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第三世代
灯編 離乳食
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新暦〇〇三五年七月三日
こうしてさらに数日が経ち、ケインは自分の周囲の状況を理解できてきたようだ。
「おーっ!」
ついに灯からも肉を手にした。それも、<火を通した肉>をだ。軽く塩コショウをしただけの焼いた肉だが、ケインは美味そうに食ってくれた。
自分の手から受け取ってくれたことに、灯が満面の笑顔になる。
さらに、ケインはトマトを食べてくれた。こうして野菜も食べてくれるなら、それこそ<料理>も食べられるようになるだろう。
もちろん、最初はあんまり味付けの濃いものは具合悪いだろうから、黎明用の離乳食に近いものって感じだろうな。
そう。未来よりは成長が遅いように思えた黎明も、地球人の赤ん坊に比べればやはり成長が早いのも確認できたから、離乳食を始めてるんだ。
それでいてケインの場合は、最初から生肉が食えるくらいだったし、黎明とはまた違う。この辺りの手間についてはモニカやテレジアがフォローしてくれるし心配していない。
さらに灯も、積極的に手伝ってくれる。ケイン用の食事を、モニカに手伝ってもらいながらも作ってくれたりもする。
この間、未来の相手をしてくれているのはルコアだ。未来はルコアのことが好きだからな。ルコアの周りをピョンピョン飛び跳ねたり、彼女の体を上ったり、絵本を読んでもらったりもしている。
とは言え、未来は、他の子達に比べると絵本を何冊も読んでもらおうとはしないな。幼い頃の光なんかは、次から次に絵本を読むことを俺にねだったりしたんだが。
こういうところも、それぞれ違う。<別の人間>だってことをわきまえないといけないと実感するよ。
『上の子がこうだったから下の子も』
というのは、親の<甘え>だ。甘えるのは構わないが、自分が甘えたいなら子供が甘えようとするのも許さなきゃおかしい。『自分だけが甘えることを許される』と考えるのは筋違いなんだ。
それも灯は理解してくれてる。
ビアンカが黎明と未来とケインの世話を同時にできないというのをちゃんと分かってくれているからこうやって力になろうとしてくれる。そうすると今度は、灯にもし子供ができた時には周りが力になってくれるんだ。
『親は勝手に子供をこの世に送り出したんだから養育の義務がある』
のは事実でも、だからといって親だけで何もかもしろというのもあんまりにも世知辛い。だから力になろうとも思う。そう思って実際に手を貸すから、自分の番が来た時にも手を貸してもらえる。
そんな風に人間は『持ちつ持たれつ』でやってきたんだよ。
なんでもかんでも自分の力だけで解決してきたわけじゃない。
こうしてさらに数日が経ち、ケインは自分の周囲の状況を理解できてきたようだ。
「おーっ!」
ついに灯からも肉を手にした。それも、<火を通した肉>をだ。軽く塩コショウをしただけの焼いた肉だが、ケインは美味そうに食ってくれた。
自分の手から受け取ってくれたことに、灯が満面の笑顔になる。
さらに、ケインはトマトを食べてくれた。こうして野菜も食べてくれるなら、それこそ<料理>も食べられるようになるだろう。
もちろん、最初はあんまり味付けの濃いものは具合悪いだろうから、黎明用の離乳食に近いものって感じだろうな。
そう。未来よりは成長が遅いように思えた黎明も、地球人の赤ん坊に比べればやはり成長が早いのも確認できたから、離乳食を始めてるんだ。
それでいてケインの場合は、最初から生肉が食えるくらいだったし、黎明とはまた違う。この辺りの手間についてはモニカやテレジアがフォローしてくれるし心配していない。
さらに灯も、積極的に手伝ってくれる。ケイン用の食事を、モニカに手伝ってもらいながらも作ってくれたりもする。
この間、未来の相手をしてくれているのはルコアだ。未来はルコアのことが好きだからな。ルコアの周りをピョンピョン飛び跳ねたり、彼女の体を上ったり、絵本を読んでもらったりもしている。
とは言え、未来は、他の子達に比べると絵本を何冊も読んでもらおうとはしないな。幼い頃の光なんかは、次から次に絵本を読むことを俺にねだったりしたんだが。
こういうところも、それぞれ違う。<別の人間>だってことをわきまえないといけないと実感するよ。
『上の子がこうだったから下の子も』
というのは、親の<甘え>だ。甘えるのは構わないが、自分が甘えたいなら子供が甘えようとするのも許さなきゃおかしい。『自分だけが甘えることを許される』と考えるのは筋違いなんだ。
それも灯は理解してくれてる。
ビアンカが黎明と未来とケインの世話を同時にできないというのをちゃんと分かってくれているからこうやって力になろうとしてくれる。そうすると今度は、灯にもし子供ができた時には周りが力になってくれるんだ。
『親は勝手に子供をこの世に送り出したんだから養育の義務がある』
のは事実でも、だからといって親だけで何もかもしろというのもあんまりにも世知辛い。だから力になろうとも思う。そう思って実際に手を貸すから、自分の番が来た時にも手を貸してもらえる。
そんな風に人間は『持ちつ持たれつ』でやってきたんだよ。
なんでもかんでも自分の力だけで解決してきたわけじゃない。
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