかはわからないけど、そもそも俺が出張に行く少し前からかな?こんなに、笑うコだったっけって思うほど。
しかも鏡子から2ショットなんてなかなか撮りたがらないのに、彼女はさっきみたいにそういって、しかもみんなの前で俺とも写真を撮った。
…考えすぎ、だといいけど。
「…写真撮った?そろそろ予約してある店行くよー」
そして因みに今日は、この後鏡子が最後ということで近所のいつもの居酒屋でみんなで飲み会をすることになっている。
俺の掛け声で、みんなは制服から私服に着替えると、やがて店を後にした。
…………
今日はこういう飲み会だから、普段飲み会に参加しないようなバイトのコたちも来ている。
店に到着するなり、俺も含めてみんなはお酒を注文したけど、何故か鏡子だけ違った。
「あたしはオレンジジュースで」
それはもう何の躊躇いもなく、サラッと口にしたから、俺もみんなもスルーしそうになるほどだった。
だけど、ジュース!?いつもはみんなに合わせて鏡子もお酒を飲むのに!
俺はそう思うと、さりげなく隣に座っている鏡子に言う。
「え、どうしたの?飲まないの?」
俺がそう聞くと、同じことを思ったらしい夏木ちゃんも鏡子に言った。
「そうだよどうしたの、今日は鏡子ちゃんのための飲み会なんだから」
だけど俺たちがそう言ったら、鏡子は申し訳なさそうに言った。
「すみません。実はこの前からずっと胃の調子があんま良くなくて」
「え、若いのに~」
「なのでごめんなさい。あたしは今日はオレンジジュースで」
もちろん皆さんはあたしに構わず飲んで下さい、なんて言うけれど。
最近胃の調子が悪かったなんて初めて聞いたな。言われてなかっただけかな。
だけど今この場でそこに突っ込むわけにはいかなかくて、みんなと一緒に納得したフリをした。
「じゃあお構いなく俺たちは飲も!」
「わかった。じゃああたしが鏡子ちゃんの分まで飲んであげるね!」
そう言いながら、ちらりと鏡子に目をやると、やっぱり鏡子はみんなと同じく普通にいつも通り笑っているだけ。
…見た目は元気そうだし、変に明るいのも「何かを抱えているから」っていう風にも見えない。
いや、見せてないだけかもしれないけど。
しかし、そこから飲み会が始まって、いい感じに酔いが回ってきた1時間後。
俺が居酒屋店内のトイレから出てきたら、目の前には何故か真剣な顔をしたエリナちゃんが立っていた。
「!…え、エリナちゃん!?」
「柳瀬さんちょっといいですか?話があるんですけど」
「ちょっと待って俺間違えた!?」
「いえ、大丈夫です。ここ男トイレで合ってます」
エリナちゃんはそう言うと、元々一つしかない男用トイレの個室に入ってきて、内側から鍵を締める。
トイレの中には手洗い器もあるし広めだから、変に近くならなくてそこが救いだけど。
でも、ほんとどうしたんだろ急に。
っつか、こんなとこ鏡子に見られたらマジ誤解されそう。
そう思いながら、
「ど、どしたの話って」
俺がそう聞くと、エリナちゃんが言った。
「…こんなこと、本当は柳瀬さんには聞かないでおこうと思ってたんですけど」
「?」
「鏡子、最近何か変じゃないですか?」
「!」
エリナちゃんは俺も思ってたことと同じことを口にするから、なんとなく、頷きたくなくて思わずエリナちゃんから目を逸らす。
でも、そんな俺に構わずにエリナちゃんが言葉を続けた。
「今日お酒飲んでないですよね?鏡子。実はこの前あたしのマンションに泊まりに来た時も胃が悪いとか言って鏡子お酒飲まなかったんです」
「!…え、」
「まぁ胃は一回悪くすると長引くのはよく聞く話ですけど、鏡子の場合なんか怪しいっていうか…。
柳瀬さんなら何か知ってるんじゃないかなって思ってるんですけど」
で、鏡子はなんでお酒飲まないんですか?
