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17話 誓い(アルトゥール視点)
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ディートリントに出会ってから、私の人生は変わり始めた。
私は辺境の地グローズクロイツ領で辺境伯の嫡男として生まれた。
代々辺境の地を守るグローズクロイツ家の者達は分家に至るまで皆身体が大きい。私は産まれた時から、特に大きかったらしい。
グローズクロイツ家の嫡男には浄化魔法の能力がある。それはこの地の瘴気を浄化し、魔物を浄化するためだ。そして、魔獣を討伐するための魔力や体力、筋力も普通の人より多めに持って産まれてくる。私は魔法、剣、体術は誰よりも秀でているとまわりには言われていた。
辺境の地の女性達も皆強い。身体も大きく、いざという時は戦える物ばかりだ。男も女も皆、どちらかといえば拳で語り合うタイプの者ばかりで、私もそうだった。
初めて王都に行った時はカルチャーショックを受けた。
男も女も骨格が細い。こんな身体で戦えるのか? まずそう思った。
王都に魔獣は出ない。他国からの侵略もいきなり王都に来ることはない。戦うことなど生涯ないから鍛える必要がないらしい。
デビュタントで初めて王都の夜会に参加した時は女性達の煌びやかなドレス、濃い化粧、鼻につく香水の臭いに吐き気がした。ここは私のいる場所ではないと思った。
しかし、いずれは辺境伯となる身。ある程度は社交もしなくてはならない。私は幼馴染のコンラート、ブルーノを連れて王都の貴族学校に入学した。
勉強は辺境の地で、やっていたので全く問題なかった。この学校で学ぶことはなにもない。社交も辺境伯ならば、それほどする必要はないようだ。私達は飛び級で卒業し、辺境の地に戻った。
その頃、王都での仕事はタウンハウスにいる家令達や叔父夫婦がうまくやってくれていた。
私が辺境伯になってからは、叔父夫婦には子供がいなかったため、弟のフランシスがグローズクロイツ家の分家として、王都に社交を引き受けている。
フランシスは社交的な性格だ。王都の侯爵家の令嬢と結婚して幸せに暮らしている。
「兄上、王命で再婚されると聞きましたが、お相手はどちらの令嬢なのですか?」
王宮に仕事があり、王都のタウンハウスに滞在していた私にフランシスが尋ねた。さすが早耳だな。フランシスは諜報力に長けている。社交的な性格を活かし、色々な人に接触し情報を得ている。
「アイゼンシュタット家の令嬢だと聞いた。私達とは遠縁だそうで、お前やグローズクロイツ家にはピッタリだと言われたのだ」
「あぁ、武門のアイゼンシュタット家の令嬢ですか? 確か兄上と同じくらいの時に離縁したのじゃなかったかな……あっ、申し訳ありません」
「大丈夫だ。気にしなくていい」
「すみません。昔から社交界にあまり顔を出さず、貴族学校も飛び級でほとんど通わないで卒業しているので、病弱な妖精姫だと噂されています。離縁も相手の不貞や暴力があったと噂されていますよ。まぁ噂なんでどこまで本当かわかりませんが……」
フランシスは手を顎に当て何かを考えているようだ。
「確かミランダの末の妹が友達だったような気がします。ミランダなら何が知っているかも?」
フランシスは妻のミランダを呼んできた。
「私の1番下の妹がディー様とご学友で懇意にしておりますわ。確かにグローズクロイツ領にはピッタリかもしれませんわね。ディー様は見かけとは違って活発な方ですわ。お義兄様とも上手く行くと思います。さすが陛下、素晴らしいご縁だと思います」
素晴らしいご縁か。
でも、めんどくさいな。娘のアンネリーゼのこともある。アンネリーゼは心を閉ざしている。母親がいなくなってショックだったのだろう。部屋に閉じこもりがちだ。
私がフランシスのように社交的ならば、娘とも上手く話ができるのだろが、見た目も怖いし、話も続かないこんな父親、嫌いだろう。
