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『特別な人』90
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「それで?」
と相馬さんに続きを促しながら頭の片隅で相馬さんが醸し出す不思議な雰囲気の理由が
分かり私は少し興奮してしまった。
『結婚するつもりがない』という、これだったのかー、と。
謎が解けたスッキリ感。
続きはどうなったのか、野次馬根性が顔を出す。
◇ ◇ ◇ ◇
「『私たちのことですけど……』
『……?』
『お付き合いして正確にはまだ1年じゃあないですけど、
毎日職場で会ってるしどうですか?
そろそろ婚約とか、結婚に向けて話を進めてもいいと思うんですけど』
って言われて僕は腰が抜けるほど吃驚してね。
付き合ってることになっているなんて、どこをどう考えれば僕たちが
付き合ってるーっ? てね」
「わぉ~、それは大変なことになったんですね」
「店の中で泣いたり怒ったり、彼女の独壇場だった。
とにかくこれ以上何か言われても僕は結婚は無理なのではっきり言った。
『魚谷さんの中でどうして僕たちが付き合ってるっていうことになってるのか
分からないけど最初宣言していた通り僕は誰とも結婚しないから、その提案は無理です』
『相馬さんがそんな不誠実な人だったなんて、最低~』
そう言い残して彼女店から出て行って、翌々日人事から
彼女が辞めることを聞いたんだよね。
なんかね、今考えても狐につままれたような気分なんだよね」
「彼女に対して思わせ振りな態度、全くなかったのでしょうか」
「ないよ、信じて掛居さん。
そうそう今言っとく。
……ということで僕には結婚願望は微塵もないのでフレンドリーになれれば
それはそれでうれしいけれど、それ以上でもそれ以下でも気持ちはないというか、
上手くいえないけど今度こそ長くパートナーとして一緒に
仕事を続けていってもらいたいので話しとく」
「分かりました。
金輪際、掛居花はどんなことがあっても相馬綺世さんに結婚を迫ったり
しないことをここに誓います。
ご安心めされよ」
「良かったよぉ~、掛居さん」
そういう風に泣くほど喜ばれた私の心中はちょい微妙な風が吹いたのだが、
今までの相馬さんが遭遇した不可抗力な恋心系事件簿のことを思うと
仕方ないなぁ~と思った。
「今度一緒に働けるのが掛居さんでほんと良かったわ」
「相馬さん、私に惚れられたりしたらどうしようって、もしかして少し
心配してました?」
「いやぁ~なんかそこまで自惚れてるって思われるのも辛いんだけど、
少し思ってた……」
「ふふっ、そうですよね、そんなことを経験してると
そう思っちゃいますよね。
私が言うのもおこがましいですが、それでもいつか相馬さんの抱えてる
トラウマっていうヤツを跳ね除けて相馬さんの胸に飛び込んでいける
女性の出現があればいいなと思いますけどね。
あっ、ご心配なく、私はいかなることがあろうとも
飛び込みませんからねー」
「ありがと。掛居さんっていい人だな。
僕明日から仕事頑張りますよ」
「ふふっ、私も精一杯頑張りますので今後ともよろしくお願いします」
「それで?」
と相馬さんに続きを促しながら頭の片隅で相馬さんが醸し出す不思議な雰囲気の理由が
分かり私は少し興奮してしまった。
『結婚するつもりがない』という、これだったのかー、と。
謎が解けたスッキリ感。
続きはどうなったのか、野次馬根性が顔を出す。
◇ ◇ ◇ ◇
「『私たちのことですけど……』
『……?』
『お付き合いして正確にはまだ1年じゃあないですけど、
毎日職場で会ってるしどうですか?
そろそろ婚約とか、結婚に向けて話を進めてもいいと思うんですけど』
って言われて僕は腰が抜けるほど吃驚してね。
付き合ってることになっているなんて、どこをどう考えれば僕たちが
付き合ってるーっ? てね」
「わぉ~、それは大変なことになったんですね」
「店の中で泣いたり怒ったり、彼女の独壇場だった。
とにかくこれ以上何か言われても僕は結婚は無理なのではっきり言った。
『魚谷さんの中でどうして僕たちが付き合ってるっていうことになってるのか
分からないけど最初宣言していた通り僕は誰とも結婚しないから、その提案は無理です』
『相馬さんがそんな不誠実な人だったなんて、最低~』
そう言い残して彼女店から出て行って、翌々日人事から
彼女が辞めることを聞いたんだよね。
なんかね、今考えても狐につままれたような気分なんだよね」
「彼女に対して思わせ振りな態度、全くなかったのでしょうか」
「ないよ、信じて掛居さん。
そうそう今言っとく。
……ということで僕には結婚願望は微塵もないのでフレンドリーになれれば
それはそれでうれしいけれど、それ以上でもそれ以下でも気持ちはないというか、
上手くいえないけど今度こそ長くパートナーとして一緒に
仕事を続けていってもらいたいので話しとく」
「分かりました。
金輪際、掛居花はどんなことがあっても相馬綺世さんに結婚を迫ったり
しないことをここに誓います。
ご安心めされよ」
「良かったよぉ~、掛居さん」
そういう風に泣くほど喜ばれた私の心中はちょい微妙な風が吹いたのだが、
今までの相馬さんが遭遇した不可抗力な恋心系事件簿のことを思うと
仕方ないなぁ~と思った。
「今度一緒に働けるのが掛居さんでほんと良かったわ」
「相馬さん、私に惚れられたりしたらどうしようって、もしかして少し
心配してました?」
「いやぁ~なんかそこまで自惚れてるって思われるのも辛いんだけど、
少し思ってた……」
「ふふっ、そうですよね、そんなことを経験してると
そう思っちゃいますよね。
私が言うのもおこがましいですが、それでもいつか相馬さんの抱えてる
トラウマっていうヤツを跳ね除けて相馬さんの胸に飛び込んでいける
女性の出現があればいいなと思いますけどね。
あっ、ご心配なく、私はいかなることがあろうとも
飛び込みませんからねー」
「ありがと。掛居さんっていい人だな。
僕明日から仕事頑張りますよ」
「ふふっ、私も精一杯頑張りますので今後ともよろしくお願いします」
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