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第四世代
閑話休題 ドーベルマンDK-a捌号機
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ドーベルマンDK-a捌号機は、ロボットである。
この世界で運用されているものの中では最初期に作られたロボットの一機ではありつつ、蓄積されたデータを基にアップデートは順次行われているため、製造されたばかりの頃からはほぼ別物のように性能が向上している。
外見上の大きな変更点は少ないものの、不整地に対応できる四本の頑強な脚の先に備えられていた<無限軌道《クローラー》>が、悪路を走破し、時にはボクシングのグローブのようにも使えるという<パンクレスタイヤ>に交換されているというのが一番の違いだろうか。
実際に、四本の脚のうちの二本だけで立ち上がり、残る二本を腕のように使い、ボクサーのごとくタイヤで打撃を加えるという戦い方もできるようになっていた。
作業用のマニピュレータも備えているもののそちらは基本的に精密作業用の汎用マニピュレータであって、打撃武器としてはまったく強度が足りていない。小銃などの火器を使うには適しているのだが。
最初はそれで間に合うと考えられていたものの、
『相手を殺さずに追い払う』
には、自動小銃に装填されている<スタン弾>ではいささか強力すぎるという欠点があった。至近距離で撃つと骨折や内臓破裂の危険性が高くなるのだ。
人間の場合、自身の身を守るためにはいたしかたない面もありつつ、命を持たないロボットの場合は、
『自分の身を守るために相手を殺傷する』
必要はほとんどない。壊れても直せばそれで済むし、データは常にバックアップが取られているのでそれこそボディが修復不能なまで破壊されようと新しいボディを用意すれば問題なく復帰できてしまうのだ。
なので、<人間を守る場合>を除けば、むしろ相手の身体生命を優先することさえできてしまう。
実際、現在ではそのような運用がなされている。その気になれば重火器を装備して一方的に虐殺することさえ可能であるからこそ理性的なそれが求められているのだ。
しかし一方で、メイが猪竜と対峙していた時には、すぐ近くの茂みから自動小銃を構えつつ、援護のために待機していた。
なお、ロボットであるドーベルマンDK-a捌号機の場合、それこそ待機状態であればただの<置物>と変わりないので、石や岩と変わりないので、<気配>などないに等しい。特に敏感な生き物であれば、通電状態にある機械が発するわずかな<音>などに気付く場合もあるだろうが、それらもよほどの注意力がなければそもそも他の雑多な音にまぎれてしまうだろう。
そうしてメイの挑戦を見守っていたドーベルマンDK-a捌号機は、彼の挑戦が終わったことを確認すると、いつもの哨戒任務へと戻っていったのだった。
この世界で運用されているものの中では最初期に作られたロボットの一機ではありつつ、蓄積されたデータを基にアップデートは順次行われているため、製造されたばかりの頃からはほぼ別物のように性能が向上している。
外見上の大きな変更点は少ないものの、不整地に対応できる四本の頑強な脚の先に備えられていた<無限軌道《クローラー》>が、悪路を走破し、時にはボクシングのグローブのようにも使えるという<パンクレスタイヤ>に交換されているというのが一番の違いだろうか。
実際に、四本の脚のうちの二本だけで立ち上がり、残る二本を腕のように使い、ボクサーのごとくタイヤで打撃を加えるという戦い方もできるようになっていた。
作業用のマニピュレータも備えているもののそちらは基本的に精密作業用の汎用マニピュレータであって、打撃武器としてはまったく強度が足りていない。小銃などの火器を使うには適しているのだが。
最初はそれで間に合うと考えられていたものの、
『相手を殺さずに追い払う』
には、自動小銃に装填されている<スタン弾>ではいささか強力すぎるという欠点があった。至近距離で撃つと骨折や内臓破裂の危険性が高くなるのだ。
人間の場合、自身の身を守るためにはいたしかたない面もありつつ、命を持たないロボットの場合は、
『自分の身を守るために相手を殺傷する』
必要はほとんどない。壊れても直せばそれで済むし、データは常にバックアップが取られているのでそれこそボディが修復不能なまで破壊されようと新しいボディを用意すれば問題なく復帰できてしまうのだ。
なので、<人間を守る場合>を除けば、むしろ相手の身体生命を優先することさえできてしまう。
実際、現在ではそのような運用がなされている。その気になれば重火器を装備して一方的に虐殺することさえ可能であるからこそ理性的なそれが求められているのだ。
しかし一方で、メイが猪竜と対峙していた時には、すぐ近くの茂みから自動小銃を構えつつ、援護のために待機していた。
なお、ロボットであるドーベルマンDK-a捌号機の場合、それこそ待機状態であればただの<置物>と変わりないので、石や岩と変わりないので、<気配>などないに等しい。特に敏感な生き物であれば、通電状態にある機械が発するわずかな<音>などに気付く場合もあるだろうが、それらもよほどの注意力がなければそもそも他の雑多な音にまぎれてしまうだろう。
そうしてメイの挑戦を見守っていたドーベルマンDK-a捌号機は、彼の挑戦が終わったことを確認すると、いつもの哨戒任務へと戻っていったのだった。
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