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亡者の大森林へ向かえ
LV160 地上の魔王VS太古の魔王
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「それで魔王はどうなったの?」
ヴィオラは続きが気になって仕方がない。
「それが……。――ダン、あれを」
ライガの意味深な言葉で、ダンは馬車から薄汚い袋を取ると中身を取り出す。
「うぇ、何それ気持ち悪い。ウネウネ動いてるけど」
「ああ、これはビーンデスグリオラの尻尾だ」
「えっ?」
ヴィオラ達は驚き、聞き返した。
「魔王の?」
「ああ」
「じゃあ、魔王は?」
*ヴィオラ達は混乱している。
あの時、
ベレッタに先を越されたライガとダンが呆気にとられるなか、ビーンデスグリオラはベレッタに猛攻撃を仕掛けていた。だが、ベレッタは顔色一つ変えずにその全ての攻撃を簡単に防いでのける。
『破球』・『常闇のゆりかご』すらも効果がないベレッタ相手にいよいよ後がなくなったビーンデスグリオラは第2形態スキル『異形』を発動。
その姿は正に異形そのもの。100本近くの角を生やした体は岩のようにゴツゴツとしており、拳の大きさは120㎝程のベレッタの体と同格くらいに大きい。
そして、全てのステータスが3倍に跳ね上がったビーンデスグリオラは、その体に似つかない高速移動でベレッタを翻弄する。ライガ達はその攻撃を目で追うのがやっとなほどだった。
ベレッタは何度も攻撃を受け一見不利な状況に見えたが、ビーンデスグリオラの攻撃は大して効いていなかった。
直後、調子に乗るビーンデスグリオラに少し腹が立ったのか、それとも少し痛かったのか、ムッとしたベレッタは反撃に移った。
ビーンデスグリオラの攻撃をヒラリと躱したベレッタはゴツゴツした片腕を魔力を込めた手で鷲掴みすると粉々に砕いた。そのまま奇声を上げ苦しむグリオラの顔元に近付き拳の乱打。激しい乱打により、元の顔が分からなくなるほどまでグリオラの顔は歪な形となった。
たまらず距離をとったビーンデスグリオラは最終形態スキル『無夷《むい》』を発動する。今までにあったゴツゴツした皮膚と全身の角が剥がれ落ち、薄ピンク色の皮膚が丸出しとなったグリオラの周りをうす気味悪い魔気《まき》が包む。氷のような目でベレッタを睨んだ直後、グリオラは一言だけ「殺す」と呟き、」襲い掛かった。
ビーンデスグリオラは、鋭利な4本腕と針のように尖った3本の尾で多角攻撃を繰り出す。この攻撃により初めてベレッタの体に傷がついた。
「ころすころすころすころするるるぅ」
ビーンデスグリオラは、我を忘れていた。
これまでビーンデスグリオラが『無夷』を使ったのは過去に二度だけ。なぜなら、『無夷』は体の負荷が大きく使用すると10秒で1年の寿命が縮む諸刃の剣だからである。
「ひよっこでも、魔王だのぅ。我も少し見せてやるかのぅ」
ベレッタはそう言うと、ポーズを決め何やら喋り出した。
「ウルトラワンダフルセクシーエクストラ超……」
センスの欠片もないセリフに全員が凍りつくなか、ベレッタの体は暗黒の渦に体を覆われる。
ビーンデスグリオラはその様子を待つ事なく、ベレッタに攻撃を繰り出す。グリオラの繰り出す『滅却の業火』がベレッタに直撃するも暗黒の渦はビクともしない。
やがてその渦は徐々に小さくなっていき、中からは人間で言う20台前半くらいであろうか、誰もが見とれるほどの美と妖艶さを放つ女性が姿を現した。
「この姿になるのは、約200年ぶりかのぅー」
それは太古の魔王ベレッタの真の姿であった。
ベレッタの魔力は強大過ぎて、ダン・ライガ・ファリスにはいまいちピンとこなかった。
この直後、勝負は一瞬にして終わる。
ベレッタは即座にグリオラの目の前まで移動する。目の前に立たれた事すら認識できてないグリオラの胸元に手を当てたベレッタは、至近距離で『破球』を発動。
不可避な攻撃にグリオラの体は瞬時に消し飛ぶ。ただ一つ残された20㎝ほどの尾の先端だけが地面に落下し、蠢《うごめ》いていた。
