未開の惑星に不時着したけど帰れそうにないので人外ハーレムを目指してみます(Ver.02)

京衛武百十

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第四世代

ホビットMk-Ⅱ編 一般論の域を出ない

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新暦〇〇三九年十月十二日



『そういうシミュレーションだからしている』

それは紛れもない事実なんだが、しかし同時に、ホビットサンク村で繰り広げられる光景についつい和んでしまうのも事実だし、それもまた、

『心を持つからこそ』

なんだろうな。

そんなホビットMk-Ⅱ達の中に、<花>を育ててる機体がいる。

その機体は、朝、<自分の家>から出てくると、まず家の周りに作った<花壇>の手入れを始める。

<花>と言っても、自然に咲いているものを資料として採集してきて分析した種や球根の残りを植えたものだけどな。

とは言え、最初はそれこそ何もなかったから、まずは<プランター>をF-1で作るところから始まったんだ。<代用プラスチック>で作られたそれは、見た目にも機能的にも普通のプランターと変わらない。そのプランターを、家の脇の日当たりのいい場所に設置して、自生していた辺りの土も採取してきて入れ、種や球根を植えた。

だが、最初は上手くいかなかった。種も球根も、芽が出ることもなく腐ってしまったんだ。どうやら、土を採取してプランターに移し替えた際に、大きく攪拌する形になってしまい、発芽に適したものじゃなくなってしまったらしい。

わざわざ土が耕したりされることのない環境で芽を出し成長していくのが前提になっていたことで、それに適応してしまっていたんだろうな。これについては、

「発芽の条件というのは、人間が思ってる以上に繊細だったりするんだ。ほんのちょっと元の環境と違っているだけで上手くいかないこともある。人間は<天然自然のもの>というと『強くてたくましい』みたいに思いがちだけど、必ずしもそうじゃないんだよ」

シモーヌがアドバイスをしてくれた。光莉ひかり号のAIにも植物に関する情報は豊富に残されているが、どれも<一般的な知識>として見ればまあ深くて広いって感じなんだが、実は専門家のそれに比べてみるとさすがに<一般論>の域を出ないものなんだそうだ。

精々、

『人間が好んで栽培する植物についてはそれなりのアドバイスもできる』

って程度のものなんだと。

しかしホビットMk-Ⅱが育てている花は、ここに自生していたものだから情報も乏しく、既知の植物の栽培法を基にしたやり方じゃ適切じゃなかったってことだな。

これは、科学技術の分野も同じ。大まかな<概論>については情報として残されていても、実際に突っ込んだ実用的な運用をするにはぜんぜん足りないんだ。

まあ、当然だろうけどな。そうじゃなきゃ記憶容量がいくらあっても足りないし。

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