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二章 精霊姫 人間界に降りる

別荘で過ごす

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 忙しく過ごしていると、あっという間にリッドラン辺境伯領で雪が降ってきたと連絡が届いた。

 雪が降ったら、リッドラン辺境伯領に建てた別荘で過ごすことを決めていた。
 それに、折角ならダンジョンにも潜りたかった。
 外は雪が降っていても、ダンジョン内は温度調整がされており、10℃以下になる事はない。
 なので、外よりもダンジョン内のが暖かいのだ。

 ロイ義兄様とダンジョンデートをして、別荘でまったり過ごしたい。
 
 んー・・・お義父様には、ダンジョンの様子をロイ義兄様と見にいくと伝えよう。
 それで、ロイ義兄様はマグニート家の別荘に泊まり、私は自分の別荘に泊まると伝えて・・・夜、ロイ義兄様に私の別荘に飛んで貰うようにすれば、日中は一緒にダンジョン、夜は一緒に温泉入ってお泊まり出来て沢山一緒に居られる。

 ロイ義兄様が行くとなれば、義妹のミリアリアも来たいという筈だから、ミリアリアとその婚約者も一緒に別荘に連れて行く感じになるかな。

 お義姉様は、今大分お腹が大きいので別荘には来られない。
 あと1月もすれば生まれてくるとのこと。男の子かな?女の子かな?2人の子ならきっと可愛い子が産まれる。
 楽しみだな。

 ◇◇◇
 
 マグニート辺境伯領からリッドラン辺境伯領へは、各領民達が行き来しやすいようにポータルを作ったので、それを通っていくことにした。

 私たちだけであれば、鳥籠を通って直接リッドラン辺境伯の邸に行く事は出来るが、今回はただ別荘で過ごすだけでリッドラン辺境伯家に用があるわけではない。

 なので、領にあるポータルを使っての移動となる。

 ポータルを使って、リッドラン辺境伯領に着くと、想定通り周りには馬車や馬が待機しており、お茶が出来るスペースなどが用意されていた。

 うん、思った通りに仕上がっていて嬉しい!

 私の別荘とマグニート辺境伯家の別荘は少し離れた場所にあるので、私と3人は別々の馬車に乗る。
 別荘に着いたら、荷を解きお茶を飲んで寛いだら、1人でのんびり露天風呂を楽しもう。
 ダンジョンは明日から潜るから、今日は雪景色を楽しんだり、ロイ義兄様に着てもらいたい浴衣を出したり、準備をしよう。
 
 ロイ義兄様の浴衣は、落ち着いた色合いの藍色や瞳の色が緑色なので、渋めの抹茶色の浴衣なども準備した。
 
 別荘の結界は、温度調整していないので庭園には雪が降り積もっていて、縁側で雪景色が楽しめるのでとても良い。
 だが、浴衣で縁側で雪景色を楽しむなんて普通に考えれば寒過ぎる。
 と言うことで、実は別荘の敷地には温度調整されていないが、建屋の方には温度調整した結界を別途張ってあるのだ。
 ほら、結局前世でも、暖房はガンガンにかけていたし、炬燵も使ってぬくぬくしていた。
 そう考えれば、建屋内は温度調整されてても良いと思うんだよね。うん。良いと思う。

 よし、露天風呂を楽しもう。
 脱衣所に行って服を脱いでも寒くないのは嬉しい。

 脱衣所の外に出ると露天風呂が!
 ここで、ちょっと温度を微調整している。脱衣所出てすぐに極寒だと身体が辛いので、温泉周辺の結界内温度は10℃程に抑えている。流石に雪が降っているマイナスの気温の中で、外に出る勇気はちょっと無いかな。

 足を伸ばし、岩に腕を掛けて、上を向きながら息を吐く。

 「はぁー、極楽。癒されるわー」
 
 目を閉じ少しうとうとと微睡む。

 (ロイ義兄様は、今頃部屋でお茶でも飲んで寛いでいるのかな・・・)

 うつらうつらとそんなことを考えていると、カラカラと引き戸が開く音が聞こえて、岩に寄りかかっていた身体を起こす。

 湯が大きく波打ち、外に湯が溢れる。
 露天風呂に続く引き戸は閉じている。先程の音は脱衣所の引き戸が開いた音か。

 暫く、引き戸を見つめていると、人影が写り込み・・・タオルを腰に巻いたロイ義兄様が現れた。

 「やぁ、リア。気持ち良さそうだね。」
 
 「ロイ義兄様?今日はそれぞれの別荘で休む筈では?」

 ロイ義兄様は、ゆっくりと岩風呂まで歩いてきて、身体に湯をかける。

 「あぁ、ミリア達には夕食まで部屋でゆっくり休むからって伝えてあるよ」

 「・・・つまりは、夕食まではこちらでゆっくり過ごせると言うことですか?」

 「正解」

 ロイ義兄様は、湯に入り私の後ろに回り込み、後ろから抱き込むように腰を掛ける。

 「はぁ、気持ちが良いね。リアと一緒に湯に浸かれる日が来るとは思わなかったな。」

 「私は、別荘を建てると決めた時には、一緒に入ろうと思っていましたけどね。」

 「ははっ、実は私もそうかなとは思っていたけれどね。」

 ぎゅっと私を抱きしめ、うなじに口付けを落とす。それから強く吸い付き、赤い花びらが散る。

 「ふっ・・・ロイ義兄様・・・見えるところは駄目です。」

 「髪を下ろしていれば分からないよ。」

  頸から唇を離さないで、口を開くのでくすぐったい。

 「もう、明日はダンジョンに潜るのですよ?髪を上げないなんて・・・」

 「あー、そうだったね。私も少し浮かれているようだ。」

 「・・・ロイ義兄様が、私と別荘で過ごすのをそんなに楽しみにしてくれていたなんて嬉しいですね」

 唇が頸を滑り、耳元に移動し、甘噛みをする。
 熱い吐息が掛かり、私の体温も上昇している気がする。

 「私は、いつだってリアと一緒に過ごしたいと思っているよ。邸ではこんな風に過ごす事は出来ないからね。今はとっても幸せなんだよ。誰にも邪魔されることなく、解放的なこの空間でリアの身体を堪能するのも素敵だね。白い肌が赤く色付いて艶かしいよ」

 ロイ義兄様の手が私の素肌を滑る。腰に回った手は徐々に下に降りて、太ももを撫でる。
 その仕草に官能を刺激されて、そのままロイ義兄様になされるがままに身を任せる。

 1度露天風呂でロイ義兄様と肌を重ねた後は、私の寝室に移動してロイ義兄様の夕食の時間までたっぷりと可愛がられることになった。

 私は、そのあと夕食を取ることもなく朝までぐっすりと眠りに落ちた。
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