1,992 / 2,387
第四世代
深編 それは許されてる
しおりを挟む
そんな<イベント>もありつつ、和も<朋群人>として<人間>として成長してくれている。
集落に帰ってくると、
「おいで、萌花♡」
<血の繋がらない妹>である萌花に対しても笑顔で手を伸ばしてくれて、
「おねちゃ♡」
『お姉ちゃん』と声を上げて飛び付いてきた萌花を抱きとめてくれる。その上で、
「ただいま」
陽と麗にも挨拶してくれた。
当然、わだかまりはあるだろう。吹っ切れたわけじゃないだろう。しかし、少なくとも今は笑顔を向けることができてるんだから、一安心だ。
これからも、今回と同じようにして距離を取ろうとするようなことは何度もあるんじゃないかな。<恋心>みたいなのはなかなかに複雑らしいしな。俺自身、シモーヌのことを愛しながらもエレクシアを愛しているし、密や刃や伏や鷹のことも今でもしっかり愛してる。毎日、墓に向かって挨拶をせずにいられない程度には、な。
俺がそうなんだから、和が自分の割り切れない気持ちにモヤモヤしてついつい勝手に集落を抜け出してしまうくらいのことは、
<そういうもの>
として受け止めるさ。
そのための体制を整えようとしてるんだしな。
地球人社会じゃよく、
『他人の気持ちが分かるようになりなさい』
『他人の痛みが分かるようになりなさい』
なんてのがまるでスローガンのごとく語られたりしてきたが、本当に『他人の気持ちが分かる』なら、『他人の痛みが分かる』なら、和がそういう行動に出てしまう気持ちや、そうせずにいられない心の痛みについても理解できるってことだよな? 違うか?
もしそんなことを言ってる奴が和の振る舞いについて批判的なことを口にしたら、それは彼女の気持ちも痛みも分かってないってことだろうさ。
俺は、<他人の気持ち>も<他人の痛み>も分からない。そんなものが分かるなんて嘘は吐かないし大言壮語も口にするつもりはない。ないが、だからといって想像することさえ放棄するつもりはないんだ。ゆえに見守る。
和と陽と麗の関係にしても、どうなるかは本人達次第だ。俺達の方からああしろこうしろとは言わない。それに、自分の感情ばかり優先して誰かを傷付けるような真似はしないようにと手本も示してきた。攻撃性を発揮するのは、外敵の襲撃を退ける時だけでいい。仲間内でそんなものを発揮する必要はない。
これによって和が傷付くことがあった時には、彼女の傷ごと受け止めるさ。泣きたいなら泣けばいいし、落ち込みたいなら納得するまで落ち込めばいい。俺達の間ではそれは許されてる。
集落に帰ってくると、
「おいで、萌花♡」
<血の繋がらない妹>である萌花に対しても笑顔で手を伸ばしてくれて、
「おねちゃ♡」
『お姉ちゃん』と声を上げて飛び付いてきた萌花を抱きとめてくれる。その上で、
「ただいま」
陽と麗にも挨拶してくれた。
当然、わだかまりはあるだろう。吹っ切れたわけじゃないだろう。しかし、少なくとも今は笑顔を向けることができてるんだから、一安心だ。
これからも、今回と同じようにして距離を取ろうとするようなことは何度もあるんじゃないかな。<恋心>みたいなのはなかなかに複雑らしいしな。俺自身、シモーヌのことを愛しながらもエレクシアを愛しているし、密や刃や伏や鷹のことも今でもしっかり愛してる。毎日、墓に向かって挨拶をせずにいられない程度には、な。
俺がそうなんだから、和が自分の割り切れない気持ちにモヤモヤしてついつい勝手に集落を抜け出してしまうくらいのことは、
<そういうもの>
として受け止めるさ。
そのための体制を整えようとしてるんだしな。
地球人社会じゃよく、
『他人の気持ちが分かるようになりなさい』
『他人の痛みが分かるようになりなさい』
なんてのがまるでスローガンのごとく語られたりしてきたが、本当に『他人の気持ちが分かる』なら、『他人の痛みが分かる』なら、和がそういう行動に出てしまう気持ちや、そうせずにいられない心の痛みについても理解できるってことだよな? 違うか?
もしそんなことを言ってる奴が和の振る舞いについて批判的なことを口にしたら、それは彼女の気持ちも痛みも分かってないってことだろうさ。
俺は、<他人の気持ち>も<他人の痛み>も分からない。そんなものが分かるなんて嘘は吐かないし大言壮語も口にするつもりはない。ないが、だからといって想像することさえ放棄するつもりはないんだ。ゆえに見守る。
和と陽と麗の関係にしても、どうなるかは本人達次第だ。俺達の方からああしろこうしろとは言わない。それに、自分の感情ばかり優先して誰かを傷付けるような真似はしないようにと手本も示してきた。攻撃性を発揮するのは、外敵の襲撃を退ける時だけでいい。仲間内でそんなものを発揮する必要はない。
これによって和が傷付くことがあった時には、彼女の傷ごと受け止めるさ。泣きたいなら泣けばいいし、落ち込みたいなら納得するまで落ち込めばいい。俺達の間ではそれは許されてる。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる