1,878 / 2,387
第四世代
彗編 地球人そっくりの部分
しおりを挟む
新暦〇〇三七年七月三十日
彗についてはただただ清良と仲良くしているだけでこれといって動きもないので、せっかくだからキャサリンについて触れていこう。
というのも、このところ、キャサリンが草原の先の方をじっと見つめてるのが増えてきたようなんだ。彼女はまだ十分にしゃべれないからはっきりしたことは分からないものの、
『この向こうには何があるんだろう?』
的に考えているような印象は確かにある。
その彼女に、ドーベルマンMPM十六号機はしっかりと寄り添っている。
と、
「!!」
キャサリンが弾かれるようにして動いた。その彼女の<地球人そっくりの部分の足>が地面に何かを押し付けている。
イタチ竜だった。イタチ竜を見付けて瞬間的にそれを捕らえたんだ。これまでも何度も説明したが、アラニーズやヒト蜘蛛の<地球人そっくりの部分>は<頭部>であり、そこの手足のようにも見える部分は、厳密には<触角>にあたる。だからか、地球人とはまた違う使い方もできるし、<足>だという認識に縛られていないからか、足の指の部分も実に器用に動くんだ。
ただ、ビアンカは実はそれほどじゃない。彼女は逆に地球人であった自分の感覚に引っ張られている面もあるからだろうか。けれど、それこそ生まれつきアラニーズだったキャサリンは、体の使い方はヒト蜘蛛のそれと変わらない。
その一方で、<地球人そっくりの部分>に再現されている様々な内臓についてはほぼ単なる痕跡になってしまっているヒト蜘蛛に対して、アラニーズのそれはかなりの点でまだ機能しており、機能していない部分についても何かのはずみで機能を取り戻す可能性が高く、それがゆえにビアンカは、久利生との子供である黎明を授かることができた。
アラニーズ本来の生殖方法は卵胎生であり、雄から<精莢>と呼ばれる精子を発生させる莢を受け取り、それを体内に保管して何度も受精し卵を宿すという形のため、当然、地球人そのものの肉体構造を持つ久利生とは、本来、子供ができる可能性はなかった。
にも拘らず、ビアンカの場合は<地球人そっくりの部分>の子宮と卵巣が機能を取り戻し、これにより久利生との子を妊娠できた。
この方法を用いると、たとえアラニーズとしては男性であっても、<地球人そっくりの部分>が女性の姿をしていれば自ら子を宿すこともできるし、逆に<地球人そっくりの部分>が男性の姿をしていても、地球人としての肉体機能を持つ女性との間であれば子供ができる可能性があることを示している。
現在のところ、ビアンカの子供としてのアラニーズであるケインもイザベラもキャサリンも、<地球人そっくりの部分>は女性の姿をしているので、三人ともそういう形で子供を生むこともできる可能性があるというわけだ。
まあまだ本人達にはその自覚はまったくなさそうだが。
彗についてはただただ清良と仲良くしているだけでこれといって動きもないので、せっかくだからキャサリンについて触れていこう。
というのも、このところ、キャサリンが草原の先の方をじっと見つめてるのが増えてきたようなんだ。彼女はまだ十分にしゃべれないからはっきりしたことは分からないものの、
『この向こうには何があるんだろう?』
的に考えているような印象は確かにある。
その彼女に、ドーベルマンMPM十六号機はしっかりと寄り添っている。
と、
「!!」
キャサリンが弾かれるようにして動いた。その彼女の<地球人そっくりの部分の足>が地面に何かを押し付けている。
イタチ竜だった。イタチ竜を見付けて瞬間的にそれを捕らえたんだ。これまでも何度も説明したが、アラニーズやヒト蜘蛛の<地球人そっくりの部分>は<頭部>であり、そこの手足のようにも見える部分は、厳密には<触角>にあたる。だからか、地球人とはまた違う使い方もできるし、<足>だという認識に縛られていないからか、足の指の部分も実に器用に動くんだ。
ただ、ビアンカは実はそれほどじゃない。彼女は逆に地球人であった自分の感覚に引っ張られている面もあるからだろうか。けれど、それこそ生まれつきアラニーズだったキャサリンは、体の使い方はヒト蜘蛛のそれと変わらない。
その一方で、<地球人そっくりの部分>に再現されている様々な内臓についてはほぼ単なる痕跡になってしまっているヒト蜘蛛に対して、アラニーズのそれはかなりの点でまだ機能しており、機能していない部分についても何かのはずみで機能を取り戻す可能性が高く、それがゆえにビアンカは、久利生との子供である黎明を授かることができた。
アラニーズ本来の生殖方法は卵胎生であり、雄から<精莢>と呼ばれる精子を発生させる莢を受け取り、それを体内に保管して何度も受精し卵を宿すという形のため、当然、地球人そのものの肉体構造を持つ久利生とは、本来、子供ができる可能性はなかった。
にも拘らず、ビアンカの場合は<地球人そっくりの部分>の子宮と卵巣が機能を取り戻し、これにより久利生との子を妊娠できた。
この方法を用いると、たとえアラニーズとしては男性であっても、<地球人そっくりの部分>が女性の姿をしていれば自ら子を宿すこともできるし、逆に<地球人そっくりの部分>が男性の姿をしていても、地球人としての肉体機能を持つ女性との間であれば子供ができる可能性があることを示している。
現在のところ、ビアンカの子供としてのアラニーズであるケインもイザベラもキャサリンも、<地球人そっくりの部分>は女性の姿をしているので、三人ともそういう形で子供を生むこともできる可能性があるというわけだ。
まあまだ本人達にはその自覚はまったくなさそうだが。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
163
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる