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第一章・不倫と疑われて。6

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れも秘書の仕事なのだ。私は笑顔を作るのだった。
 商談も終わり私は車の手配をする。えっと……次は会社に戻り今後の打ち合わせと計画書の確認をしてもらって。電話を切りながらタブレットを使い、今後のスケジュールをチェックする。
「社長。車の手配をしましたので。もうすぐ……あれ?」
 居るはずの社長が何処にも居ない。おかしいわねぇ~さっきまで向こうに居たのは確認出来たのに。慌てて捜すことにする。
 自由奔放な社長は直ぐにふらふらと何処かに行ってしまうから困るのよね。もう……何処に行っちゃったのよ?
 ホテルの周りを探していると、あっ……居た‼ フロントの受付でスタッフの人と話をしていた。こんなところで話し込んで……まったく。
「社長。捜しましたよ」
「あ、夏希。車の手配終わったのか?」
「もう……勝手に居なくならないで下さいよ⁉ もうそろそろ来るので大人しくしていて下さいよ」
 私は文句を言うとアハハッと笑ってくる。笑い事じゃないわよ……いつも、いつも。
 しかし何でフロントに? 首を傾げていると社長はニヤリと笑って、こちらを見てきた。そしてフロントに、
「じゃあ、今度。この彼女を連れて来るからよろしく」
 と言ってきたではないか。……はい⁉
「えっ? ちょっと……社長?」
 何で、そこに私のことが出てくるのよ? 意味が分からなかったが、すぐにハッとする。まさか私と泊まる気で⁉
「社長。どういう事ですか⁉ 私は一緒になんか行きませんからね!」
 しかし社長はニヤニヤと笑っていた。何か企んだように。
「おやおや。照れちゃったのかな? 可愛い奴め。俺は、ただ君が愛し合う部屋を提供したまでだぞ。あ、そろそろ車が来るかな? 行くぞ。夏希」
 社長は言うだけ言うと勝手に外に出てしまう。ちょっと社長⁉ 誰が照れちゃったよ……勝手に部屋を提供しないで。
 私は慌てて追いかける。まったく……相変わらず人の話を聞こうともしない。ダメだ…やっぱり殴り飛ばしたい。この口を一生黙らしてやりたい。怒りで身体が震えたのは言うまでもない。
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