【完結】世界で一番愛しい人

ゆあ

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「ハルくん、いつもごめんね。ご飯とか色々、ホントにありがとう」
暖かく落ち着いた雰囲気の喫茶店

僕のお気に入りの店で、家からも近いからよく来る場所
前は、彼と一緒によく来ていた場所
最近は、ハルくんにお礼を言う時にしか来れてない場所

大好きな場所なのに、来るといつも寂しくなっちゃう

「あいつ、ちゃんと帰ってきてるのか?ミツ、大切にして貰えてるのか?嫌なら、俺のところに...」
「ハルくん、大丈夫、すっごく大切にして貰ってるから。
この間帰って来てくれた時も、発情期ヒートの時に一人ぼっちにしてごめんね。って優しくして貰ったし、その後も一緒にいてくれてたから」

ハルくんの言葉を遮り、安心させようと被せるように早次に答える

「次の発情期ヒートの時は、ずっと一緒に居てくれるって言ってたから。約束したから、大丈夫だから」

そう言うと、困った顔で彼は微笑み、「なら、安心だな」と頭を撫でてくれた


ホントは、何も言ってくれなかったけど…
これ以上ハルくんには甘えられない…
ハルくんは、僕の番じゃないから…


「来週から3ヶ月くらい出張が入ったから、会いに来れなくなるけど大丈夫か?
仕事は今まで通り在宅で出来るのを回すから、無理だけはするなよ?
何かあれば、林田に連絡してくれたらいいから。俺に直接、電話してくれてもいいから」

心配そうな顔で見つめてくるハルくんに、安心させるように微笑む
本当は、一瞬不安が過ぎるけど、バレないように笑顔を作る


ハルくんとはただの幼馴染
これ以上、迷惑をかけちゃダメ
これは、僕とシゲルさんの問題だから…
ハルくんに、これ以上甘えちゃダメ



「いつもありがとう。仕事も、ハルくんが助けてくれないと働けない奴でごめんなさい。
お仕事、気をつけてね。ハルくんも、無理しないようにね」

近況報告も終わり、忙しい彼と別れてポツンとテーブルに1人残される

「帰りたく、ないな…」
残った紅茶をチビチビと飲みながら、誰も待っていてくれない寂しい部屋を思う

帰っても誰も居ない部屋
2人の家のはずなのに、ずっと1人で住んでいる部屋

残っていた紅茶を飲み干してしまい、時間を潰す理由を失くしてしまった

諦めて、ひとりぼっちの部屋に戻ることにした
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