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第四世代

ホビットMk-Ⅱ編 意図的に草花を育てる

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情報については、個々のAIやロボットが保存してるものだと、それこそ、

『ただの一般論よりは深くて広い』

程度のものでしかない。それ以上の詳細な情報については、それぞれの分野に特化したものが蓄えていて、必要に応じてそこにアクセスして取り出す形を取っていた。そうじゃないと、さっきも言ったように記憶容量がいくらあっても足りないしな。

だから、必要な資源が手に入らないというのと含めて、地球人社会で使われていたものすべてがここで再現できるわけじゃないというわけだ。また、ホビットMk-Ⅱがホビットサンク村周辺に自生していた花をプランターで育てるためにしたことも、最初はあくまで、

<一般的なガーデニングのための知識>

を基にしたそれだった。だから上手くいかなかった。その辺りについては、本来は植物の専門家だったシモーヌが詳しくて、彼女のアドバイスを参考に、敢えて採取した土を攪拌などせずに塊のままプランターに収め、そこに種を置くだけにすると、わずか一割程度の確率ではあったものの発芽するものが出てきたんだ。

球根についても、周囲の土ごとごっそりと取り出し、下手に触らずに大きなプランターに置くようにして移し替えることでようやく芽が出るようになった。だが、こちらも、割合としては二割に届くかどうかという感じだった。

だから本当に些細な環境の変化でも上手くいかないこともあるということだ。野生の動植物は、人間(地球人)が考えてるよりもずっと繊細で弱かったりするんだよな。

そこを履き違えてると、自然というものを理解することはできないんだろうさ。地球人社会によくいた<活動家>も、自分が勝手に想像してる<自然観>を基にしてたりしたから逆に自然を破壊するような結果になったりと。

どれほど自分の行いを崇高なものだと思い込んでいても、所詮は身勝手な自己満足に過ぎなかったということだ。

その点、ホビットMk-Ⅱ達には<心>がないことで逆に変な<拘り>を持つこともなく、シモーヌのアドバイスを素直に取り入れてやり方を変えたから、今はそれこそ家の周りが<花畑>になるくらいに上手くいくようになった。

<世話>についても、あくまでも環境を整える程度に抑えて、後は花自身のサイクルに任せるようにすると、プランターの外に落ちた種が勝手に芽を出したりして、そこを<花壇>として囲うようにしていったらこうなっただけだな。

同時に、花壇の外で勝手に芽を出したりしたものについては摘み取って、それ以上は広がらないようにもしている。

意図的に草花を育てるってのは、結局は、

『管理する』

ってことだからな。自然とは違う。

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