371 / 462
前兆?
しおりを挟む
「えっ!? もう終わったんですか!?」
馬車の中からセリカさんがビックリしながら尋ねてきた。
「みたいですね...」
ラウムさんとステラさんは何事もなかったかのように、倒したオーガの解体を黙々と始めていた。
「わ、私達があんなに倒すの苦労したっていうのに...」
ホントにね...私とセリカさんが二人っきりの時にはかなり手こずった相手なのにね...私は頼もしい仲間達を眩し気に見やった。
「セリカさん、解体の手伝いをお願いします」
「分かりました!」
馬車から元気良く飛び出したセリカさんは、馬車の前方でオーガを解体しているラウムさんの元に向かった。
「あ、あの...」
その時、フローラさんが遠慮がちに声を掛けてきた。
「どうしました?」
「いえその...解体なら私もお手伝いできるかなと...」
「え!? 大丈夫なんですか!? 血がドバドバ出ますよ!? 平気なんですか!?」
私にゃ絶対無理だからね。
「えぇ、多分...魚とか鶏とかを捌いたことはありますから...」
「なるほど。それならよろしくお願いします。ただ、くれぐれも無理はしないでくださいね?」
「大丈夫です...私も皆さんのお役に立ちたいので...」
あぁ、そんなことを気にしてたのか。別に気を遣わなくても構わないのにね。フローラさんに求めているのは戦闘スキルじゃなくて家事スキルなんだから。まぁでも、手伝いたいっていう気持ちは汲んでおこうか。
「それじゃ馬車の後方で解体しているステラさんの手伝いをお願いします」
「分かりました...」
◇◇◇
オーガの解体が終わった頃、ちょうどお昼になったので小休止することにした。セリカさんが収納から出してくれたサンドイッチを全員で摘まむ。夜と違って昼は簡単に済ますようにしている。食べながら私は、気になっていることを聞いてみることにした。
「あの、ちょっといいですか?」
先輩冒険者であるラウムさんとステラさんに問い掛ける。
「さっきセリカさんと話してたんですけど...こんな場所にオーガが現れるっていうのは...もしかしてスタンピードの前兆なんじゃないかって...お二方はどう思われます?」
お二方はしばし無言で見詰め合った。その後ろではフローラさんが一人『スタンピード?』と首を傾げている。気付いたセリカさんが気を利かしてくれて、フローラさんの耳元で囁くように説明してくれているようだ。
まぁ確かに、普通の日常生活を送っていたら縁が無い話だからね。知らないのも無理はない。
ややあってラウムさんが口を開いた。
「可能性はあるかも知れないな。王都に着いたらギルドに報告しよう。オーガが一体だけならダンジョンからたまたま迷い出て来た個体かも知れないが、二体居たからちょっと違うような気もする」
「分かりました」
馬車の中からセリカさんがビックリしながら尋ねてきた。
「みたいですね...」
ラウムさんとステラさんは何事もなかったかのように、倒したオーガの解体を黙々と始めていた。
「わ、私達があんなに倒すの苦労したっていうのに...」
ホントにね...私とセリカさんが二人っきりの時にはかなり手こずった相手なのにね...私は頼もしい仲間達を眩し気に見やった。
「セリカさん、解体の手伝いをお願いします」
「分かりました!」
馬車から元気良く飛び出したセリカさんは、馬車の前方でオーガを解体しているラウムさんの元に向かった。
「あ、あの...」
その時、フローラさんが遠慮がちに声を掛けてきた。
「どうしました?」
「いえその...解体なら私もお手伝いできるかなと...」
「え!? 大丈夫なんですか!? 血がドバドバ出ますよ!? 平気なんですか!?」
私にゃ絶対無理だからね。
「えぇ、多分...魚とか鶏とかを捌いたことはありますから...」
「なるほど。それならよろしくお願いします。ただ、くれぐれも無理はしないでくださいね?」
「大丈夫です...私も皆さんのお役に立ちたいので...」
あぁ、そんなことを気にしてたのか。別に気を遣わなくても構わないのにね。フローラさんに求めているのは戦闘スキルじゃなくて家事スキルなんだから。まぁでも、手伝いたいっていう気持ちは汲んでおこうか。
「それじゃ馬車の後方で解体しているステラさんの手伝いをお願いします」
「分かりました...」
◇◇◇
オーガの解体が終わった頃、ちょうどお昼になったので小休止することにした。セリカさんが収納から出してくれたサンドイッチを全員で摘まむ。夜と違って昼は簡単に済ますようにしている。食べながら私は、気になっていることを聞いてみることにした。
「あの、ちょっといいですか?」
先輩冒険者であるラウムさんとステラさんに問い掛ける。
「さっきセリカさんと話してたんですけど...こんな場所にオーガが現れるっていうのは...もしかしてスタンピードの前兆なんじゃないかって...お二方はどう思われます?」
お二方はしばし無言で見詰め合った。その後ろではフローラさんが一人『スタンピード?』と首を傾げている。気付いたセリカさんが気を利かしてくれて、フローラさんの耳元で囁くように説明してくれているようだ。
まぁ確かに、普通の日常生活を送っていたら縁が無い話だからね。知らないのも無理はない。
ややあってラウムさんが口を開いた。
「可能性はあるかも知れないな。王都に着いたらギルドに報告しよう。オーガが一体だけならダンジョンからたまたま迷い出て来た個体かも知れないが、二体居たからちょっと違うような気もする」
「分かりました」
23
お気に入りに追加
3,971
あなたにおすすめの小説