そう魔王ビーンデスグリオラは三大勇者ではなく、ベレッタに倒されたのだった。
ヴィオラは続きが気になって仕方がない。
「それが……。――ダン、あれを」
ライガの意味深な言葉で、ダンは馬車から薄汚い袋を取ると中身を取り出す。
「うぇ、何それ気持ち悪い。ウネウネ動いてるけど」
「ああ、これはビーンデスグリオラの尻尾だ」
「えっ?」
ヴィオラ達は驚き、聞き返した。
「魔王の?」
「ああ」
「じゃあ、魔王は?」
*ヴィオラ達は混乱している。
あの時、
ベレッタに先を越されたライガとダンが呆気にとられるなか、ビーンデスグリオラはベレッタに猛攻撃を仕掛けていた。だが、ベレッタは顔色一つ変えずにその全ての攻撃を簡単に防いでのける。
『破球』・『常闇のゆりかご』すらも効果がないベレッタ相手にいよいよ後がなくなったビーンデスグリオラは第2形態スキル『異形』を発動。
その姿は正に異形そのもの。100本近くの角を生やした体は岩のようにゴツゴツとしており、拳の大きさは120㎝程のベレッタの体と同格くらいに大きい。
そして、全てのステータスが3倍に跳ね上がったビーンデスグリオラは、その体に似つかない高速移動でベレッタを翻弄する。ライガ達はその攻撃を目で追うのがやっとなほどだった。
ベレッタは何度も攻撃を受け一見不利な状況に見えたが、ビーンデスグリオラの攻撃は大して効いていなかった。
直後、調子に乗るビーンデスグリオラに少し腹が立ったのか、それとも少し痛かったのか、ムッとしたベレッタは反撃に移った。
ビーンデスグリオラの攻撃をヒラリと躱したベレッタはゴツゴツした片腕を魔力を込めた手で鷲掴みすると粉々に砕いた。そのまま奇声を上げ苦しむグリオラの顔元に近付き拳の乱打。激しい乱打により、元の顔が分からなくなるほどまでグリオラの顔は歪な形となった。
たまらず距離をとったビーンデスグリオラは最終形態スキル『無夷《むい》』を発動する。今までにあったゴツゴツした皮膚と全身の角が剥がれ落ち、薄ピンク色の皮膚が丸出しとなったグリオラの周りをうす気味悪い魔気《まき》が包む。氷のような目でベレッタを睨んだ直後、グリオラは一言だけ「殺す」と呟き、」襲い掛かった。
ビーンデスグリオラは、鋭利な4本腕と針のように尖った3本の尾で多角攻撃を繰り出す。この攻撃により初めてベレッタの体に傷がついた。
「ころすころすころすころするるるぅ」
ビーンデスグリオラは、我を忘れていた。
これまでビーンデスグリオラが『無夷』を使ったのは過去に二度だけ。なぜなら、『無夷』は体の負荷が大きく使用すると10秒で1年の寿命が縮む諸刃の剣だからである。
「ひよっこでも、魔王だのぅ。我も少し見せてやるかのぅ」
ベレッタはそう言うと、ポーズを決め何やら喋り出した。
「ウルトラワンダフルセクシーエクストラ超……」
センスの欠片もないセリフに全員が凍りつくなか、ベレッタの体は暗黒の渦に体を覆われる。
ビーンデスグリオラはその様子を待つ事なく、ベレッタに攻撃を繰り出す。グリオラの繰り出す『滅却の業火』がベレッタに直撃するも暗黒の渦はビクともしない。
やがてその渦は徐々に小さくなっていき、中からは人間で言う20台前半くらいであろうか、誰もが見とれるほどの美と妖艶さを放つ女性が姿を現した。
「この姿になるのは、約200年ぶりかのぅー」
それは太古の魔王ベレッタの真の姿であった。
ベレッタの魔力は強大過ぎて、ダン・ライガ・ファリスにはいまいちピンとこなかった。
この直後、勝負は一瞬にして終わる。
ベレッタは即座にグリオラの目の前まで移動する。目の前に立たれた事すら認識できてないグリオラの胸元に手を当てたベレッタは、至近距離で『破球』を発動。
不可避な攻撃にグリオラの体は瞬時に消し飛ぶ。ただ一つ残された20㎝ほどの尾の先端だけが地面に落下し、蠢《うごめ》いていた。
そう魔王ビーンデスグリオラは三大勇者ではなく、ベレッタに倒されたのだった。
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