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そのじゅうよん
そのじゅうよん-8
しおりを挟む「んぶー」
なにゆえかじっと手を見る我が子。
ちいちゃい手をじーっと、いやじとーっと見詰めてる。
「んぷっ」
あら。自分で自分の手にかぶりついたぞ。
「あっ、ダメだよ。みいくん」
尊がみいくんの手、口から離す。
「お腹すいたのかなあ。変な癖ついちゃうよ」
いや、それは違うぞ。パパ。
「なんかさあ、自分の手舐めたりして自分の身体認識するらしいよ」
「え?そうなの?」
なんかに書いてあった、うん。確かに。
「ふうん、じゃあみいくん?これがみいくんのお手てだよお」
だからと言って無理矢理口に手持ってくなよ。
「ばふっ」
「はいはい、なんでしゅかあ?」
「ぶふっ」
最近は尊に抱っこされるのは嫌がらなくなった。他の男は嫌がるけど。下僕認定か。
「天気良いからお庭に行ってみようかあ」
時々、庭で陽に当たる。
「みいくん、おひさま気持ち良いねえ」
あたしが話しかけると。
「あうー。うんがっ」
「みいくん早くお庭で遊びたいねえ」
尊が話しかけると。
「ぶー。ぶふっ」
この微妙な違いに薄々気付いてきたらしく。
「みのりさんが話しかけた時の方が声が可愛い気がする…」
首捻る尊。まあ、細かい事は気にするな。
近頃はお風呂は尊の係り。バスタブに浸かれる様になったからな。
「みのりさん一緒入ろ?」
て、一緒入ったら誰がみいくん上げるんや。一緒に入ると一回はヤられる習慣から開放されたあたし。
「あー。うーく、んーあ」
「よしよし、みいくんお利口にお風呂入れたねえ。気持ち良かったねえ」
手早く肌着着せて。尊が上がってきた。
「あ、頭持ち上げてる。みいくん可愛い!」
うつぶせするとちょこっと頭上げる。すかさずカメラ構える尊。
「あー」
「はいはい、ママだよお」
「あ!ずるい、みのりさんっ。みいくんパパの方向いてごらん?」
「うっきゅう」
「そうかい、ママが良いんだねえ」
尊見ないみいくん。
「もお、みいくーん、パパはこっちだよお」
おもむろに尊に顔向けて。
「ぶほんっ」
なんじゃ、そりゃ。
一抹の不安を抱えつつもみいくんは毎日ちょっとづつ成長して。夜も長く眠る様になった。
が、しかし。
「みのりさん…」
「ほんげえっ」
ワタクシが乗り気で無い時は起きる。なんのセンサーが働いとるんじゃ。
「よしよし、みいくん。ねんねしようねえ。パパとママは大事なお仕事があるからねえ」
こらあ!なに言っとんだっ!なんの仕事じゃっ。
泣いてたみいくんが大人しくなって。
「みのりさん、見て。早く!」
尊が言うから腕の中のみいくん見たら、にっこり笑ってる。
こんな風に表情もわかる様になってきて。しかし、なにを笑ってんだ。
「もう、みいくん。可愛いなあ」
溺愛親ばか尊は。
「あー、会社行きたくないよ。みいくん可愛過ぎて…もうちょっと休んでようかな。今からもっと可愛くなるんだよね?あー、会社行きたくない」
バカ言うな。アンタこの前専務になったばっかしやろうが。社員の皆さまに示しがつかん。
「会社辞めよかな…そしたら育児に専念出来るな…」
アホかっ、育児の前に生活出来んわ!
育児休暇も終わりを迎えます。
会社、行けよ。マジで。
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