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18話 アンネリーゼの提案
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アンネリーゼの前世の話には驚いた。
確かに誰に言っても信じてはもらえないだろう。私はもちろん信じる。だってワクワクするじゃない。
前世が辛くなくてよかった。前世の杏音が強くて良かった。きっとアンネリーゼが壊れそうだったから杏音が出てきたのだと思う。アンネリーゼを守ってくれて感謝しかない。
前世の世界は魔法がなくても困らない世界だったと言った。魔法なんて必要ないくらい、誰もが何でもできる世界。魔道具以上に便利な道具が溢れていたらしい。
アンネリーゼは杏音の記憶をもとに、このグローズクロイツ領を豊かにしたいと言う。それを私に手伝ってほしいと。アンネリーゼに信頼されたことが嬉しい。そしてどんなことをするのだろうと考えるだけでワクワクする。
それにしても、この世界が小説と同じだとは驚いた。毒母も主人公になったら全て肯定されるのだな。
きっと小説の中では、娘を虐待していたなんて書いてなかったのだろう。ひょっとして毒母も転生者で自分が小説の主人公だとわかっていたりして? だから何をやっても最終的には真実の愛の相手に出会い、辺境の地から脱出できる。まさかね。そんなことあるわけないわね。
でも、なぜ、自分の子供にそんな酷いことができるのだろうか?
身体を痛めつけ、心も傷みつけた。あ~腹が立つ。絶対死んだ方が楽だと思うような罰を与えてやりたい。
まぁ、アンネリーゼはそれを望まないだろう。まぁ、因果応報だ。神様は見ているはず、私が手を下さなくても必ず罰は下る。罰が下るように祈ろう。
◆ ◆ ◆
私はアンネリーゼから聞いた話をアルトゥール様や義両親と共有するために3人にサロンに集まってもらった。
3人は私の話を黙って聞いていた。表情は驚愕から怒り、激怒、悲しみとどんどん変わっていく。
話が終わった時は、安堵、そして希望に変わっていた。
「前世の話には驚いた。でもそれ以上にあの女がやっていた所業が許せないです。よくもそんなことができたものだ」
義父は拳を握りしめている。
「父親失格だ。いくらリーゼが嫌っていて会いたくないと言っていると言われても、無理にでも会うべきだった」
「私もよ。あの女は私達の前でリーゼを猫可愛がりしていたわ。王都に行く時もいつも連れて行っていた。だから、嫌われているのなら、顔を出さない方がいいかと思っていたの。騙されていたのね」
アルトゥール様も義母は涙を流している。
3人にはアンネリーゼが3人を嫌っていると告げ、アンネリーゼには3人がアンネリーゼを嫌っていると言っていたのだ。そして、アンネリーゼの退路を断ち、虐げ続けた。許せない。がしかし……。
「とりあえず、その人のことは一旦置いておいて、リーゼのこれからのことです。リーゼは前世の知識を活かしてこのくグローズクロイツ領を盛り立てたいと言っていました。知識はあるが7歳の子供では具現化するのが難しい。だから私に協力してほしいと言いました。私だけよりも、アルトゥール様、お義父様、お義母様も一緒にリーゼの知識を具現化していく手助けをお願いしたいのです。もちろんリーゼの了承はもらっています。おねがいできないでしょうか?」
私は3人にお願いしてみた。
「もちろんだ。協力する」
「私も協力する。私はもう隠居した身だ。時間はある。リーゼが私でもいいと言ってくれるならなんでもする」
「私もよ。リーゼと領民が喜んでくれるなら何だってやるわ」
3人は喜んで協力してくれるようだ。
アルトゥール様が私の顔を見た。
「私達だけじゃない、このグローズクロイツ領の者は全て、リーゼに協力する。だからやりたいことをやってほしい」
「良かった。まず私が話をして、それからリーゼを呼んでくることになっているのです。リーゼはまだみんなに嫌われているかもしれないとの思いが強くて、そんなことはないと言っていたけど、社交辞令かもしれないと不安なのです。だから、今回も私が話して、ウエルカムだったら自分も会って話してみると。リーゼは私達が思う以上に傷ついています。これからみんなでゆっくりリーゼの傷を癒していけたらと思っています。リーゼを呼んできますね」
私は席を立った。
「ディー、ありがとう」
背中越しにアルトゥール様の声が聞こえてきた。
◇◇ ◇
アンネリーゼを交えて、5人で話を始めた。
アンネリーゼはグローズクロイツの産業の提案をしてきた。
農業、ワイン作り、生薬、そして、医療、インフラ整備。学校。
アンネリーゼの口から出てくる言葉に私達みんなは目を白黒した。
間違いなく前世の記憶だろう。7歳の子供が話すようなことではなく、全て具体的にあったであろうものだ。
グローズクロイツ領は土地が痩せていて、なかなか作物が育たない。それに魔獣の襲来も多く、家畜を飼っても襲われることが多々あり、できないでいた。
「それなら土壌改良しましょう。私は土属性の魔法が使えます」
「魔法で土壌改良?」
「はい。作物が育ちやすい農地が作れますよ」
私の提案にみんなは驚いているようだ。
全く。私を誰だと思っているのよ。私はまぁまぁ魔法使えるんだからね。
とりあえず農業からスタートすることになった。
確かに誰に言っても信じてはもらえないだろう。私はもちろん信じる。だってワクワクするじゃない。
前世が辛くなくてよかった。前世の杏音が強くて良かった。きっとアンネリーゼが壊れそうだったから杏音が出てきたのだと思う。アンネリーゼを守ってくれて感謝しかない。
前世の世界は魔法がなくても困らない世界だったと言った。魔法なんて必要ないくらい、誰もが何でもできる世界。魔道具以上に便利な道具が溢れていたらしい。
アンネリーゼは杏音の記憶をもとに、このグローズクロイツ領を豊かにしたいと言う。それを私に手伝ってほしいと。アンネリーゼに信頼されたことが嬉しい。そしてどんなことをするのだろうと考えるだけでワクワクする。
それにしても、この世界が小説と同じだとは驚いた。毒母も主人公になったら全て肯定されるのだな。
きっと小説の中では、娘を虐待していたなんて書いてなかったのだろう。ひょっとして毒母も転生者で自分が小説の主人公だとわかっていたりして? だから何をやっても最終的には真実の愛の相手に出会い、辺境の地から脱出できる。まさかね。そんなことあるわけないわね。
でも、なぜ、自分の子供にそんな酷いことができるのだろうか?
