1,951 / 2,387
第四世代
閑話休題 和の想い
しおりを挟む
和は、パパニアンである。しかも純血の。
普通のパパニアンの母親から生まれながらも外見が完全に地球人のそれだったために育ててはもらえなかったものの、母親が属していた群れのボスである誉の機転により保護されて、光の子として育てられることになった。
義理の父親である順も、最初は複雑そうにはしていつつ、パートナーである光が彼女を受け入れていることから受け入れるようになり、今ではすっかり<我が子>と認めてくれている。
和自身も、幼い頃は光と順を自分の本当の両親だと認識していた。けれど、
「あなたは、お父さんと同じで、普通のパパニアンの子供として生まれるはずだったのが、私達と同じ姿で生まれてきたことで、お母さんのお兄さんに助けられて、ここに来たんだよ」
母親の光からそう説明を受けて自身の出自を知った。
この時にはまだ実年齢では六歳だったものの外見上では十代半ばの思春期真っただ中でありつつ、元々野生のメンタリティが強かったこともあってか、
「へ~、そうなんだ!」
平然と受け入れてみせた。
ただ、内心では多少の動揺もなかったわけではない。ないが、それ自体、光も順もしっかりと<我が子>として受け入れてくれているのが実感できていたことに加え、義理の弟である陽にも家族であると認めてもらえていたことから、不安はほとんどなかった。
これは、地球人社会のように、
『実の子じゃない子供を本当に愛することなどできない』
的なことを口にする者が周囲にいなかったのが大きいだろう。そのような<雑音>が大きければ大きいほどそれが引っかかってしまうかもしれないが、彼女の身近な者達はそもそも誰もそんなことを気にしていなかった。
実際、今も、和の義理の祖父母に当たる錬是とシモーヌは、実子である錬慈を育てている他に<水帆>というクロコディアの子供を保護していて、我が子として受け入れていた。
水帆は、姿こそ和と同じく地球人そのものではありながらやはり習性はクロコディアのそれが色濃く出ていて、水中にいることを好んだ。そのため、錬是とシモーヌでは水中での世話まではできず、<ホビットMk-Ⅱ水泳部仕様>というロボットに任せることになってしまっているものの、水帆に向ける目は錬慈へのそれと変わることなく、とても慈愛に満ちているのが和にも分かる。
だからこそ、彼女は、自分がここにいることについては不安は何もなかった。
だがその一方で、
「……」
義理とはいえ弟の陽が、自分と同じく保護されて家族に加わった<麗>と仲良くしているのを見ると、何とも言えない気分になるのだった。
普通のパパニアンの母親から生まれながらも外見が完全に地球人のそれだったために育ててはもらえなかったものの、母親が属していた群れのボスである誉の機転により保護されて、光の子として育てられることになった。
義理の父親である順も、最初は複雑そうにはしていつつ、パートナーである光が彼女を受け入れていることから受け入れるようになり、今ではすっかり<我が子>と認めてくれている。
和自身も、幼い頃は光と順を自分の本当の両親だと認識していた。けれど、
「あなたは、お父さんと同じで、普通のパパニアンの子供として生まれるはずだったのが、私達と同じ姿で生まれてきたことで、お母さんのお兄さんに助けられて、ここに来たんだよ」
母親の光からそう説明を受けて自身の出自を知った。
この時にはまだ実年齢では六歳だったものの外見上では十代半ばの思春期真っただ中でありつつ、元々野生のメンタリティが強かったこともあってか、
「へ~、そうなんだ!」
平然と受け入れてみせた。
ただ、内心では多少の動揺もなかったわけではない。ないが、それ自体、光も順もしっかりと<我が子>として受け入れてくれているのが実感できていたことに加え、義理の弟である陽にも家族であると認めてもらえていたことから、不安はほとんどなかった。
これは、地球人社会のように、
『実の子じゃない子供を本当に愛することなどできない』
的なことを口にする者が周囲にいなかったのが大きいだろう。そのような<雑音>が大きければ大きいほどそれが引っかかってしまうかもしれないが、彼女の身近な者達はそもそも誰もそんなことを気にしていなかった。
実際、今も、和の義理の祖父母に当たる錬是とシモーヌは、実子である錬慈を育てている他に<水帆>というクロコディアの子供を保護していて、我が子として受け入れていた。
水帆は、姿こそ和と同じく地球人そのものではありながらやはり習性はクロコディアのそれが色濃く出ていて、水中にいることを好んだ。そのため、錬是とシモーヌでは水中での世話まではできず、<ホビットMk-Ⅱ水泳部仕様>というロボットに任せることになってしまっているものの、水帆に向ける目は錬慈へのそれと変わることなく、とても慈愛に満ちているのが和にも分かる。
だからこそ、彼女は、自分がここにいることについては不安は何もなかった。
だがその一方で、
「……」
義理とはいえ弟の陽が、自分と同じく保護されて家族に加わった<麗>と仲良くしているのを見ると、何とも言えない気分になるのだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる