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第四世代

深編 ストレス発散や気分転換

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そうして<鬼ごっこ>を続けること三十分強。ほぼ全力でそれだけ動き続けられるというのがすごい。地上のほぼ平面を走り回るサッカー選手のそれを圧倒的に上回る運動量だと思うぞ。立体的に動いていたからな。

しかしさすがに疲れてきたらしく、

「もう! ホントにしつこい!」

と声を上げて木の幹にもたれかかったまどかは息を切らしていた。

対してロボットであるホビットMk-Ⅱは、当然、見た目には平然としている。が、実は機体温度は結構上がってたけどな。設計上の限界温度にはまったく届いてないから問題はないものの、関節部分の辺りなんかは、迂闊に触れば火傷しそうなくらいには熱くなっているようだ。その一方で放熱にはまだ余裕があったから、このままさらに動き回っても熱限界には到達しなかったと推測される。

思いがけずホビットMk-Ⅱの、

<限界稼働の実地試験>

になったな。つまり、

『三十分程度の最大稼働であれば限界には到達しない』

という証明でもある。

この結果には俺も満足だ。

そんな俺の思惑なんて知ったことじゃないまどかは、呼吸を整えつつ地上近くまで下りてきて、

「でも、あなたすごいね」

吹っ切れたようにホビットMk-Ⅱに向けて笑顔を見せてくれた。

もちろん、これで本当にひなたうららのことが吹っ切れたわけじゃないだろうが、少なくともストレス発散や気分転換にはなっただろう。そして、近くに生っていた果実を手に取って齧り、

「美味し♡」

改めて笑顔になった。<恋心>に惑わされるのも成長の証の一つなんだろうが、やっぱり思い悩んで沈んだ表情をしているのを見てるのは気分のいいものじゃない。強引に気分転換させようと親が過剰に干渉するとかえってそれがまたストレスになる場合もあるにしても、今回のは結果的にいい方向に働いたんじゃないかな。

この辺も、生身の人間である親にはできないことだと思う。ロボットならではの遊び方だしやり方だ。こういう風にして役立てていくんだよ。

水中でいることを好み、生身の地球人としての能力しか持たない俺やシモーヌでは十分に相手をすることができない水帆みなほの世話をしてくれてるのもロボットならではの役目の一つでありつつ、こっちもロボットを実用化したからこそなんだと改めて実感できた。

「帰ろっか」

果実を食べ終わり、森殺しフォレストバスターを齧って水を噴き出させて喉を潤し顔を洗ったまどかはそう声を掛けて、集落の方向へと移動を始める。

「ハイ」

ホビットMk-Ⅱは、散々振り回しておいてのそれに対しても不満そうな様子を見せるでもなく、彼女についていったのだった。

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