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第四世代

彗編 <性別>というカテゴリ

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そうだ。アラニーズは、<本体>と<地球人そっくりな部分>とで別の性別を有することができる生き物だ。しかも、それぞれ遺伝子が異なっている。遺伝子が異なっているにも拘らず問題なく結合していて、一つの生物として機能しているんだよ。

地球の生物の常識では考えられない成り立ちを持ってるんだ。

まあそれはおそらく、

『あの不定形生物を基にして生まれたキメラだから』

というのが一番の理由だとは思うが。なにしろ<物理書き換え現象>すら引き起こす能力を持った存在だ。地球の生物の常識が通用すると考える方がむしろ非合理的だろう。あれはもう、

『そういうもの』

だと認識するしかない。いずれはその謎が解明されることもあるかもしれないにしても、少なくとも俺達の代でそれができることはないと考えてるし、そもそも解明などされなくても取り敢えず対処できるようには考えてる。

大まかな生態などを理解すれば、対処療法的には何とかできる存在であることも分かってきてるしな。

こちらから近付かなければ問題ない。

それもあって、セシリアとメイフェアとイレーネがコーネリアス号までメンテナンスを受けに行くのは、オートジャイロを使ってとも考えたりしたんだが、ロボットである彼女らがあれに襲われる可能性はほぼないし、襲われたところで問題ないことは、ホビットMk-Ⅱを近付けることで確認してある。いくら近付いてもまったく興味も示さないんだ。触れてさえ反応しない。ロボットについてはそもそも埒外なんだろう。向こうからしても。

にも拘らず、きょうみずちがく夷嶽いがく牙斬がざんや先日のヒト蛇ラミアのように、決まった形を持つと、個体によっては人間や人間の存在を窺わせるものに対して異様なほどの攻撃性を見えるという点についても、『そういうもの』と思っておけばそれほど問題もないしな。

とまあ、そういう部分も頭には入れつつ、アラニーズの特殊な形態についてもやっぱり『そういうもの』として受け止めるさ。

だから朋群ほうむ人については、

『単純な<性別>というカテゴリでは括れない』

ということだな。となれば、その感性そのものも地球人とは大きく違っていて当然だ。地球人とほぼ違いのない姿を持つひかりあかりでさえ、地球人とは異なるメンタリティを持っている。アラニーズのような形態を持つ生き物が、地球人と同じメンタリティを持つと考える方がどうかしている。

草原の向こうに視線を送るキャサリンがどんな生き方を選ぼうとも、俺達はそれを受け止めなきゃいけないだろうさ。

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