身体を痛めつけ、心も傷みつけた。あ~腹が立つ。絶対死んだ方が楽だと思うような罰を与えてやりたい。
まぁ、アンネリーゼはそれを望まないだろう。まぁ、因果応報だ。神様は見ているはず、私が手を下さなくても必ず罰は下る。罰が下るように祈ろう。
◆ ◆ ◆
私はアンネリーゼから聞いた話をアルトゥール様や義両親と共有するために3人にサロンに集まってもらった。
3人は私の話を黙って聞いていた。表情は驚愕から怒り、激怒、悲しみとどんどん変わっていく。
話が終わった時は、安堵、そして希望に変わっていた。
「前世の話には驚いた。でもそれ以上にあの女がやっていた所業が許せないです。よくもそんなことができたものだ」
義父は拳を握りしめている。
「父親失格だ。いくらリーゼが嫌っていて会いたくないと言っていると言われても、無理にでも会うべきだった」
「私もよ。あの女は私達の前でリーゼを猫可愛がりしていたわ。王都に行く時もいつも連れて行っていた。だから、嫌われているのなら、顔を出さない方がいいかと思っていたの。騙されていたのね」
アルトゥール様も義母は涙を流している。
3人にはアンネリーゼが3人を嫌っていると告げ、アンネリーゼには3人がアンネリーゼを嫌っていると言っていたのだ。そして、アンネリーゼの退路を断ち、虐げ続けた。許せない。がしかし……。
「とりあえず、その人のことは一旦置いておいて、リーゼのこれからのことです。リーゼは前世の知識を活かしてこのくグローズクロイツ領を盛り立てたいと言っていました。知識はあるが7歳の子供では具現化するのが難しい。だから私に協力してほしいと言いました。私だけよりも、アルトゥール様、お義父様、お義母様も一緒にリーゼの知識を具現化していく手助けをお願いしたいのです。もちろんリーゼの了承はもらっています。おねがいできないでしょうか?」
私は3人にお願いしてみた。
「もちろんだ。協力する」
「私も協力する。私はもう隠居した身だ。時間はある。リーゼが私でもいいと言ってくれるならなんでもする」
「私もよ。リーゼと領民が喜んでくれるなら何だってやるわ」
3人は喜んで協力してくれるようだ。
アルトゥール様が私の顔を見た。
「私達だけじゃない、このグローズクロイツ領の者は全て、リーゼに協力する。だからやりたいことをやってほしい」
「良かった。まず私が話をして、それからリーゼを呼んでくることになっているのです。リーゼはまだみんなに嫌われているかもしれないとの思いが強くて、そんなことはないと言っていたけど、社交辞令かもしれないと不安なのです。だから、今回も私が話して、ウエルカムだったら自分も会って話してみると。リーゼは私達が思う以上に傷ついています。これからみんなでゆっくりリーゼの傷を癒していけたらと思っています。リーゼを呼んできますね」
私は席を立った。
「ディー、ありがとう」
背中越しにアルトゥール様の声が聞こえてきた。
◇◇ ◇
アンネリーゼを交えて、5人で話を始めた。
アンネリーゼはグローズクロイツの産業の提案をしてきた。
農業、ワイン作り、生薬、そして、医療、インフラ整備。学校。
アンネリーゼの口から出てくる言葉に私達みんなは目を白黒した。
間違いなく前世の記憶だろう。7歳の子供が話すようなことではなく、全て具体的にあったであろうものだ。
グローズクロイツ領は土地が痩せていて、なかなか作物が育たない。それに魔獣の襲来も多く、家畜を飼っても襲われることが多々あり、できないでいた。
「それなら土壌改良しましょう。私は土属性の魔法が使えます」
「魔法で土壌改良?」
「はい。作物が育ちやすい農地が作れますよ」
私の提案にみんなは驚いているようだ。
全く。私を誰だと思っているのよ。私はまぁまぁ魔法使えるんだからね。
とりあえず農業からスタートすることになった。
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