異世界転移しましたが、面倒事に巻き込まれそうな予感しかしないので早めに逃げ出す事にします。
sou
ファンタジー
蕪木高等学校3年1組の生徒40名は突如眩い光に包まれた。
目が覚めた彼らは異世界転移し見知らぬ国、リスランダ王国へと転移していたのだ。
「勇者たちよ…この国を救ってくれ…えっ!一人いなくなった?どこに?」
これは、面倒事を予感した主人公がいち早く逃げ出し、平穏な暮らしを目指す物語。
なろう、カクヨムにも同作を投稿しています。

子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…

ステータス画面がバグったのでとりあえず叩きます!!
カタナヅキ
ファンタジー
ステータ画面は防御魔法?あらゆる攻撃を画面で防ぐ異色の魔術師の物語!!
祖父の遺言で魔女が暮らす森に訪れた少年「ナオ」は一冊の魔導書を渡される。その魔導書はかつて異界から訪れたという人間が書き記した代物であり、ナオは魔導書を読み解くと視界に「ステータス画面」なる物が現れた。だが、何故か画面に表示されている文字は無茶苦茶な羅列で解読ができず、折角覚えた魔法なのに使い道に悩んだナオはある方法を思いつく。
「よし、とりあえず叩いてみよう!!」
ステータス画面を掴んでナオは悪党や魔物を相手に叩き付け、時には攻撃を防ぐ防具として利用する。世界でただ一人の「ステータス画面」の誤った使い方で彼は成り上がる。
※ステータスウィンドウで殴る、防ぐ、空を飛ぶ異色のファンタジー!!

聖女やめます……タダ働きは嫌!友達作ります!冒険者なります!お金稼ぎます!ちゃっかり世界も救います!
さくしゃ
ファンタジー
職業「聖女」としてお勤めに忙殺されるクミ
祈りに始まり、一日中治療、時にはドラゴン討伐……しかし、全てタダ働き!
も……もう嫌だぁ!
半狂乱の最強聖女は冒険者となり、軟禁生活では味わえなかった生活を知りはっちゃける!
時には、不労所得、冒険者業、アルバイトで稼ぐ!
大金持ちにもなっていき、世界も救いまーす。
色んなキャラ出しまくりぃ!
カクヨムでも掲載チュッ
⚠︎この物語は全てフィクションです。
⚠︎現実では絶対にマネはしないでください!