縁談相手は王都の女だ。また前妻のような女かもしれない。ミランダはああ言うが……。
王宮でディートリント嬢と会った。確かに妖精姫だ。華奢な身体つき、小さな顔。抱きしめれば折れてしまいそうだ。ただ、化粧は薄い。香水の匂いは全くしない。
「私と結婚しましょう。閣下にはご迷惑をおかけするかもしれませんが、私はきっと楽しくなるような気がします。閣下諦めて下さいませ」
「母にはなれないかもしれませんが、友達にならなれると思います。お互いに無理はしない。それで行きましょう」
「後悔はしません。ダメだと思ったらその時に考えればいいのです。やってもいないのにダメと諦めるのは嫌なのです」
こんな人がいるのか? 王都の女はみんな同じだと思っていた。ダメだな私は。
そして……。
「何かあれば話をして下さい。話すのが難しいなら手紙をください。拳で語り合うのもいいですね。とにかくコミュニケーションは大事です。そこはお互いに努力しましょう。できますか?」
もう「はい」と言うしかない。
妖精のような外見の女性の口から「拳で語り合うのもいい」と出てくるなんて。きっと私は目を白黒させていたに違いない。
私はKOされた。
この人なら私もアンネリーゼも変われる。そんな気がした。
結婚までの間。私達は手紙のやり取りをした。口は重いが手紙なら気持ちを伝えやすい。私達は半年の間に旧知の友のようになっていた。
グローズクロイツ領に来てからも、ディートリントはぶっ飛んでいた。コンラートやブルーノも嬉しい誤算だと言った。
そしてアンネリーゼを解放してくれた。ディートリントが来てから、アンネリーゼは部屋から出るようになり、笑うようになった。
そして私も妻がいることは、こんなに幸せなことなのだと知った。
もう、間違えない。失敗しない。この幸せを手放したくない。
私は愛するディートリントやアンネリーゼ、リーンハルトのために、領民のために、そして私自身のために、このグローズクロイツ領を守ると心に誓った。
あっ、愛するとか言ってしまった。恥ずかしい……。
私は辺境の地グローズクロイツ領で辺境伯の嫡男として生まれた。
代々辺境の地を守るグローズクロイツ家の者達は分家に至るまで皆身体が大きい。私は産まれた時から、特に大きかったらしい。
グローズクロイツ家の嫡男には浄化魔法の能力がある。それはこの地の瘴気を浄化し、魔物を浄化するためだ。そして、魔獣を討伐するための魔力や体力、筋力も普通の人より多めに持って産まれてくる。私は魔法、剣、体術は誰よりも秀でているとまわりには言われていた。
辺境の地の女性達も皆強い。身体も大きく、いざという時は戦える物ばかりだ。男も女も皆、どちらかといえば拳で語り合うタイプの者ばかりで、私もそうだった。
初めて王都に行った時はカルチャーショックを受けた。
男も女も骨格が細い。こんな身体で戦えるのか? まずそう思った。
王都に魔獣は出ない。他国からの侵略もいきなり王都に来ることはない。戦うことなど生涯ないから鍛える必要がないらしい。
デビュタントで初めて王都の夜会に参加した時は女性達の煌びやかなドレス、濃い化粧、鼻につく香水の臭いに吐き気がした。ここは私のいる場所ではないと思った。
しかし、いずれは辺境伯となる身。ある程度は社交もしなくてはならない。私は幼馴染のコンラート、ブルーノを連れて王都の貴族学校に入学した。
勉強は辺境の地で、やっていたので全く問題なかった。この学校で学ぶことはなにもない。社交も辺境伯ならば、それほどする必要はないようだ。私達は飛び級で卒業し、辺境の地に戻った。
その頃、王都での仕事はタウンハウスにいる家令達や叔父夫婦がうまくやってくれていた。
私が辺境伯になってからは、叔父夫婦には子供がいなかったため、弟のフランシスがグローズクロイツ家の分家として、王都に社交を引き受けている。
