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妖魔山編
1709.まさに桁違いの魔力値
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何かに気づいたようなコウエンの表情を見た王琳だが、自分の話している内容に関する質問などをコウエンがする様子を見せなかった為、あえてそこに触れずに言葉を続けようと口を開き始めた。
「それで二つ目だが、それは『透過』という技法だ。これは『呪詛』のように相手の耐魔力に干渉するものではないが、戦闘での主流となる技法なのは間違いない。特にお主のような『魔力値』の高いものが一番に覚えなければならなかった必須の技法といえるだろう」
「!」
コウエンはその王琳から出た『透過』という言葉に、ここに来る前に戦ったイダラマの『魔利薄過』を思い出すのだった。彼は『透過』の重要性に気付き後悔をしたところだった為に、他者からお前に合った技法だと告げられた事で何とも言えない表情を浮かべたが、徐々にその表情は苦悩色に染まっていった。
後悔先に立たずとはこの事だったが、今更悔やんだところで彼にはどうしようもなかった。
「本来は『魔』を用いる戦闘では、この『呪詛』や『透過』を主体に戦闘を行うのが基本となる」
そう話す通りにこれまでの王琳との戦闘では、コウエンは完全に『捉術』や『魔力波』といった攻撃が抑えられていて、全く王琳に攻撃が通っていなかった。
何より王琳が途中から『二色の併用』と呼ばれる技法の使用を取りやめて『青』だけで戦い始めた辺りから、コウエンは明らかに手加減をされていると理解をしていた為、何ともやるせない気持ちになりながら戦い続けていたのだった。
攻撃に用いる『魔力』自体はコウエンも決して少なくはないのだが、その出力に関係なく王琳に届かない為、一方的にコウエンがダメージを負い続けていく流れが続いていた。
王琳に対しては攻撃が通じず、一方的にコウエンだけがダメージを蓄積させられていき、更には手加減までされていると分かっているコウエンは、あれだけ戦う事を熱望していた王琳という妖狐に対して、少しずつその熱が冷めていくのを感じていて、今ではむしろ『何故こんな体たらくでこんな妖狐と戦おうと思っていたのか』と自責の念に駆られてしまっている始末であった。
敵である筈の相手に『魔』を用いる戦闘方法を指南されている時点で、もうこの戦いは勝敗をつけるものではなくなっていて、今ではもう本音をいうとコウエンには、素直に王琳の忠告を聞き入れる意欲も残っていなかったのだった。
王琳もここまで告げた後、コウエンの表情からこれ以上『魔』での戦闘方法を口にしたところで何の意味もないと感じたようで、コウエンに対する興味が失われたのだろうなと傍から見ても分かる程に表情を変え始めた。
「俺も王連程までではないが、人間の中でもここまで登ってこれる者にはそれなりに期待を抱いていた。お前のように『魔力』が高い人間達は何処か、俺達妖狐や他の種族の妖魔達にはない発想を持ってやってくることがあるからだ。いくら戦闘を行う上で俺が指摘したような『透過』や『呪詛』を扱う事の出来るそれなりの相手と戦ったとしても、もう俺が楽しめる程の相手はいない。だからこそ、お前のように最低限ここまで来る事が出来て、お前程の膨大と呼べる『魔力値』を持つ独自性のある者を待っていたのだが、どうやらお前は俺の期待を上回る事は出来なかったようで残念だ」
最後にそう口にし終えた後、王琳を纏う『魔力』はこれまでとは比にならない程に、そう。まさに桁違いに膨れ上がった。
――ここで王琳と相対していたコウエンには分からなくて当たり前だが、この今の王琳の纏っている『魔力値』は、山の頂の空の上でエヴィと戦っていた『神斗』を止めようとした『シギン』が、七耶咫の身体を操っていた時に用いていた『魔力値』を上回る程であった。
――まさに『王琳』は、この『妖魔山』の『禁止区域』に生息するに相応しい『妖魔』と呼べる存在であった。
「それで二つ目だが、それは『透過』という技法だ。これは『呪詛』のように相手の耐魔力に干渉するものではないが、戦闘での主流となる技法なのは間違いない。特にお主のような『魔力値』の高いものが一番に覚えなければならなかった必須の技法といえるだろう」
「!」
コウエンはその王琳から出た『透過』という言葉に、ここに来る前に戦ったイダラマの『魔利薄過』を思い出すのだった。彼は『透過』の重要性に気付き後悔をしたところだった為に、他者からお前に合った技法だと告げられた事で何とも言えない表情を浮かべたが、徐々にその表情は苦悩色に染まっていった。
後悔先に立たずとはこの事だったが、今更悔やんだところで彼にはどうしようもなかった。
「本来は『魔』を用いる戦闘では、この『呪詛』や『透過』を主体に戦闘を行うのが基本となる」
そう話す通りにこれまでの王琳との戦闘では、コウエンは完全に『捉術』や『魔力波』といった攻撃が抑えられていて、全く王琳に攻撃が通っていなかった。
何より王琳が途中から『二色の併用』と呼ばれる技法の使用を取りやめて『青』だけで戦い始めた辺りから、コウエンは明らかに手加減をされていると理解をしていた為、何ともやるせない気持ちになりながら戦い続けていたのだった。
攻撃に用いる『魔力』自体はコウエンも決して少なくはないのだが、その出力に関係なく王琳に届かない為、一方的にコウエンがダメージを負い続けていく流れが続いていた。
王琳に対しては攻撃が通じず、一方的にコウエンだけがダメージを蓄積させられていき、更には手加減までされていると分かっているコウエンは、あれだけ戦う事を熱望していた王琳という妖狐に対して、少しずつその熱が冷めていくのを感じていて、今ではむしろ『何故こんな体たらくでこんな妖狐と戦おうと思っていたのか』と自責の念に駆られてしまっている始末であった。
敵である筈の相手に『魔』を用いる戦闘方法を指南されている時点で、もうこの戦いは勝敗をつけるものではなくなっていて、今ではもう本音をいうとコウエンには、素直に王琳の忠告を聞き入れる意欲も残っていなかったのだった。
王琳もここまで告げた後、コウエンの表情からこれ以上『魔』での戦闘方法を口にしたところで何の意味もないと感じたようで、コウエンに対する興味が失われたのだろうなと傍から見ても分かる程に表情を変え始めた。
「俺も王連程までではないが、人間の中でもここまで登ってこれる者にはそれなりに期待を抱いていた。お前のように『魔力』が高い人間達は何処か、俺達妖狐や他の種族の妖魔達にはない発想を持ってやってくることがあるからだ。いくら戦闘を行う上で俺が指摘したような『透過』や『呪詛』を扱う事の出来るそれなりの相手と戦ったとしても、もう俺が楽しめる程の相手はいない。だからこそ、お前のように最低限ここまで来る事が出来て、お前程の膨大と呼べる『魔力値』を持つ独自性のある者を待っていたのだが、どうやらお前は俺の期待を上回る事は出来なかったようで残念だ」
最後にそう口にし終えた後、王琳を纏う『魔力』はこれまでとは比にならない程に、そう。まさに桁違いに膨れ上がった。
――ここで王琳と相対していたコウエンには分からなくて当たり前だが、この今の王琳の纏っている『魔力値』は、山の頂の空の上でエヴィと戦っていた『神斗』を止めようとした『シギン』が、七耶咫の身体を操っていた時に用いていた『魔力値』を上回る程であった。
――まさに『王琳』は、この『妖魔山』の『禁止区域』に生息するに相応しい『妖魔』と呼べる存在であった。
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