空間魔法って実は凄いんです

真理亜

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不毛な争い

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「確か以前はたった一体のオーガが出ただけでも大騒ぎになりましたよね...」

 セリカさんはそう言いながらブルッと震えた。

「あれ? そうでしたっけ?」

「そうですよ...カリナさん、覚えてないんですか?」

「え~と...ちょっと記憶が...」

 なんかもう、かなり昔の話のような気がして良く思い出せないんだよな。

「ギルドに報告しに行った後、私の元パーティーメンバーがまだダンジョンから戻って来てないって聞いて、私達二人でダンジョンに助けに向かったじゃないですか?」

「あぁ、言われてみれば...」

 そんなこともあったっけな。

「その後、結局発生しちゃったスタンピードをカリナさんがお一人で防いでくれたじゃないですか?」

「あぁ、いやいや。あれは防いだっていうよりも地形を上手く利用しただけっていうか...」

 魔物を誘き寄せて崖下に落としただけだもんね。

「それでも凄かったですよ。私、感動しちゃいましたもん」

「いやいや、そんな大袈裟な...」

 なんだかこそばゆいよね。あれは私の手柄っていうよりもラッキーが重なっただけっていうか。私が力で薙ぎ倒しとかって話じゃないからね。
 
 それをいうならさ、さっきみたいにオーガを力で捩じ伏せたラウムさんやステラさんの方がよっぽど凄いと思うんだよね。

 うん? 私達の話を黙って聞いていたそのお二人がなにやら固まってるんだけど?

「せ、セリカ...今の話は本当なのか!?」

「お、お一人でスタンピードを防いだって...」

「えっ!? あぁ、はい。本当ですよ? 私、この目で見てましたもん」

 セリカさんが無い胸を張った。

「...やっぱりカリナに戻って来て貰って正解だったな...」

「...私、一生付いていきます...」

 お二人がしみじみとそう呟いた

「ちょっと! ステラさん! 真似しないでくださいよ! カリナさんに一生付いて行くって決めたのはこの私なんですからね!」

「なっ!? なんですかそれ!? セリカさんばっかりズルいじゃないですか! 私だって一生付いて行くんですからね!」

「なんですってぇ~!」

「なんですかぁ~!」

「止めないかお前ら...いい加減にしろ...」

 ラウムさんが不毛な争いに終止符を打ってくれた。私はといえば、お二人の勢いに圧倒されてオロオロするばっかりだったから助かったよ...

「ちなみにカリナ、私も一生付いて行くからな?」

 ラウムさん、あんたもか!

「え、え~と、わ、私は...ど、どうしたら...」

 フローラさん、あなたは乗らなくていいです...
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