フランシスは社交的な性格だ。王都の侯爵家の令嬢と結婚して幸せに暮らしている。
「兄上、王命で再婚されると聞きましたが、お相手はどちらの令嬢なのですか?」
王宮に仕事があり、王都のタウンハウスに滞在していた私にフランシスが尋ねた。さすが早耳だな。フランシスは諜報力に長けている。社交的な性格を活かし、色々な人に接触し情報を得ている。
「アイゼンシュタット家の令嬢だと聞いた。私達とは遠縁だそうで、お前やグローズクロイツ家にはピッタリだと言われたのだ」
「あぁ、武門のアイゼンシュタット家の令嬢ですか? 確か兄上と同じくらいの時に離縁したのじゃなかったかな……あっ、申し訳ありません」
「大丈夫だ。気にしなくていい」
「すみません。昔から社交界にあまり顔を出さず、貴族学校も飛び級でほとんど通わないで卒業しているので、病弱な妖精姫だと噂されています。離縁も相手の不貞や暴力があったと噂されていますよ。まぁ噂なんでどこまで本当かわかりませんが……」
フランシスは手を顎に当て何かを考えているようだ。
「確かミランダの末の妹が友達だったような気がします。ミランダなら何が知っているかも?」
フランシスは妻のミランダを呼んできた。
「私の1番下の妹がディー様とご学友で懇意にしておりますわ。確かにグローズクロイツ領にはピッタリかもしれませんわね。ディー様は見かけとは違って活発な方ですわ。お義兄様とも上手く行くと思います。さすが陛下、素晴らしいご縁だと思います」
素晴らしいご縁か。
でも、めんどくさいな。娘のアンネリーゼのこともある。アンネリーゼは心を閉ざしている。母親がいなくなってショックだったのだろう。部屋に閉じこもりがちだ。
私がフランシスのように社交的ならば、娘とも上手く話ができるのだろが、見た目も怖いし、話も続かないこんな父親、嫌いだろう。
縁談相手は王都の女だ。また前妻のような女かもしれない。ミランダはああ言うが……。
王宮でディートリント嬢と会った。確かに妖精姫だ。華奢な身体つき、小さな顔。抱きしめれば折れてしまいそうだ。ただ、化粧は薄い。香水の匂いは全くしない。
「私と結婚しましょう。閣下にはご迷惑をおかけするかもしれませんが、私はきっと楽しくなるような気がします。閣下諦めて下さいませ」
「母にはなれないかもしれませんが、友達にならなれると思います。お互いに無理はしない。それで行きましょう」
「後悔はしません。ダメだと思ったらその時に考えればいいのです。やってもいないのにダメと諦めるのは嫌なのです」
こんな人がいるのか? 王都の女はみんな同じだと思っていた。ダメだな私は。
そして……。
「何かあれば話をして下さい。話すのが難しいなら手紙をください。拳で語り合うのもいいですね。とにかくコミュニケーションは大事です。そこはお互いに努力しましょう。できますか?」
もう「はい」と言うしかない。
妖精のような外見の女性の口から「拳で語り合うのもいい」と出てくるなんて。きっと私は目を白黒させていたに違いない。
私はKOされた。
この人なら私もアンネリーゼも変われる。そんな気がした。
結婚までの間。私達は手紙のやり取りをした。口は重いが手紙なら気持ちを伝えやすい。私達は半年の間に旧知の友のようになっていた。
グローズクロイツ領に来てからも、ディートリントはぶっ飛んでいた。コンラートやブルーノも嬉しい誤算だと言った。
そしてアンネリーゼを解放してくれた。ディートリントが来てから、アンネリーゼは部屋から出るようになり、笑うようになった。
そして私も妻がいることは、こんなに幸せなことなのだと知った。
もう、間違えない。失敗しない。この幸せを手放したくない。
私は愛するディートリントやアンネリーゼ、リーンハルトのために、領民のために、そして私自身のために、このグローズクロイツ領を守ると心に誓った。
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