150 / 240
そのじゅうよん
そのじゅうよん-9
しおりを挟む「…じゃあね、みのりさん」
朝、玄関で気が済むまでディープキスした後。
あたしの腕からみいくん取り上げて。
「じゃあね…みいくん」
眼に涙溜めて。永遠のお別れかっ。
アンタ、会社行くだけやろうがあっ!
「パパ、行ってくるからね…ママと一緒に待っててね…」
尊がみいくんのほっぺたにちゅってしたら。
「ほんがっ」
泣き出した。しかも手でほっぺたこする。
「んげえっほんげえっ」
「ああ、みいくんもパパがいないと寂しいねえっ、ごめんねっ!パパは行かないといけないんだよっ」
「んがあっ!ほんがあっ」
明らかに嫌がってるし。尊からみいくんひったくって。
「会社行けええっ!!」
蹴り出した。
今まで出勤風景だけでもウザかったのに、これからプラスみいくんとの別れ惜しむ時間が加わるのか。アホらし。
さて、主婦のワタクシとしては今からなにをすれば良いか。
洗濯、は尊がしてったし。掃除、は塵ひとつ無いくらいに尊がしてったし。
洗い物は一緒にしたし。ふむ。今日のお昼は生ハムのパスタか。
ホワイトソースに牛乳やなくてスキムミルク入れたりとかなんだとか言ってたな。
おやつは豆乳の杏仁豆腐か。
朝から手が込んでるヤツ。優しいダンナに感謝しとこう。
会社の方向いて手合わせる。南無阿弥陀仏…て、違うわ!
「うーう」
おや、みいくんが呼んでる。
「はいはい、どちたー?」
「うっあうっ」
声なのか顔なのかわからんが認識をしているらしく、嬉しそうな声を上げる。
尊が出てから数十分後。
インターフォンが鳴り響き。
「いやあ!みいくーん!ばぁばでちゅよお」
ばぁば登場。
ま、ね。いきなりあたし一人になるのは本人含め周りが大層心配するからとりあえず、ばぁばにお越し願った。
「ちゃんとオムツ換えとるん?アンタ適当やから二回分溜めとこうとか思ってないやろうね」
いきなり口煩いな。ちゃんと毎回換えとるし、乳も飲ませとるわ。
「ばふっ」
おお、さすがにばぁばのおっぱいは不満か、息子よ。ばぁばの胸確認するみいくん。
「ほげっ」
「あらら、どうしたね?みいくん、ねんねかね」
おかんがみいくん布団に寝かせてとんとんする。
「ほんげっんがあっ」
泣き止まないからあたしが抱っこ。
おかんが顔しかめる。
なんじゃ。
「アンタ、ずうっと抱っこしとるん?」
「んー?機嫌良い時はラックに寝かせたりするけどだいたい抱っこしとるよ」
「そりゃ、いかんわ。抱き癖つくわ。寝かしとき」
むりやり布団に寝かすからみいくんが泣く。
「赤ちゃんはちょっとくらい泣かせた方が良いんよ。だいたい抱き癖ついたら大変やろうが」
「そんなん、昔の考え方やし。今はスキンシップが大事なん」
みいくん抱っこしてあやすあたしに。
「いかん、て。お母さんなんかアンタが赤ちゃんの頃は…」
何十年も前の育児法持ち出してあれはダメだのこれはしちゃいかんだの。
煩いわっ!時代が違うんじゃっ!
みいくん、いや赤ちゃんの育児法めぐって対立する母娘。次第にただの口げんかに発展する。
実の親子だけにお互い歯に絹着せんから始末が悪い。
「あー!ムカつく!」
「まあ、お母さんも心配してくれてるんだし。もうちょっとみのりさんが優しくお母さんに違うんだよ、って教えてあげれば」
尊が晩酌のウイスキー生でグラスに注ぎながらダンナっぽい事言う。ビールは飲まん事にしたらしい。腹が出るから。
「うあああっ!腹立つう!」
おばはんランキングしたら全国でTOP50には入りそうなおかんと繊細な思考の持ち主のあたしとじゃあたしの方が分が悪い。
「ほら、騒いだらみいくん起きちゃうよ?せっかく寝てるのに」
あたしの腕の中のみいくんはさっきおっぱい飲んで今はねんね。
しかし、腹の立つ。怒ると喉が渇く。
テーブルの上のグラスひっつかんで。
「あ!みのりさん!」
一気飲みした。
あれ?お茶の味じゃないよ?
0
お気に入りに追加
26
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
大嫌いな歯科医は変態ドS眼鏡!
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
……歯が痛い。
でも、歯医者は嫌いで痛み止めを飲んで我慢してた。
けれど虫歯は歯医者に行かなきゃ治らない。
同僚の勧めで痛みの少ない治療をすると評判の歯科医に行ったけれど……。
そこにいたのは変態ドS眼鏡の歯科医だった!?
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
お知らせ有り※※束縛上司!~溺愛体質の上司の深すぎる愛情~
ひなの琴莉
恋愛
イケメンで完璧な上司は自分にだけなぜかとても過保護でしつこい。そんな店長に秘密を握られた。秘密をすることに交換条件として色々求められてしまう。 溺愛体質のヒーロー☓地味子。ドタバタラブコメディ。
2021/3/10
しおりを挟んでくださっている皆様へ。
こちらの作品はすごく昔に書いたのをリメイクして連載していたものです。
しかし、古い作品なので……時代背景と言うか……いろいろ突っ込みどころ満載で、修正しながら書いていたのですが、やはり難しかったです(汗)
楽しい作品に仕上げるのが厳しいと判断し、連載を中止させていただくことにしました。
申しわけありません。
新作を書いて更新していきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
お詫びに過去に書いた原文のママ載せておきます。
修正していないのと、若かりし頃の作品のため、
甘めに見てくださいm(__)m
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
イケメン社長と私が結婚!?初めての『気持ちイイ』を体に教え込まれる!?
すずなり。
恋愛
ある日、彼氏が自分の住んでるアパートを引き払い、勝手に『同棲』を求めてきた。
「お前が働いてるんだから俺は家にいる。」
家事をするわけでもなく、食費をくれるわけでもなく・・・デートもしない。
「私は母親じゃない・・・!」
そう言って家を飛び出した。
夜遅く、何も持たず、靴も履かず・・・一人で泣きながら歩いてるとこを保護してくれた一人の人。
「何があった?送ってく。」
それはいつも仕事場のカフェに来てくれる常連さんだった。
「俺と・・・結婚してほしい。」
「!?」
突然の結婚の申し込み。彼のことは何も知らなかったけど・・・惹かれるのに時間はかからない。
かっこよくて・・優しくて・・・紳士な彼は私を心から愛してくれる。
そんな彼に、私は想いを返したい。
「俺に・・・全てを見せて。」
苦手意識の強かった『営み』。
彼の手によって私の感じ方が変わっていく・・・。
「いあぁぁぁっ・・!!」
「感じやすいんだな・・・。」
※お話は全て想像の世界のものです。現実世界とはなんら関係ありません。
※お話の中に出てくる病気、治療法などは想像のものとしてご覧ください。
※誤字脱字、表現不足は重々承知しております。日々精進してまいりますので温かく見ていただけると嬉しいです。
※コメントや感想は受け付けることができません。メンタルが薄氷なもので・・すみません。
それではお楽しみください。すずなり。
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる