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第57話 沖縄県① 那覇 チャンプルー
しおりを挟む「ここが沖縄県という場所か。地図で見たがのじゃが、ここには小さな島がいくつもあるのじゃな」
「そうだね。沖縄県は50近くの有人島があって、100以上の無人島があるんだよ。その中でもこの那覇が一番大きくてメインの島になるね」
沖縄県は日本の都道府県の中でも少し特殊な県で、島々が集まってひとつの県となっている。ひとつの県に50近くの有人島があるのはこの沖縄県くらいだ。
「そういえば喜屋武さんは沖縄県出身だったよね。やっぱり那覇出身なの?」
以前に喜屋武さんは沖縄県出身だと言っていた。沖縄県といっても、沖縄のどこ出身なのかによってだいぶ違ってくる。
「いえ、私は宮古島出身です」
「おお、離島なんだ! それに宮古島なんて羨ましいね!」
「その宮古島とはどんな島なのじゃ?」
「宮古島は碧くて美しい海がとても有名です。美しいサンゴや南国の魚がたくさん生息しており、ダイビングやシュノーケリングなどのマリンアクティビティなども有名ですね」
「やっぱり宮古島といえば海だよね。いいなあ~夏は本当に楽しそうだよ」
「美しい海とは羨ましいのう! 島といえば海は身近でご飯がおいしいんじゃろうな」
「……確かに海や海で獲れる魚はとてもおいしいのですが、寒い時期や台風の時期は本当にすることがないんですよね。台風が来る直前なんてレンタルビデオ屋さんに大勢のお客さんがやってきます」
「な、なるほど……」
地元民には地元民ならではの悩みなんかがあるんだな。確かに島に住んでいる人たちが冬に何をしているのかは知らなかった。まあ最近はネットが繋がっていろいろとできることも増えているだろうしな。
「おお~人がいっぱいいるのじゃ!」
「このあたりは観光地だから、人はいっぱいいるね。まずは那覇の有名な場所を回ってから他の島々を楽しんでいこう」
まずは沖縄県の中心となる那覇へと転移魔法でやってきた。そして那覇の中心地である国際通りへとやってきた。
国際通りは1.6kmほどの通りとなっており、商店街などの商業エリアなのだが、戦後の焼け野原の状態からここを中心として復興が始まって目覚ましい発展をとげたことから奇跡の1マイルと呼ばれるようになった。
ちなみに国際通りとはアーニーパイル国際劇場があったことから国際通りと呼ばれるようになったらしい。
「これは賑やかじゃな! 今までまわってきた場所とは雰囲気が全然違うのじゃ!」
「まあ、沖縄はちょっと特殊な感じだからね」
国際通りにある有名な商店街へとやってきているのだが、沖縄県は他の都道府県とは少々異なる気がする。他の場所では見たことがない色とりどりの魚や面白い色や形をした独特のフルーツが店頭に並んでいる。
「こ、これはなんともすごいのう……」
商店街の中には豚の頭皮であるチラガー、豚足であるテビチ、スペアリブのソーキ、耳のミミガーなどといった、あまり見慣れない豚の部位が店頭に並んでいる。沖縄では豚は足から頭まで全身をくまなく食べるのである。
「沖縄では豚のエサとなるサツマイモが豊富なので昔から養豚が盛んで豚肉をよく食べてきました。豚の種類はアグー豚が多く、今ではアグー豚の中でも様々な種類がありますね」
さすが喜屋武さんも地元なだけあって詳しい。
「それじゃあ早速沖縄の料理を味わってみよう」
「ほう、これはシンプルじゃが、うまそうなご飯じゃのう」
「沖縄ではこういった食堂が多いですね。おいしくて値段も安くてボリュームもあります」
やってきたのは商店街にある有名な食堂だ。沖縄にはこういった家庭料理を出す食堂が数多くある。どこも安くてボリュームがあるのが特徴だ。
昔はワンコインで食べられたランチなども多かったのだが、最近では多少値上げされていて、もうワンコインでは食べられなくなってまったのは残念だ。
「ふむ、なにやらいろいろやってきたのじゃ」
「基本的には沖縄そば以外は定食になっているからね。いろいろと中身は違うから少しずつ分けてみよう」
今回注文したのは沖縄といえばのゴーヤチャンプルー、ソーメンチャンプルー、麩チャンプルーの3種類だ。そもそもチャンプルーとは「混ぜこぜしたもの」という意味があって、野菜や豆腐などの食材を混ぜ炒めた料理となる。他にも島豆腐が入った豆腐チャンプルーなどもあったりする。
「おお、こっちのはフワフワモチモチしていておもしろい食感じゃ!」
「そっちのは車麩を使った麩チャンプルーだね。炒め物に麩を使うのは独特だけれどおいしいよね。こっちのゴーヤは少し苦いけれど、この独特の苦みがクセになる人も多いんだよね。そうめんは別の場所で茹でたものを食べたけれど、沖縄のは茹でたあとに炒めて食べるんだよ」
チャンプルーにもいろいろな種類がある。個人的にはこの麩チャンプルーの食感が一番好きかな。
「ほう、甘いデザートもついておるのじゃな」
「本州のぜんざいは温かいものが基本ですが、沖縄のぜんざいは冷たいものが基本ですからね。お茶はさんぴん茶が基本となります」
細かいところで少しずつ違うのも沖縄の特徴だな。ちなみにさんぴん茶とは緑茶にジャスミンの花の香りを付けたジャスミン茶と同じものだが、沖縄では中国語のシャンピエンからさんぴん茶と呼んでいるそうだ。
さて、腹ごしらえもすんだことだし、沖縄観光を続けるとしよう。
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