って、俺と鏡子が付き合っていることを知っているらしいエリナちゃんはそう聞いてくるけれど、その答えは俺の方が知りたい。
だから俺はエリナちゃんから顔を背けながら、言った。
「…知らない」
「えっ」
「実は俺もさっき初めて知ったから。鏡子が胃悪くしてんの」
俺がそう言うと、エリナちゃんは「ええ…」とトイレの壁にうなだれる。
「…ますます怪しいじゃないですか」
「え、そんなこと言わないで。俺は疑ってないし」
…なんて。結構不安になってきてるけど、今。
するとそう思っていたら、その時うなだれていた姿勢を正してエリナちゃんが言った。
「あの、あたしが思ってること、正直に言っていいですか?」
「…え、」
「鏡子って、実際…」
何故か最近、鏡子の様子がなんとなく変だと思う。
俺が北海道の出張から帰ってきて、今日ではや3日。
鏡子は今日が仕事最終日で、今は閉店後に花束をもらって、夏木ちゃんやエリナちゃんと一緒に写真を撮ったりしている。
俺はそんな彼女を眺めながら、独り、首を傾げた。
出張から帰ってきたら、鏡子にプロポーズする。…はずだった。
しかしタイミングをみているうちに、ここ三日で鏡子の様子がいつもと違うことに気づいてしまった。
何が変、なのかというと…
「柳瀬さんも一緒に撮りましょうよ~」
「え、俺?俺はいいよ」
「いいじゃないですか。はい、ちーず」
「…」
変に「明るい」というか、仕事をもう辞めてしまうから、肩の荷が下りたってことなのかはわからないけど、そもそも俺が出張に行く少し前からかな?こんなに、笑うコだったっけって思うほど。
しかも鏡子から2ショットなんてなかなか撮りたがらないのに、彼女はさっきみたいにそういって、しかもみんなの前で俺とも写真を撮った。
…考えすぎ、だといいけど。
「…写真撮った?そろそろ予約してある店行くよー」
そして因みに今日は、この後鏡子が最後ということで近所のいつもの居酒屋でみんなで飲み会をすることになっている。
俺の掛け声で、みんなは制服から私服に着替えると、やがて店を後にした。
…………
今日はこういう飲み会だから、普段飲み会に参加しないようなバイトのコたちも来ている。
店に到着するなり、俺も含めてみんなはお酒を注文したけど、何故か鏡子だけ違った。
「あたしはオレンジジュースで」
それはもう何の躊躇いもなく、サラッと口にしたから、俺もみんなもスルーしそうになるほどだった。
だけど、ジュース!?いつもはみんなに合わせて鏡子もお酒を飲むのに!
俺はそう思うと、さりげなく隣に座っている鏡子に言う。
「え、どうしたの?飲まないの?」
俺がそう聞くと、同じことを思ったらしい夏木ちゃんも鏡子に言った。
「そうだよどうしたの、今日は鏡子ちゃんのための飲み会なんだから」
だけど俺たちがそう言ったら、鏡子は申し訳なさそうに言った。
「すみません。実はこの前からずっと胃の調子があんま良くなくて」
「え、若いのに~」
「なのでごめんなさい。あたしは今日はオレンジジュースで」
もちろん皆さんはあたしに構わず飲んで下さい、なんて言うけれど。
最近胃の調子が悪かったなんて初めて聞いたな。言われてなかっただけかな。
だけど今この場でそこに突っ込むわけにはいかなかくて、みんなと一緒に納得したフリをした。
「じゃあお構いなく俺たちは飲も!」
「わかった。じゃああたしが鏡子ちゃんの分まで飲んであげるね!」
そう言いながら、ちらりと鏡子に目をやると、やっぱり鏡子はみんなと同じく普通にいつも通り笑っているだけ。
…見た目は元気そうだし、変に明るいのも「何かを抱えているから」っていう風にも見えない。
いや、見せてないだけかもしれないけど。
しかし、そこから飲み会が始まって、いい感じに酔いが回ってきた1時間後。
俺が居酒屋店内のトイレから出てきたら、目の前には何故か真剣な顔をしたエリナちゃんが立っていた。
「!…え、エリナちゃん!?」
「柳瀬さんちょっといいですか?話があるんですけど」
「ちょっと待って俺間違えた!?」
「いえ、大丈夫です。ここ男トイレで合ってます」
エリナちゃんはそう言うと、元々一つしかない男用トイレの個室に入ってきて、内側から鍵を締める。
トイレの中には手洗い器もあるし広めだから、変に近くならなくてそこが救いだけど。
でも、ほんとどうしたんだろ急に。
っつか、こんなとこ鏡子に見られたらマジ誤解されそう。
そう思いながら、
「ど、どしたの話って」
俺がそう聞くと、エリナちゃんが言った。
「…こんなこと、本当は柳瀬さんには聞かないでおこうと思ってたんですけど」
「?」
「鏡子、最近何か変じゃないですか?」
「!」
エリナちゃんは俺も思ってたことと同じことを口にするから、なんとなく、頷きたくなくて思わずエリナちゃんから目を逸らす。
でも、そんな俺に構わずにエリナちゃんが言葉を続けた。
「今日お酒飲んでないですよね?鏡子。実はこの前あたしのマンションに泊まりに来た時も胃が悪いとか言って鏡子お酒飲まなかったんです」
「!…え、」
「まぁ胃は一回悪くすると長引くのはよく聞く話ですけど、鏡子の場合なんか怪しいっていうか…。
柳瀬さんなら何か知ってるんじゃないかなって思ってるんですけど」
で、鏡子はなんでお酒飲まないんですか?
って、俺と鏡子が付き合っていることを知っているらしいエリナちゃんはそう聞いてくるけれど、その答えは俺の方が知りたい。
だから俺はエリナちゃんから顔を背けながら、言った。
「…知らない」
「えっ」
「実は俺もさっき初めて知ったから。鏡子が胃悪くしてんの」
俺がそう言うと、エリナちゃんは「ええ…」とトイレの壁にうなだれる。
「…ますます怪しいじゃないですか」
「え、そんなこと言わないで。俺は疑ってないし」
…なんて。結構不安になってきてるけど、今。
するとそう思っていたら、その時うなだれていた姿勢を正してエリナちゃんが言った。
「あの、あたしが思ってること、正直に言っていいですか?」
「…え、」
「鏡子って、実際…」
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