【完結】世界で一番愛しい人

ゆあ

文字の大きさ
上 下
9 / 27

9

しおりを挟む
僕の足元にはナカに出された精液が垂れ落ちて床を汚していた


ちゃんと綺麗にしておかないと、嫌われちゃう...


痛む身体でティッシュを取り、汚れた床を掃除する
動くだけでお尻が痛くて、涙が止まらない



これは、痛かったから…
大丈夫、シゲルさんは僕のこと「愛してる」から
シゲルさんが、気持ち良くなってくれるならそれで…



床を拭いてるのに、水滴が落ちてまた汚れる
何度拭いても、次から次へと雫が溢れ落ちた



彼がシャワーに入っている音が止み、出て来るのを静かに待つ



まだ、やるのかな...
次は、前みたいに優しくして欲しいなぁ...
キスも、して欲しいんだけど...

最後にキスしてくれたのは、いつだったっけ…
さっきもして貰えなかった…

でも、後できっと、してくれるよね…



出てきた彼は、僕には目も向けず、さっさと寝室に行き寝てしまった



「仕方、ないよね…。発情期ヒートのあの子の相手もしてたもんね…
一回、抱いてくれただけでも、優しい…もん、ね…」
自分に言い聞かせるように口に出すも、虚しさと寂しさだけが募り、涙を洗い流すように自分もシャワーを浴びた
ナカに出された精液を処理しながら、声にならない泣き言を噛み殺した



ただの義務のようなセックス
愛を感じない、性欲処理のような...



自覚してしまうと耐えられない寂しさに涙が止まらず、頸にあるはずの噛み跡を撫でる

「運命の、番なんて...ズルいよ...」

口に出してしまうと我慢出来なくなり、小さく蹲って声を上げて泣いた
彼が起きてしまわないように、出来るだけ口元を手で押さえて
くぐもった声が浴室に響いていた




シャワーから上がり、パジャマに着替えてから寝室に向かう
「今日、綺麗にしててよかった。久しぶりにシゲルさんと一緒に寝れる」
彼の匂いに包まれて眠れると期待しながら寝室に入ると、僕の寝る場所は用意されていなかった

ベッドの真ん中で、大の字になってゆったり眠る彼
少しだけ端に寄って貰おうとしたけれど、寝ぼけながら邪魔だと言うように腕で払い除けられてしまった

「どこで、寝ようかな…」
一緒に寝る予定で買ったはずの広いベッドに自分場所はなくて、でも、せっかく帰って来てくれているのに、リビングのソファーで1人で寝るのだけは嫌だった

仕方なく薄手のタオルケットを出し、床で小さく丸くなって眠った
微かにだけど、一緒の部屋にいるから彼の匂いがする
きっと、明日あのベッドで寝たら彼の匂いがするはず…

小さな期待を胸に、冷える夜を床で眠った



朝起きると、当然のように彼の姿はなくて…
脱ぎ捨てられたように、昨日着ていた服がベッドに置かれていた


また一人ぼっちで、ひたすら彼を待つだけの日々が始まった
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

親友彼氏―親友と付き合う俺らの話。

BL / 完結 24h.ポイント:525pt お気に入り:20

出雲死柏手

エッセイ・ノンフィクション / 完結 24h.ポイント:710pt お気に入り:3

9歳の彼を9年後に私の夫にするために私がするべきこと

恋愛 / 完結 24h.ポイント:2,437pt お気に入り:103

BLはファンタジーだって神が言うから

BL / 完結 24h.ポイント:596pt お気に入り:30

こころ・ぽかぽか 〜お金以外の僕の価値〜

BL / 連載中 24h.ポイント:944pt お気に入り:783

皇帝の隠し子は暴れん坊公爵令息の手綱を握る。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:674pt お気に入り:2,974

スパイだけが謎解きを知っている

ミステリー / 完結 24h.ポイント:170pt お気に入り:3

花冷えの風

BL / 連載中 24h.ポイント:170pt お気に入り:11

処理中です...