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第四世代

深編 都合のいい子

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全力で逃げるまどか

それに振り切られまいとして(ほぼ)最大稼働を続けるホビットMk-Ⅱ。

意味合いとしてはただの鬼ごっこ同然のそれではありつつ、これにより再現されているパフォーマンスそのものは大変に見どころにあるものだと思う。

しかも同時に、まどかの方は、いつものじゅんに連れられて巡っていた<巡回ルート>からは外れないように逃げていて、

『全力ではありつつ冷静』

というのが分かる様子だった。これで、ほまれがそうだったように我を忘れて当てもなく逃げ回るだけだったら対応も変えなきゃいけなくなるが、

『安全が確保されている範囲内での』

であるなら見守るだけで済むわけだ。実年齢はようやくもうすぐ十一歳になるところでありつつ、そういう面でも地球人の子供とは成長の早さが違うのかもしれないな。

まああくまで個人差の範囲の話である可能性も高いが。

それでも彼女の成長が垣間見られて嬉しい限りではある。それにほまれの時は、ただの鬼ごっこじゃなくて本当に攻撃を受けていたから、もっと必死だったというのもあるだろうさ。

何よりなんだか楽しそうだ。

ホビットMk-Ⅱの方は『楽しい』とか何とかの問題じゃないにしても、生身の人間(地球人)のように別に『疲労困憊』している様子も見られないから悲壮感もないし、見ようによっては『楽しそう』に思えなくもないな。

そんな様子を、<まどかの母親>であるひかりも見守ってくれている。萌花ほのかの時はまだ本当に幼い子供だったから猛然と追いかけたりしたにせよ、今回は、まどか自身ももうすでにパパニアンとしては成体おとなとも言えるくらいだし、何よりドローンとホビットMk-Ⅱがしっかりとフォローできていることで、見守るだけにとどめてくれているんだよ。ここで彼女を強引に連れ戻そうとするのはただの<過干渉>だしな。

親が干渉し過ぎると子供の成長が妨げられるのは事実だろうさ。

<教え諭すこと>

と、

<過干渉>

は別のものだ。俺も親としてその実感がある。そもそも安全が確保されてる範囲内で楽しそうに遊んでるだけなのを邪魔するのは<野暮の極み>だろ。

地球人の親には、子供の遊びや楽しみにまで干渉して自分が思う、

<子供にとっての有益な遊び>

ってのを押し付けようとする傾向があったが、あれもなんなんだろうな。そんなに子供を自分の思い通りに操りたいのか? 子供が自分の思ってる通りに振る舞ってくれるのが<いい子>だと考えてるのか?

それは<いい子>じゃなくて、ただの、

<都合のいい子>

だろうにな。親にとっての。

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