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62:嵐の前の静けさ
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魚釣りから戻った後は、夜のゴースト退治に備えることになった。
小ホールのゴーストは、21時以降の目撃情報が多かったので、21時に現場に向かうつもりでいた。だから時間はまだたっぷりある。そこで小ホールのゴーストは、どんなものなのか。家令のゴヨや召使いなどにヒアリングし、その話をまとめようとしたのだが……。
女性の悲鳴のような声を聞いた。ミシミシ、ギシギシという床が軋む音が一晩中鳴っていた。馬の蹄のような音が響いていた。21時過ぎに足を踏み入れると、全身に悪寒が走った。舞踏会で使用していたが、突然床が水浸しになった。誰かに体を触れられた気がした……。
青の塔の時のように、扉を開いた瞬間、何かを感じ足を踏み出せないと、一様に皆、声を揃える――そんな感じではなかった。それぞれ聞いたり、体感したりしていることが、違っている。
こうなると人型のゴーストがいるのか、モンスターゴーストがいるのか。判別がまったくつかない。
そんなことを思っていると、思いがけない情報がもたらされた。今日はなんとアルベルトと三騎士が、ゴースト退治に付き合ってくれるという。アルベルトがゴースト退治に立ち会うと聞いた領主ヘラルドは、自分も同行すると言い出した。領主ヘラルドが同行するとなると、家令のゴヨや騎士も何名か来ることになり……。
今晩のゴースト退治は、いつにない人出の中で、行うことになった。
正直な気持ちとしては、こんなに人がいる必要はなく、むしろ足手まといにならないか、そちらの方が心配になってしまう。だがそんな風に思っていることを、打ち明けることなどできず……。
何より、小ホールという名だが、そこは舞踏会の会場になるぐらい広い。今日のゴースト退治に名乗りをあげた全員が集合しても、スペースは有り余るはずだ。
ということで21時前に、一度ダイニングルームに集合した私達は、全員で小ホールへ向かうことになったのだが……。領主ヘラルドはこの一年、この時間に、自室から出ることはなかった。だから、風で窓がガタッと音を立てるだけで悲鳴をあげ、誰かのくしゃみに、絶叫した。
もしゴーストがいるなら、領主ヘラルドの声で逃げるのでは……。思わずそう考えてしまうぐらいの声だ。
それでもなんとか小ホールに到着した。
ゴースト退治をするとあらかじめ決めていたので、明かりはついている。
天井には豪華なシャンデリア。壁には美しい絵が描かれ、窓には厚手のカーテン。床は綺麗に磨き上げられており、光を受け、輝いている。
「スノー、何か感じる?」
「何も感じません。何も感じず、怖いぐらいです。なんだかまるで、嵐の前の静けさみたいです」
スノーのその懸念は……。数秒後に当たることになる。
それは唐突に突然、現れた。
まるでまとめてこの場に召喚したかのように。
あまりの数に衝撃を受ける。
目の前のホールに溢れるぐらい、ゴーストがいる。
人型のゴーストもいれば、モンスターゴーストもいる。
「領主ヘラルドさま、このホールにはとんでもない数のゴーストがいます。今すぐ、退避してください」
小ホールのゴーストは、21時以降の目撃情報が多かったので、21時に現場に向かうつもりでいた。だから時間はまだたっぷりある。そこで小ホールのゴーストは、どんなものなのか。家令のゴヨや召使いなどにヒアリングし、その話をまとめようとしたのだが……。
女性の悲鳴のような声を聞いた。ミシミシ、ギシギシという床が軋む音が一晩中鳴っていた。馬の蹄のような音が響いていた。21時過ぎに足を踏み入れると、全身に悪寒が走った。舞踏会で使用していたが、突然床が水浸しになった。誰かに体を触れられた気がした……。
青の塔の時のように、扉を開いた瞬間、何かを感じ足を踏み出せないと、一様に皆、声を揃える――そんな感じではなかった。それぞれ聞いたり、体感したりしていることが、違っている。
こうなると人型のゴーストがいるのか、モンスターゴーストがいるのか。判別がまったくつかない。
そんなことを思っていると、思いがけない情報がもたらされた。今日はなんとアルベルトと三騎士が、ゴースト退治に付き合ってくれるという。アルベルトがゴースト退治に立ち会うと聞いた領主ヘラルドは、自分も同行すると言い出した。領主ヘラルドが同行するとなると、家令のゴヨや騎士も何名か来ることになり……。
今晩のゴースト退治は、いつにない人出の中で、行うことになった。
正直な気持ちとしては、こんなに人がいる必要はなく、むしろ足手まといにならないか、そちらの方が心配になってしまう。だがそんな風に思っていることを、打ち明けることなどできず……。
何より、小ホールという名だが、そこは舞踏会の会場になるぐらい広い。今日のゴースト退治に名乗りをあげた全員が集合しても、スペースは有り余るはずだ。
ということで21時前に、一度ダイニングルームに集合した私達は、全員で小ホールへ向かうことになったのだが……。領主ヘラルドはこの一年、この時間に、自室から出ることはなかった。だから、風で窓がガタッと音を立てるだけで悲鳴をあげ、誰かのくしゃみに、絶叫した。
もしゴーストがいるなら、領主ヘラルドの声で逃げるのでは……。思わずそう考えてしまうぐらいの声だ。
それでもなんとか小ホールに到着した。
ゴースト退治をするとあらかじめ決めていたので、明かりはついている。
天井には豪華なシャンデリア。壁には美しい絵が描かれ、窓には厚手のカーテン。床は綺麗に磨き上げられており、光を受け、輝いている。
「スノー、何か感じる?」
「何も感じません。何も感じず、怖いぐらいです。なんだかまるで、嵐の前の静けさみたいです」
スノーのその懸念は……。数秒後に当たることになる。
それは唐突に突然、現れた。
まるでまとめてこの場に召喚したかのように。
あまりの数に衝撃を受ける。
目の前のホールに溢れるぐらい、ゴーストがいる。
人型のゴーストもいれば、モンスターゴーストもいる。
「領主ヘラルドさま、このホールにはとんでもない数のゴーストがいます。今すぐ、退避してください」
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