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【続編】

7:絶対に忘れることができない

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絶対に忘れることができないキスをできた。

だから「自制できなかった」と謝罪をするアズレークに「問題はない」と答えたかったのだが。何せとんでもない感覚が体内を巡ったので、力も入らなければ声も出ない。

ただただ、アズレークに抱きしめられるままになっていた。

アズレークの胸の中に包まれていると。
守られるような気持ちになり、安心できる。
そして逆鱗がアズレークの存在を感じているからか。
この胸の中を懐かしく感じてしまう。

「パトリシア。ドルレアン一族の一件はもう落ち着く。あと数日もすれば、通常の仕事量に収まる。……仕事中毒(ワーカホリック)と言われているが、それは少し押さえよう。パトリシアやスノーと過ごす時間も大切にしたいから」

まだ声は出ない。
でも力は少し入る。
ゆっくりと顔を上げ、アズレークを見上げると。

「この一ヶ月間、寂しい思いをさせてしまった。でもこれからは朝と夜の食事は共にできる。休日はちゃんと休む。もう寂しい思いはさせないから」

アズレークの両手が私の頬を包み込んだ。
優しさを帯びた黒い瞳が慈しむように私を見つめている。

「……アズレーク」

囁くようにその名を呼ぶと、彼の唇が再び、私の唇に重なった。



「あっ! 来た! アズレークさま、パトリシアさま!」

ベンチに座っていたスノーが立ち上がり、そばにいた鳩が一斉に飛び立った。警備の騎士がチラリとこちらを見て、敬礼している。

結局。
あの後、三回キスをして。
その後は逆鱗にアズレークが魔法をかけ直したことで、ようやく体の反応も収まった。そしてアズレークは魔術師レオナルドの姿に戻り、魔法を使いあっという間に庭園へ私と二人、移動していた。

確認したところ、アズレークの執務室から庭園まで、大人が徒歩で15分ぐらいかかるという。スノーの足では20分以上かかったはずなので、執務室でついアズレークと熱い時間を過ごしてしまったが。スノーを待たせることにならずに済んだ。その事実を知り、一安心する。

きっとアズレークはすべて計算済みだったと思う。

「おー、本当にいた、いた! パトリシアさま、スノー! 魔術師さま!」

元気に手を振るのは、いつもの軍服姿のマルクスだ。

「あー、マルクス兄(にぃ)~!」

スノーがご機嫌でマルクスへと駆けて行く。

「元気にしていたか、スノー!」

マルクスはスノーを抱き上げ、まるで子供にするような高い、高いをしている。スノーはキャッキャッと喜んでいた。

「昼休憩ですか、マルクス」

アズレークが……魔術師レオナルドが優雅に尋ねる。
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