さんざん馬鹿にされてきた最弱精霊使いですが、剣一本で魔物を倒し続けたらパートナーが最強の『大精霊』に進化したので逆襲を始めます。
ヒツキノドカ
ファンタジー
誰もがパートナーの精霊を持つウィスティリア王国。
そこでは精霊によって人生が決まり、また身分の高いものほど強い精霊を宿すといわれている。
しかし第二王子シグは最弱の精霊を宿して生まれたために王家を追放されてしまう。
身分を剥奪されたシグは冒険者になり、剣一本で魔物を倒して生計を立てるようになる。しかしそこでも精霊の弱さから見下された。ひどい時は他の冒険者に襲われこともあった。
そんな生活がしばらく続いたある日――今までの苦労が報われ精霊が進化。
姿は美しい白髪の少女に。
伝説の大精霊となり、『天候にまつわる全属性使用可』という規格外の能力を得たクゥは、「今まで育ててくれた恩返しがしたい!」と懐きまくってくる。
最強の相棒を手に入れたシグは、今まで自分を見下してきた人間たちを見返すことを決意するのだった。
ーーーーーー
ーーー
閲覧、お気に入り登録、感想等いつもありがとうございます。とても励みになります!
※2020.6.8お陰様でHOTランキングに載ることができました。ご愛読感謝!

雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった〜
霞杏檎
ファンタジー
祝【コミカライズ決定】!!
「使えん者はいらん……よって、正式にお前には戦力外通告を申し立てる。即刻、このギルドから立ち去って貰おう!! 」
回復術士なのにギルド内で雑用係に成り下がっていたフールは自身が専属で働いていたギルドから、何も活躍がないと言う理由で戦力外通告を受けて、追放されてしまう。
フールは回復術士でありながら自己主張の低さ、そして『単体回復魔法しか使えない』と言う能力上の理由からギルドメンバーからは舐められ、S級ギルドパーティのリーダーであるダレンからも馬鹿にされる存在だった。
しかし、奴らは知らない、フールが【魔力無限】の能力を持っていることを……
途方に暮れている道中で見つけたダンジョン。そこで傷ついた”ケモ耳銀髪美少女”セシリアを助けたことによって彼女はフールの能力を知ることになる。
フールに助けてもらったセシリアはフールの事を気に入り、パーティの前衛として共に冒険することを決めるのであった。
フールとセシリアは共にダンジョン攻略をしながら自由に生きていくことを始めた一方で、フールのダンジョン攻略の噂を聞いたギルドをはじめ、ダレンはフールを引き戻そうとするが、フールの意思が変わることはなかった……
これは雑用係に成り下がった【最強】回復術士フールと"ケモ耳美少女"達が『伝説』のパーティだと語られるまでを描いた冒険の物語である!
(160話で完結予定)
元タイトル
「雑用係の回復術士、【魔力無限】なのに専属ギルドから戦力外通告を受けて追放される〜でも、ケモ耳少女とエルフでダンジョン攻略始めたら『伝説』になった。噂を聞いたギルドが戻ってこいと言ってるがお断りします〜」

【書籍化決定】俗世から離れてのんびり暮らしていたおっさんなのに、俺が書の守護者って何かの間違いじゃないですか?
歩く魚
ファンタジー
幼い頃に迫害され、一人孤独に山で暮らすようになったジオ・プライム。
それから数十年が経ち、気づけば38歳。
のんびりとした生活はこの上ない幸せで満たされていた。
しかしーー
「も、もう一度聞いて良いですか? ジオ・プライムさん、あなたはこの死の山に二十五年間も住んでいるんですか?」
突然の来訪者によると、この山は人間が住める山ではなく、彼は世間では「書の守護者」と呼ばれ都市伝説のような存在になっていた。
これは、自分のことを弱いと勘違いしているダジャレ好きのおっさんが、人々を導き、温かさを思い出す物語。
※書籍化のため更新をストップします。

嫌味なエリート治癒師は森の中で追放を宣言されて仲間に殺されかけるがギフト【痛いの痛いの飛んでいけぇ〜】には意外な使い方があり
竹井ゴールド
ファンタジー
森の中で突然、仲間に追放だと言われた治癒師は更に、
「追放出来ないなら死んだと報告するまでだ、へっへっへっ」
と殺されそうになる。
だが、【痛いの痛いの飛んでけぇ〜】には【無詠唱】、【怪我移植(移植後は自然回復のみ)】、【発動予約】等々の能力があり·······
【2023/1/3、出版申請、2023/2/3、慰めメール】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる