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『特別な人』91
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◇魚谷理生の野望と誤算
新卒で入行した銀行を恋愛のいざこざで辞め、次に就職した派遣先の
大手ハウスメーカーにも迷惑を掛けた形(社員との自分有責での婚約破棄)で
受付嬢を辞職していた魚谷が、たった3ヶ月で槇原に辞められて落ち込んで
いた相馬と、三居建設(株)で同じ部署で働けるようになるなんて、
当初の魚谷には考えられない僥倖だった。
……というのも、流石に派遣先の社員を裏切ってからの婚約破棄という事情での
辞職は4年余り真面目に勤めていたとはいえ、派遣先と派遣元からの態度に
冷たいものがあった。
派遣会社から登録を抹消されることはなかったが、前職のような条件の良い
大手の企業への紹介はないだろうと魚谷は覚悟を決めていた。
雨宮や柳井との一件でかなり落ち込んでしまい、働きに出る気力というモノが
沸かなかったことと、案の定派遣先からの仕事の紹介もなかったことから
家事手伝いの態で家に閉じこもるような生活を続けていた。
そんな生活を1年ほど続けていた時に、もう仕事の斡旋などしてくれることは
ないだろうと思っていた派遣会社から
『中途半端な時期になるが即日にでも』
とそこそこ大手の建設会社への仕事依頼が入ったのだった。
おそらく急なことで他に行ける人員がなく、自分にこの良い話が
回ってきたのだろうと魚谷は考えた。
決め手は、仕事の内容だった。
内容といっても実質の仕事内容のほうではなく、部署的なもの
といったほうがいいのか。
男性社員の補佐をする仕事と聞いたからだ。
◇魚谷理生の野望と誤算
新卒で入行した銀行を恋愛のいざこざで辞め、次に就職した派遣先の
大手ハウスメーカーにも迷惑を掛けた形(社員との自分有責での婚約破棄)で
受付嬢を辞職していた魚谷が、たった3ヶ月で槇原に辞められて落ち込んで
いた相馬と、三居建設(株)で同じ部署で働けるようになるなんて、
当初の魚谷には考えられない僥倖だった。
……というのも、流石に派遣先の社員を裏切ってからの婚約破棄という事情での
辞職は4年余り真面目に勤めていたとはいえ、派遣先と派遣元からの態度に
冷たいものがあった。
派遣会社から登録を抹消されることはなかったが、前職のような条件の良い
大手の企業への紹介はないだろうと魚谷は覚悟を決めていた。
雨宮や柳井との一件でかなり落ち込んでしまい、働きに出る気力というモノが
沸かなかったことと、案の定派遣先からの仕事の紹介もなかったことから
家事手伝いの態で家に閉じこもるような生活を続けていた。
そんな生活を1年ほど続けていた時に、もう仕事の斡旋などしてくれることは
ないだろうと思っていた派遣会社から
『中途半端な時期になるが即日にでも』
とそこそこ大手の建設会社への仕事依頼が入ったのだった。
おそらく急なことで他に行ける人員がなく、自分にこの良い話が
回ってきたのだろうと魚谷は考えた。
決め手は、仕事の内容だった。
内容といっても実質の仕事内容のほうではなく、部署的なもの
といったほうがいいのか。
男性社員の補佐をする仕事と聞いたからだ。
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