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第四世代

閑話休題 錬慈の日常 その5

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『ここはここの在り方を作り出していけばいいだけ』

錬慈れんじの血縁上の父親である連是れんぜと血縁上の母親であるシモーヌが目指しているのは、まさにそれだった。自分達が地球人だからといってそのまま<地球人社会>をここに再現する必要性をまったく感じていないのだ。

なにしろ、ここに暮らしている<種>は、地球人とはまったく異なるのだから。

<地球人の遺伝子>を受け継いでいる種もいるものの、そんな種ですら地球人とはまったく異なる生き方をしている。そんなところに、

<地球人としての在り方を前提とした社会>

を築こうとして上手くいく道理がどこにあると言うのか。錬是れんぜもシモーヌもそれをわきまえているにすぎない。

そして錬慈れんじも、そんな両親の在り方を学び取りつつあるということだ。両親の、萌花ほのかひかりやメイやれいえいに対する接し方を見て、それを真似る形で習得している。

子供は、親の<言動>を見て、

<人間としての在り方>

<人間としての振る舞い方>

を学んでいく。これは、人間の子供がどのようにして<言葉>を話せるようになるかを考えればすぐに分かることだろう。別に<学校>や<塾>で習うわけでもないにも拘わらず、気付けばいつの間にか言葉を話し始める。それと同じことが、<人間としての在り方>や<人間としての振る舞い方>でも起こっているというわけだ。

もっとも、そういうものは<言語>ほどは体系化されていないために<決まった形>というものが事実上存在しないのもあり、『アレンジが加え放題』だったりもするのだが。子供自身の<生まれつきの性格>などによっても大きく変化してしまう。

だから<親の真似>というのが分かりにくくなるという部分もあるのだろう。地球人社会では長くその事実が認識されてこなかったという歴史もある。そして地球人は、

<自分の責任>

というものから目を背けようとする悪癖があった。だからこそ、子供の振る舞いが自身のそれの真似であると、地球人の親は認めたがらなかったのだ。

大きな声を出して従わせようとする親の子供が、大きな声を出して駄々をこねたりすることがあるのも、結局はそれだろう。

『大きな声を出して自分の都合を相手に押し付けようとする』

という手法を学び取ってしまっているのだ。

こう言うと地球人はすぐに、

『赤ん坊は大きな声で泣き喚くだろ!』

などと『相手の所為』にしようとするが、責任を子供に転嫁しようとするが、赤ん坊が泣き喚くのは<我儘>ではない。あれは<SOS>なのだ。

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